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★エピローグ☆


「それにしても」


 あちらとこちらで楽しい宴が終わった夜更け。

『はるぶすと』2階リビングでは、恒例? のシュウと冬里の反省会が開かれている。

 夏樹は?

 もちろん、もうぐっすりお休みだ。


「よりによってダブルブッキングを両方受けるなんて、あまり無茶はしないでくれるとありがたいんだけど」

「無茶? えーと、無茶なんてしてないよ~」

 冬里の言い草に、ほんの少しため息をついてシュウが言う。

「変則アフタヌーンティーの時の事、忘れたとは言わせないよ」


 そう、以前に志水さんから依頼された変則アフタヌーンティー。

 その時も神さまの宴会が重なって、冬里が独りで仕込みをしたことがあった。さすがの冬里もあのときは「疲れた」の言葉が出るほどだったのだ。

「ああ~あのときねえ。……けどさ、僕たちって日々進化して行くんだから、僕もあのときよりグーンと成長してるんだけどな」

「またそんな」

 ため息と苦笑交じりで言うシュウを面白そうに眺めつつ、冬里が話題を変える。


「でもさ、今年はどこにもおせちを作りに行かないって言ったから、《くしなだひめ》がものすごく残念そうだったね。今年こそって狙ってたみたいだから」

「ああ」

 ここ数年、彼らはあちこちにおせち料理を作りに行っていたのだが、今年はそれもやめるとシュウが言い出したからだ。

「行きたいのはやまやまだけど、神社仏閣にはそれぞれ専属の料理人がいるから。それを差し置いて、差し出がましいかなと」

「ふうん」

「けれど、神さまもだけどなぜか料理人の方たちが納得してくれなかったよね? どうしてかは良くわからないけど、それならとおせちのレシピを配ることにしたんだけれど」

 まあ、シュウらしいねと冬里は思ったのだが。

「でもさ、料理人たちは喜びこそすれ、迷惑だなんて思ってないよ、きっと」

「?」

「シュウの妙技が間近で見られるんだから」

「まさか」

 今度こそ可笑しそうに微笑むシュウ。

 本当にこの人は。

 自分の価値ってものを全然わかってないんだから。

「あのね、鞍馬 秋 を超える料理人なんて、今どこを探してもいないの。俺がそうだ! って言う奴がいたら、そいつは世間知らずの自信家かどうしようもない馬鹿のたぐいだね。だからさ、いつかシュウが消えちゃったら、世界は大きな損失を被るんだよ、わかってる?」

「?」

 ぽかんとしていたシュウが、なぜか急にうつむいた。

 肩が揺れ始める。

「ちょっと、冬里……、アハハ、アハハハハ」

「ええー?」

「誰が? なに? そんな、大げさな……、アハハハハ」


 どうやらなにかがシュウのツボにはまってしまったようだ。

 なかなか笑いやまないシュウに、冬里はベランダの窓を透かして、月に肩をすくめてみせるのだった。


「〈大きな損失だよねえ〉」

「〈うん、僕もそう思うよ〉」

 月の方から《つくよみ》が答える声が聞こえていた。



 けれど。

 それは冬里も夏樹も同じ事だよ。

 もう2度と同じ千年人は現れないんだから。


《つくよみ》のつぶやきに、八百万(やおよろず)の神々さまたちが大いに頷いていた。



 こうして、クリスマスの夜は更けていく。

 Merry・Christmas & Happy New Year !








ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

またまた筆者の得意技、クリスマス話です(笑)

今年の★市はなにやら楽しげですねえ。皆様はどんなイヴを過ごされるのでしょうか。

願わくば、幸せで平和で穏やかな、喜びにあふれた日になりますように。

どうぞ皆さま、よいお年をお迎えください。


来年も『はるぶすと』は、皆様のお越しをお待ちしております。


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