第23章【番外編8】 五輪記念公園に於いて
清峰県北部に位置する水田市には、五輪記念公園と云う物が在る。此処には昔、弁賀神宮外苑競技場と呼ばれる競技場や選手村など様々な施設が置かれ、大きな五輪大会が開かれたと云う。然し、大会終了後は、選手村は取り壊され、競技場もより交通の便が良い大電ドーム清峰等に客が流れて解体されたことから、広大な土地が残ったのである。今は記念公園として整備されて居るが、五輪大会の施設として使われた物は最早残って居ない――唯一つ、聖火台を除いて。
此の聖火台は、当時日本一とも云われた芸術家、岡崎倫一郎が手がけたもので、実は内部には人類の歴史を表した巨大作品、「芸術の世紀」が納められて居る。然し危険である為長くの間其の中へと続く扉は閉ざされてきたのだ。そして遂に、徹底した安全管理の下、事前申込抽選式の内部公開が今年より実現し、僕は此の日、母や其の友人達と共に、此の内部公開に参加したのである。
塔内部は、非常に興味深い作りであった。音の吸収や反響について考え抜かれた壁や、非常階段に迄拘られた多様な色彩、又天井に至る迄、全てに圧倒されたと言っても過言では無い。中々に当選倍率が高いのにも納得できた。
さて、此の公園の内部には、清峰五輪記念館と呼ばれる施設が在り、其処の特別展も合わせて行われて居た。折角なので此れも見た後、記念館内に在る食堂、「ぱくぱく」で昼食を摂る事にし、早速行ってみた所、選手村の食堂を参考にしたと思われる個別盛付け方式が採用されて居り、世界中の料理が並んで居た。個人的には印度カレーが非常に美味しかったと思う。
食後は閉会後整備されたのであろうと見られる庭園で、蓮や花菖蒲などを見て居たのだが、そうこうしている内に夕刻となり、清峰駅まで出て中華料理屋にでも行こうと云う話になった。と云うのも、清峰駅の高架下に在る「智頭」と云う中華料理屋が非常に美味しいのである。そこで、シティパークライン五輪記念公園駅へ行ったのだが、なんと聖火台内部公開に伴う混雑に依り入場規制が掛かって居た。十分以上待ってどうにか列車に乗り、桜坂学研駅で乗り換えて、北清峰鉄道や、其れと直通する地下鉄寺町通線で清峰中央駅へ辿り着いた頃には丁度夕飯時となって居て、空腹であったのだが、幸い席は空いており、直ぐに餃子を初めとした料理に舌鼓を打つ事が出来た。
因みに帰るついでに、料理屋の外に在ったお品書きを写真に撮ろうとしたのだが、どういうわけだか黒い線が写り込んで上手に撮影できなかった。未だに此の原因は謎である。




