第12章【番外編4】 人生初の千布鉄に於いて
やって来た列車は、何故か七夕風ラッピングの施された気動車で、一両単行に依る運転をして居た。扉が開き、早速車内に乗り込むと、御手洗が先ず目の前に在ったため、取り敢えず便の心配は要らないなと胸をなで下ろした。座席は全席クロスシートだったのだが、一番意外だったのは、運賃表示器のLCDがNR製だったことだ。此れをNR以外で見るのは初めてであったので非常に驚いた。
さて、列車は運転士の案内後数分で発車した。無論、ワンマンカーである。
〈今日も、千布高速鉄道を御利用下さいまして、有難う御座います。此の列車は、千布行き、ワンマンカーです。車内は禁煙です。御協力を御願いします。次は、牛川、牛川です。The next stop is Ushikawa.〉
放送は、此の近辺でよく聞くNRのワンマンカーと同じ声優が担当して居る様に聞こえた。個人的には、英語放送が付いて居た事に驚いた。
牛川駅に到着すると、運転士が、列車の行き違いの為長時間停車する旨を放送した。何が来るのだろうかとカメラを構えて待って居ると、運転士の人が、「前から特急こうひ号が来ますよ」と教えて呉れたので、前方にカメラを構えてみた所、確かに二、三分もせぬうちに橙色のこうひ号が走っていった。此の車両は清峰駅まで来ないので、新鮮であった。そう思って居たのだが、こうひ号との行き違い後も列車が発車しないので、どうしたのかと運転士に聞いてみた所、数分後に特急げんぶ号の追い抜きが有ると言う。因みに此の運転士、車内広告に興味を持って居る乗客に詳しく説明するなど、非常に気さくで親切な人であった。
さて、更に待つこと数分、特急げんぶ号が姿を現した。此の列車は、清峰駅を過ぎて更に東の大都駅まで走るので、清峰でも時々見掛ける。それはさておき、両方の撮影も終わり、これ以上待ち合わせる列車も無い様で、列車はやっと発車した。美しい山と川、そして田畑。日本の原風景とも言えるであろう此の地を、一両単行の気動車が、澄み渡る青空の下、数人ばかりを乗せて只走るばかりの旅の何と楽しい事か。
次の停車駅は、村手である。




