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戦国クラス転生  作者: 月本 一
229/302

228 信長上洛

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

次回更新は12/29(日)

(1562-63一条房基(41))

 一条義輝(26)と織田市(15)の婚約が成った。打診を受けた時には成立しないと思われたが、よくよく考えれば悪い縁談ではない。足利の名を利用させないように釘を刺した義輝の判断は褒めるに値した。とはいえ、話を通しておかねばならない相手がいた。三好長慶である。遣欧使節団の主席正使である一条マンショ秀吉が転生者であることはわかっていただろうが、一条ミゲル義輝が足利義藤であるとの確信はなかっただろう。国内最大の資産を持つ一条家と最多の転生者が集まる織田家が結びつくことは無視できる話ではない。軍事的な同盟ではなく、あくまで個人同士の結びつきであるとの説明が必要となる。信じるか信じないかではなく、きちんと伝える姿勢が大切なのだ。三好・松永連合は京を中心に10ヶ国に版図を広げている。世間一般では序列最上位。ほぼ天下人なのだから。


 演奏旅行(コンサートツアー)を終えたばかりの秀吉を三好長慶へ使者として送る。息子に家督を譲ったとはいえ軽々に会いに行ける立場ではない。三好側の要求はシンプルだった。婚礼は京で行い、三好長慶、松永久秀が列席するから信長を上洛させよ、というものであった。信長は将軍家を頼る必要とする局面がなかったため、これまで上洛していなかった。他人の事はいえないが、足利義冬(義維)は傀儡として完全に骨抜きにされていたこともあって転生者全般に足利将軍家を軽視する傾向があった。ここで首脳会談を行い、お互いの腹の内を直接探り合うチャンスと見たのだろう。


 信長上洛となると婚礼がついでのイベントになる。土佐からは堺に上陸して三好の領地を通過していくので、これまで同様500名ほど移動でよいだろうが、尾張からは美濃、近江を通過する。1000から3000名は兵を整えたいところだろう。通過する他国への根回し、将軍家、朝廷への贈答品の用意、京での滞在費。家として名を売るためにも多額の支出が発生する。それなりの準備期間が必要かと思いきや、年内には調整を終え、春先での婚礼が決まった。仕事が早い。尾張国内が安定しているせいだろう。大軍を編成中のようである。伊勢ではなく六角氏を攻める準備だと報告を受けていた。上洛軍の数が多いのも下見をかねているようだ。


 信長上洛に同行した転生者は信長の兄・津田信広、両前田こと前田利家と前田利益(慶次)、服部正成の4人。服部正成は松平家へ出仕せず、織田家に仕官していた。筆頭宿老の柴田勝家、信長の弟・織田信行、織田長益(有楽斎)、濃姫は尾張に残っていた。


 義輝と市の婚礼は一条の京屋敷で行われた。一条房基の養子と尾張一国の守護でしかない織田家の姫の縁組。つつましく小規模で済ませたが、列席者は豪華な面々だった。関白である近衛前久。副将軍となったばかりの三好長慶、若狭守護である松永久秀。耳聡い関係者の注目を集めるには十分で、(1560年の)桶狭間の戦いが発生していない中、知名度が低かった織田信長の名前が一気に広まる機会になった。


 婚礼後に三好長慶(41)、松永久秀(55)、織田信長(29)、津田信広(34)の4人との会談にホストとして同席した。

「一条公。こうして腹を割って話をする場を作ってくれて感謝する」

 三好長慶が礼を述べ、同意した一同が軽く頭を下げる。


『三好殿、織田殿、実りある首脳会談になってくれればと思っています』


「三好殿、織田家としては軍事対立を望んでいるわけではありません。同盟を結ぶことができればと考えています」

 信長が切り出す。


「領地を接しているわけでもない一守護家との対等な軍事同盟にはそれなりの理由が必要だ。桶狭間のようなはっきりとした結果があればよいのだがな。比叡山を焼いてくれとはいわないが、六角氏の力を少しでも削いでくれれば三好内部を納得させられるだろう」

 信長が狙っているのは正にその六角氏なのだが、三好は情報を掴んでいないようだ。三好長慶はほぼ6カ国を領有している。周囲だけでなく内部にも敵が多い。転生者へのマークが甘くなるのは仕方ないだろう。


「織田殿は一色殿と同盟を結ばれている。その一色殿は浅井と継戦中。ゆくゆくは共同して浅井・朝倉と戦うつもりでしょう。こちらとしても朝倉をなんとかしたい。美濃と若狭の同盟の仲介をしてくれませんか? 三好・松永・一色・織田の広域な同盟をなした上で、三好・織田の個別な同盟につなげるのはいかがでしょう」

 松永久秀としてみれば、多方面に戦線が拡大している三好だけの後ろ盾では若狭防衛で手一杯で越前を攻める余裕はないのだろう。


「個別な同盟はまずはお互いの事務方に協議を進めるように指示をだそう。家同士の結びつきの約束を先に決めてしまえば前に進むしかなくなる。息子の義興の相手が決まっていない。織田殿の妹のどなたかと縁を結ぶのはどうだろう」

 婚姻同盟か。信長には10人以上の姉妹がいるという。市の方が16歳。まだ未婚の妹が何人かいるはずだ。


「それであれば、私の息子か娘との縁組も考えていただきたい。いや、斎藤道三殿も子沢山だったな、一色義龍殿のご兄弟との縁組のほうがよいかもしれぬな」

 松永久秀も意欲を見せる。


「こちらは新参の守護。同盟に前向きになっていただくとは思ってもいませんでした」

 三好長慶も松永久秀も積極的だった。信長も意外だったのだろう。


「・・・・正直、恐れていたのですよ。織田殿の周囲には転生者が多い。潜在能力、将来性、可能性は脅威でしかない。そちらから同盟を切り出してくれるなら乗らない手はないのです」

「俺も久秀もいい歳になった。後10年か20年。子供世代が生き残る道を考え始める歳なのだ」

 松永も三好も既に息子に家督を譲っている。私も既に孫が生まれている。次の世代のことを思う気持ちはよくわかる。


 副将軍になり、権力を掌握しつつあると思えた三好長慶も久々に会ってみれば人の親の顔だった。このメンバーだったからかもしれないが、織田陣営への対抗意識は感じられなかった。その後の会談はスムーズに進んだ。おそらく広域な同盟が結ばれるだろう。

室町幕府でも何人か副将軍がいました。信長も副将軍を打診されています。なお、管領の任免権は将軍の専権事項。副将軍の任免権は朝廷にあります。


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― 新着の感想 ―
一気に読み終わりましたが本当に面白いです、まさか集団転生モノがここまで面白くなれるとは…
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