第四十話 涙
今年最後の投稿です。
大晦日、今頃私は冬コミで死んでますね……。
ノア達は転移した先でアリスが来るのを待っていた。
「私のせいで……アリスが……私が……」
「ノア……」
ノアは転移してからずっと自分のことを責めていた。
自分をかばったせいで転移できず、一番疲弊していたアリスを取り残してしまったことを。
ルナもノアに上手く声をかけることができずにいた。
既に日が暮れた時間が経った。
辺りは冷え込み、場の雰囲気をより重くしていく。
だが、暗い雰囲気の中突如、光輝く魔法陣が現れた。
二人はその魔法陣の元へ駆け寄っていった。
「「アリス!」」
「お、またせ……二人とも」
私は二人に微笑えんだ。二人はもう我慢できないと言わんばかりに抱き着いてきた。
「二人……とも。苦しい……よぉ」
「アリスごめん。ごめんなさい。もっと強くなる。私頑張るから」
「もう無茶しないで!貴方はいつも一人でやり過ぎよ」
私は二人に抱きしめられ気が緩んでしまったのだろうか?
瞼は酷く重く、意識が遠のいていく。
「……グハッ——」
「アリス?えっ?ナニコレ……血?」
「嘘でしょ……嘘よ嘘よ……だって……ありえない」
二人はアリスからゆっくりと手を放していく。
転移してきたアリスは別れる前と同じローブを纏い、フードを被っていた。
別れる前と違う点と言えばローブが少し破れていることと、アリスの胸に大きな穴が開いていることであった。
胸に空いた穴を見た二人は、否応なしに認めざるを得なかった。
これは致命傷であると。
大きすぎる穴は、向こう側を容易に覗え、そこにあるはずの心臓はなく、傷口が広すぎて止血もできない。
今なお溢れる血は地面に血だまり形成していき、アリスの命が失われていく様子を語っている。
「イヤイヤイヤイヤイヤー!」
「死なないでよ!アリス!アリス!」
二人は私の手を握り、必死に呼びかける。
「だ……大……丈夫だから」
私の声は掠れ、今にも途切れてしまいそうだった。
再生されるはずの傷は、深さ故なのか依然と回復している様子を見せない。
二人は瞳からは涙が零れ、呼び掛けはもはや悲鳴のようだった。
私は泣きだす二人の頬に手を伸ばす。
これ以上二人には、泣いて欲しくはない。
そう思って二人に手を伸ばすもその手は届かず、私の意識はそこで途切れた。
~勇者side~
アリスが転移したあと、勇者達は未だに結界の中にいた。
私も結界の中でさらに【紅蓮ノ節制】で自身を覆う結界を構築していた。
瞳を銀色と深紅に染めて私は一人ぼやいていた。
「ラグ私は今回は身を守るだけじゃなかったの?」
『その予定でしたが、【禁眼】の悪魔たちがあの少女に甘えていたので——』
「どういうこと?」
『彼女は力を完璧に使っていたのですよ。それこそ悪魔のように——』
「それって私が未熟ってこと?」
『いいえ。これは異常なことなのですよ。本来は【禁眼】も【咎眼】も両者とも力を使う能力ではなく、使わせる能力なのです。ですが、悪魔たちは少女に全てを差し出し全てを任せたのです』
「それってダメなことなの?」
『ダメっすよ!』
ラグと会話をしていると急に元気な少女の声が割り込んできた。
彼女は私が最初から使えた天使の一人ウリエルだ。
『ウリエルの言う通りです。悪魔の力はあくまでも悪魔の力なのです。彼らが使う方がずっと効果的で少女の負担も減るのです』
『仮にも私達天使と対をなす悪魔なんですからその辺はきちんとして欲しいっすよね』
「さいですか——」
私が天使達と会話をしているとなにやら不穏な会話が聞こえてきた。
「勇也。やったのか?」
「あぁ。経験値が入った感覚があった。あいつは死んだ——」
「そうか、なら一安心だな——」
結城は人を殺したというに、気にした様子はなく仲間たちと共に話していた。
先程の戦闘をまじかで見ていたクラスメイトたちも特に変わった様子はなかった。
みんなこの世界に命を奪うことに慣れてしまったのだ。
そしてしばらくして魔法陣の効力が切れ黒い炎が止まった。
街は見る姿もなくほとんどが塵と化してしまった。
結局勇者達は、誰一人傷なく無事であった。
彼らは一人を除いて、自分たちの無事でいることを喜び再び王城に戻っていった。
私は一人憂鬱な表情で呟ていた。
「ラグどうしよう?【禁眼】の子が死んだって……」
『問題ありません。心配は無用ですよ。私達の目的は無事達せられましたから』
「でもあの子が死んじゃったら……」
『大丈夫ですよ。あの子なら——』
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それでは良いお年をー!




