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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第2章 魔神覚醒編
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第五十七話 貫く決意

 物語を終えたヴィヴィアンの目尻から涙が流れ出ていた。


「めでたしめでたしでは駄目でしょうか。もうノヴィ様が向う側に行く必要はありません。魔王レアゥリティとも話しました。貴方様が精神世界(アストラルワールド)にて暮らせるよう既に取り計らいました。だから行かないで下さい」


 チラッとテレサの方を見るが、相変わらずテーブルに伏せたままである。再度ヴィヴィアン見る。


「一応聞いておくけど、スーパー蟻部隊て教会だよね?」

「…………教えません」


 まぁ十中八九、教会だろうな。雰囲気からしてそうだし。そうなると今の会話で分かったことがある。ヤスィーさんは、騙された内の一人、被害側であるということ。名前からして犯人っぽかったのは偏見すぎたな。ヤスィーさんに例の短剣を渡した教会の人間、教会と通じてた監視者がいるてことだ。


 少なくともこの監視者に関しては、俺の身近にいた人物ということ。まずニュトンさんは違う。そもそも一緒にダンジョンへと潜っていたぐらいだ。俺が蜜という名の異世界テクノロジーを広める前から既に知り合っていた、酒場夫妻、エポックスも除外。


 そうなると既に二人三人に絞られてしまう。少し心がへこむわ……。そう魔神属性(アイツ)が、【黒き力】のことを【蚊】に変換するぐらいが丁度良いといった本当の理由が、なんとなくわかってきた。


 しかもこのヴィヴィアンの反応からすると、恐らく俺の肉体復活終えているか、放棄したかの何方かである。


「テレサも反対する人?」

「……当たり前」


 テーブルから伏せたまま返事するテレサ。


「二人ともちょっと来て」


 立ち上がると二人をちょいちょい呼ぶ。近くに来た二人を抱き寄せる。


「二人ともごめん。それでもやっぱり行くよ俺は。二人に会えたのはレティのお陰だから。別に恩返しとかそーいうわけじゃないけど、小さい女の子が体張ってずっと頑張っているんだ、だから助けに行かせて欲しい」

「行ったら絶対後悔する!」


 テレサが悲痛な声で叫ぶ。


「それにね俺、早くあっちに行って、テレサとヴィヴィアンのこと伝えないといけない人がいるの。ほら今三股してるじゃん。テレサとヴィヴィアンは三股て知ってるけど、彼女はその三股もしてるて知らないの。取り敢えず説得しないといけないから、向うの行き方教えてよ」

「別に二股でもいいじゃないですか」


 ヴィヴィアンも泣き声を啜りながら引き止める。


「ファンレはね俺の好きな人だから、ちゃんと会いに行かないといけないの」

「また裏切られるよノヴィ。また裏切られたときに傷つくノヴィを見たくないのぉ」

「大丈夫大丈夫。今度はあの黒いの来ても余裕だから。黒いのがあっという間に無くなったのは、テレサが一番知ってるでしょ?」


「ノヴィ様。そもそも戻って、どうするのですか?」

「俺はファンレの為に世界を壊すよ。最初にそう決めたから。勿論レティが戦うなら、俺も共に戦うつもりでいる。ムカツクことがちょこちょこあったから、ムカツクことは適当に壊すよ」

「いつまでそんな夢を見ているのですかノヴィ様。夢をみたいなら私が見せてあげますから、半獣の娘のことはもう諦めて下さい」


 考えたくないけど俺も薄々理解ってしまった。彼女が内通者であると。言われてみれば四六時中一緒にいたし、チェスでの視野の広さなど、考えてみればちぐはぐな部分が見られたのである。


「それでもやっぱり行くよ俺は。一度二度裏切られたからって、嫌いになんてなれないよ。だから会いに行く。二人は怒るかもしれないけど許してほしい。それに彼女には帰ったら結婚するて約束しているんだ、約束を守らせて無理矢理にでも結婚して帰ってくるよ。そう思えばテンション上がってくるからヨユーだよヨユー」


 実のところ不安で一杯だったりするが、魔神覚醒出来たしなんとでもなるよね!


「そもそもあんな女何処が良いの!ノヴィ!」



「獣耳が生えた美少女だからかな」


「「は!?」」


「だから猫耳ぽっーいのが生えた、スーパー美少女だから」


「「は!?」」


 何この二人認めたくないの? 俺が若干ケモナー属性に目覚めてることを認めたくないの?


「だってあれだよ。猫耳というだけでも奇跡なのに、嘘でも結婚の約束した美少女だからね。無理矢理にでも嘘を守らせないと、俺が後悔するわ! このチャンスをものにしたい!(キリッ」


 俺の両脇からダブルリバーブローが連続で入る。


「痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ痛っ」


 君達痛いよマジデ。


「じゃあこうしよう。無事に一段落したら、二人の願い事を聞こうじゃないか。勿論私と死んでくれみたいなのは無しね! あと願い事を増やすのも無しね! 一人一つで」


 ケチ臭いけど、この二人からだとトンデモない願い事が来そうだから、しっかりと限定しておかないと。いざとなったら『マジカル倉庫』があるし。この世界限定ならなんとでもなるわ! よゆーよゆー。


「「本当に本当? 嘘付かない?」」

「よゆーよよゆー。俺この精神世界(アストラルワールド)じゃ最強らしいから」


 なんだよ二人でハモって、あれ何処かで聞いた台詞の流れ……。


「結婚して」

「私としっかり結婚して下さい」


 どんなに強力な登場人物(キャラクター)でも、その呪いの台詞一つで運命付けられてしまう禁断の台詞。そのフラグはどんな魔法よりもこわひ。




 あっヤッベェ、すげぇピンチの予感がしてきた…………。

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