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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第2章 魔神覚醒編
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第五十五話 気づけば三股

「あー! ヴィヴィアン近くに寄り過ぎ!」

「あらテレサ、私達の家に何かようかしら?」

「なんでヴィヴィアンの家なの!? ここはノヴィの家でしょうが!」

「ここは私の森にあるのですよ? 森にあるものは私のモノですから」


 ジャイ◯ニズムが発動しているよこの人。


「それに夫婦ですから。ノヴィ様のものは私のモノ、私のモノはノヴィ様のモノですから。ですよね?ノヴィ様(ピトッ」

「あ゛あ゛っー!」


 さっきからこんな感じなのである。俺とヴィヴィアンがお茶をしていたら、テレサがやって来てこんな状況が続いている。


 ここ最近はテレサもお茶が飲めるようになっていた。例の『サキュバスの大好きな水』を魔力水で薄めることにより、ある程度緩和できたのである。ただ結構不味いらしく、試しに紅茶や珈琲を試した所、本人は美味しい美味しいと飲みだしたのだ。俺も味見はしてみたが、糞不味くて飲めたものじゃなかった。


「そういえばずっと気になっていたんだけど、ヴィヴィアンはどうして俺のこと好きになったの? テレサは名を刻んでくれた経由というのは理解しているんだけど、ヴィヴィアンには思い当たるフシが無いんだ」


 そうなのである。アイツの記憶を断片的に拾いだしても、それらしい記憶が無いのだ。むしろアイツの記憶には、現在の姿のヴィヴィアンしか映っていない。


「ノヴィ様の外殻……えーと、家の中のモノ、財産が欲しかったからです(ニッコリ」





「…………え゛っ?」


 一瞬時が飛んでしまった。ちょっとこの人、何言ってるのか解らないんですけど。マジで俺の財産目当てだったてこと?


「ノヴィ様のお家の中には、本当に珍しいものがありましたから。私も色々苦労(・・・・)して持ってきたかいがありました。それにこんな私でも好きなってくれる、優しい旦那様ができて嬉しい限りです(ピトッ」

「あ゛あ゛っー!」



 ~フリーズ中~



 あ、また時が止まってしまった。


「ごめん、いつからヴィヴィアンの手の上で踊っていたの?」

「あら踊るなんてそんな。私はずっとノヴィ様が復活することをず~と楽しみにして、外殻を持ってきたのですよ? だからず~とテレサに外殻をなんとかして欲しいと頼んでいたのに。結局、魔神召喚するまで待つ羽目になりました」

「え?」

「え?」


 あ、テレサも初耳なんだ。


「実は以前から日本という世界の漫画やアニメ、ゲームには興味がございまして。勇者と呼ばれる人物から、ここに誘われた際に言われたのです…………」


「珍しい外殻があればついでに持ってきて良いよと。勇者の話によれば、生誕の秘術でなんとかできるかもしれないと聞いていましたからね。丁度私がこの世界に来るとき、その手の趣味に通じた人間が死んだので、その外殻(ノヴィの死体)を拾ってきたわけです」


「「…………ポカーン」」


 何この人。俺がガチで日本人だと知っていたわけなの? 俺が復活した最大の理由てヴィヴィアンが漫画・アニメ・ゲームを体験したいからだったてことなの? てっきり魔神属性と一番相性がいいからとかそんなんだと思っていたけど……。


 しかも日本人の外殻は通常なかなか綺麗に残らないらしい。たまたま俺の外殻が条件を満たしていた為、拾ってきたとかなんとか。もしかして、余生を残して自殺したとかそんな理由なのだろうか…………。


「ノヴィ、今からでもこの女さっさと捨てなさい!」


 テレサがフリーズしたままの首を掴んで、左右に揺らし続ける。


「あら、メス猫さんこそ大人しく一人で子作りに励むといいわ。無節操に子作りに励むような女、ノヴィ様には相応しくありません」





「有耶無耶になちゃったけど、ヴィヴィアンも俺達と一緒に戦ってくれるのだよね? ぶっちゃけ何と戦うのか知らないけど」

「ノヴィ様から熱い抱擁と魂の口づけを頂いては、嫌という方が難しいです。正直戦う相手には気乗りしませんが」

「アレ? ヴィヴィアンは相手が誰か分かるの?」

「こちらの世界ですと、天族や監視者と言われる者達のことですね」

「おおおう。初めて聞く単語が現れたぞ」


「どうせ言ってないようですので、加えますとテレサ達も元天族ですね」

「え、そうなの? 夢魔族て変な一族だなと思ったんだけど。もしかして内緒にしてること?」

「まあ本人達も言い辛いことがありますからね。当時の彼女達は地上の汚物は消毒だぜヒャッハー、みたいな感じで暴れていたらしいです」

「おう…………結構過激集団だったのね」


「ただこの汚物というのが、例の【黒き力】というものらしいです」

「あぁだから浄化なのか。聖属性っぽい名前だなとは思っていたんだ」


「ぅぅぅぅ」


 テレサにとって黒歴史なのか、テーブルに伏せてしまった。


「詳しいことは今のところ省きますが。この世界の構造を紙を丸め、筒状になった世界と考えてみてください。このオモテ側に住む人々が人族、獣族、魔族、など他種族達ですね」


「ふむふむ」


「オモテ側世界にはぐるりと一瞥できる種族、先程言った天族、監視者がいます。筒の外にいるわけですから、探すのが非常に難しいのです。だから外から覗き見ていても、正直いるかどうかすら筒世界の住人達からはわからないです。これがノヴィ様が仰る敵の正体かと」


「見るだけならともかく、これがこの世界で住む人達が役割にどう影響するの?」


「そうですね……少し昆虫達の物語を話してみましょう」


 そうしてヴィヴィアンはアイツと同じように話し始めてくれた。


話が長くなってしまったので、手頃なところで切りました。短くてすみません。


次話は7/17~7/18

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