終章・最終夜「愛しています。そして、これからも……」
あの日から全てが変わってしまった。変わったといっても、愛すべき人が隣にいて、私達は幸せです。
「大丈夫か?絢。」
「!、うん。大丈夫。そろそろ戻るから……」
「あぁ。」
あの日、歯車は壊れ、紘は一度命を落とした。そして、吸血鬼として生き返った。
これが絢の、望んだことだった。たとえどんな結果になろうとも絢が望んだ、未来。
あれから、日本にいる事に息苦しさを感じ、ユウの母国であるフランスへと移住をした、今では。
父親が違う三人の子供に恵まれ幸せな生活を送っている……
「!、お母様!お父様!お帰りなさい!」
「えぇ、ただいま。凛」
「!、またあの墓に行ってたのか?絢。」
「ジン様……」
「いいじゃないか、ジン」
屋敷へと戻ってきた絢・紘。玄関には二人の子供である凜が待っていた。そこへ、二階から降りてきたのは、現代当主・ジン。紘はジンの言ったことに反論する。
“あの墓”とは、先代であるユウ・洸、そして二人の付き人であった、松風・時雨の墓。彼らは吸血鬼としての寿命を軽く超えながらも笑って亡くなった。そのショックか慎也は一時期荒れてしまったが子供が生まれて少しは収まっている……
現時点では
現在、ここフランスでも戦争が起き、ジン・慎也の付き人も戦争へと駆り出されてしまった。それ以降、連絡は取れない……
どれぐらいの月日が流れたのだろう……絢が倒れた。
絢としての吸血鬼の寿命をむかえようとしていた……
「お母さん……」
「絢……」
「今日はきれいな満月ね……」
「……あぁ」
「あの時も同じ夜で………」
「あぁ」
「紘、私とっても幸せよ。だから、強く生きて。凛、お父さんと仲良くね。あの子たちとも……あの方たちとも……」
最後の夜、親子で過ごしたこの部屋で……絢は小さく「愛しています」と言葉を残し、ながい永い眠りへとついた。
「紘、葬儀を行うぞ。」
「あぁ、……絢、ありがとうな。」
数日後、遠くで鐘の音が聞こえる、泣くじゃくる子供達、大人達は涙を流すことはなかった。
愛する人はもう二度と会えない。わかっていても心は、涙を流す。声を交わすことも笑顔を見ることも、……もうできはしない……
「父さん」
「!、……あぁ、帰ろう、凛。」
「俺達、これからどう生きるんだろうな……」
「さぁ、……俺にもわからねぇよ……」
その後、彼らの姿を見たものはいない。
戦争が起きている中どう生きていたか……命を落としたのか……何をおもって生きていたのかさえ分からない……
それでも、吸血鬼は生きているのだろう………何かを求めて…………
-絢ーまた生きて逢えるなら、今度は幸せで、楽しい時代に出会いたいな……
-紘、貴方に会えるなら私はどんな姿でも会いに行くわ。どんな姿でもあなたに……
それから三○××年 十一月二十三日
「ねぇ、紘はさ高校どうするの?」
「あ?さぁ……」
「さぁって……もう……」
並んで歩いていく二人、どこか楽しそうで……
そんな二人の前を歩く集団、喧嘩腰の声と、親らしき怒りの声が……
フッと思い出す あの時の高鳴り
「?、絢?」
「!、あ、ごめん。今行く」
紘に呼ばれ小走りする絢。
壊れた歯車がまた作り直され動き出す……
動き出す瞬間など誰も知らない……
「!、絢」
「ん?」
「その痣は?」
「え?あれ、いつの間に……というよりも濃くなってきているような……」
「へ?」
何度も修復され 何度でも動き出す
愛する君とまた会えるなら もう二度と同じ過ちを繰り返さない事を
神に誓うよ……
はい、とうことで二作品目完成しました!!
長いようで短い作品にお付き合いありがとうございます。
まだまだ、他の作品は続いておりますのでそちらもよろしくお願いします。




