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序章・第一夜「初めまして」

  

 今でも夢を見る。まだ、私が幼いころ、



 「美味しい血を、分けてくれてありがとう。

 お礼に約束しよう。君が16歳になったら、君を迎えに行くから待っていてね。」


 遠い記憶、夢だと思っていたが、それが……現実になるとは知らずにーーーーー




 “ーーや様!ーー絢様!ーー起きてください!絢様!”

 「んっ、ごめんなさい。……もう朝?」

 “はい、朝でございます。本日のご予定はーーー”


 誰かに呼ばれるように、眠い目をこすりながらも目の前に映る人影を理解する、

この物語のヒロイン《如月 絢》16歳。

 絢を起こしてくれたのは、如月家のお手伝いさん。


 日本でいう大正時代ーーーこの国も異国の人たちとの交流があり、今や家や服が変わっている、

だが、唯一変わらないものがある『見合い・策略結婚』である。


 絢もその一人だ。絢の家「如月家」は名のある一族。数々の事業に精をだし成功させてきた。だが、それも絢の代で終わるとおもった、絢の父親は、ある貿易商の息子と結婚させようとおもいつき、現在に至る。

 シュと最後に帯を締め、鏡で姿を確かめるが不意に首筋と左手首に「痣」のようなのもがある事に気づく……。


 「……(あれ、ナニコレ……)……」


 その痣は何かに噛み付かれた跡、なぞろうと触れようとするが、父親の呼声が聞こえた。


 “絢ーー!そろそろ行くぞーー!”

 「はい!父上!」


 父の声に我に戻る絢ー。痣が見えないように着物で綺麗に隠して……。


 仕事場へと向かう絢と父。他の業者との交渉、取引。それだけでもかなりの疲労になる、だが、絢は「父のために、笑顔で仕事をこなさなくてはならない」そう想い、この日まで生きてきた。

 そして、外が暗くなり始めた夕方五時頃……絢達は、ある料亭に来ていた。


 “いいか、絢。先方に気に入られるように!いいな!”

 「はい。父上。」

 “?、どした?”

 「ご、ごめんなさい。少し席を外します。」

 “ああ、早めに戻ってきなさい。”

 「はい。」

 

 ある料亭の一部屋に案内され、心の準備をする絢。

“先方”というのは絢のお見合い相手である。プレッシャーになっているのか、絢はソワソワしてしまう。父に断りを入れ、お手洗いへとむかった。


 「はぁー。疲れる……あの人に会いたい。へ?“あの人”って誰?」


 お手洗いに向かう途中、疲れた心を癒やそうとするが、ふと何かを思い出す“あの人”それが誰だったのかおもいだそうとするが、ドン!


 「きゃ!」

 「ーっ、済まない。大丈夫か?」

 「は、はい。大丈夫です。(異国の人?)」


 悩み事をしながら歩いていたせいで、他の客とぶつかってしまった。尻もちをつきそうになったが、パッと手を掴み助かった。

 絢は助けたくれた相手にお礼を言おうと、するが異国の人だと気づく。

 金髪の長髪、異国の服に瞳の色が片目ずつ違う色ーーー。

ズルッと袖が落ち左手首にある「痣」が見えてしまった。


 「(あ!)す、すみません……。」

 「いえ、おや?ひどい痣、どこかで……。」

 「親父!」


 袖を上げようとするが他人に見られてしまったが、奥から呼ぶ声が聞こえた。異国の人は呆れたように頭を抑えながらも一言お詫びの言葉を言い。


 「申し訳ない。“迅”今行く。」


 声のした方へ行ってしまった。絢は呆然と、立ち尽くすが、どこかで会ったような気がするなと考えていた。

 

 「(あの人、“迅”っていうのかしら。あ、でも誰かがあの人のことを呼んでいたみたいだし……。違うわよね。それよりもあの人って誰?)」


 不思議な疑問を抱えらがらも自分の用を済ませようと急ぐ絢。


 そして、見合いが始まった。


 “ええ、それで。”

 “はい、そちらは手はず道理に”


 大人は大人の話で今は、若者同士で話をさせているがなんとも言えない状況である。


 “それで、絢さんのご趣味は?”

 「はい、琴を少々……。」

 “琴ですか。それはぜひ聞いてみたいものです。私も三味線をやっているんです。それに異国の楽器もやっていまして。”

 「は、はぁ。」


 相手の一方的な話についていけない絢。「早く終わらないものかしら?」と心のなかで思った瞬間ーーー。


 「ふざけんな!クソ親父!」

 「貴様、親に向かってなんだ!その口の聞き方は!」

 「兄さん、迅。少し落ち着きなさい。ここは、料亭で、ご自分の家では」

 「少し黙ってろ!洸!

     ってて!叔父さん!」

 「やれやれ。」

 「どうしてこのお二方は親子なのに……こうなのでしょうかね。」


 只今、絢達のいる部屋とは逆の部屋で起きている喧嘩の声。

喧嘩をしているのは親子で、その親子を見ているのは「叔父」と呼ばれた男性と、二人の友人なのか優しいような遠い目で見守っている……。


 「あー、でもそろそろ止めないと両室に被害がでますね。」

 「皐月。こいう時はその両室はとっておくものだろう?」

 「すみません。ここの料亭はえらく厳しい所で一部屋しかー」

 「ぜってー俺は見合いなんかしー」


 いつの間にか親子喧嘩は派手になり、障子に寄りかかるが、二人の重さに耐え切れず障子は悲鳴を上げ……。


 「「「「あ。」」」」


 止めるすべもなく障子は絢たちのいる方へ倒れた。

ドシャ!何かが、潰れる音と共に何かが倒れる音が見事に重なり合った。


 「きゃあ!」

 “わぁ!コ、コウセイさん!だ、大丈夫ですか?”

 「イテテ……、クソ親父!早く!退けよ!」

 「うるさい!わかっておるわ!……ん?」

 「……(え?なんで……ここに……)」


 突然のことに状況が掴めないーー。


 「ちょっと、兄さん。」

 「迅!大丈夫か?ってありゃ……。」




 そして、これが運命の歯車を動かす事は、

              まだ誰も知らない……。

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