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ライトスタッフ 2/3

工場研修の初日は説明と見学だった。目の前にあるのは、パレットに3段に積まれたバームクーヘン。


「この丸いのが原料のロール上質紙。ひとつで90kgくらいある。いろんなサイズのがあるけど、うちで使うのはこれが多い」

「これを切るんですね」

「まずは大雑把にA2より大きめくらいにする。あそこの機械のバーにセットして油圧で上に持ち上げる」

「電動じゃないんですか」

「機械が古いから。それからボタンを押すと、ゆっくり引き出されてカッターで断裁されて束になる」


あとで動いているところを見せてもらった。ロールはゆっくり。そしてカッターは上下に忙しなく動いていた。


「A2紙でノートA4が4面取れる。まずはここでA3にする」


断裁機だ。用途別に3台ある。修君が指差したのは大きいやつだ。



「次が印刷機。罫線用の版は金属製で日付の活字をセットすることもできる。図形やイラストの樹脂製の版もある。そしてこの上のホッパーに罫線用のインクを入れる。一斗缶を運んでくるのはバイトの仕事で、それをヘラで入れるのは社員の仕事。慣れないと作業服に着いて取れなくなる。これで準備完了。印刷するときは、紙束を軽くさばいて静電気を取ってここから入れる」


修君の作業服の上着は白かった。ズボンには小さな染みがある。こぼしたらこうなるんだ。



「次が丁合機。20段あるけど、32枚のノートを作るのに使うのは16段まで。この棚にA3の束を入れるとページが組み合わされて一冊分になる。普通のノートだとどの棚も同じ。特注品だと全ページで印刷が違うものもある。明日やってもらう作業はここ。簡単だけど腰を痛めないようにね。そして丁合された束は木箱の中に互い違いに積む」

「はい」

「木箱を積んだパレットをハンドリフトで綴じ機まで運ぶ」


綴じ機まではすこし距離がある。


「丁合機で表紙も重ねちゃうところが多い。でもうちのノートは表紙が厚いから手で合わせる」


外注で印刷された表紙は厚みと重みのある紙で、表になる部分には枠線と NOTEBOOK の文字。裏側には斜めの正方形に筆記体で「Hino」のロゴとバーコードが印刷されている。これを紙と合わせて綴じ機の給紙台にセット。自動的に奥へ進んでガチャンガチャンと二箇所を針金綴じ。さらにテープがピッと貼られてヒーターがサンドイッチする。


「針金と糊テープと両方やるのがうちの特徴。普通はどっちかでいい。こういうところで高級感を出す」


またハンドリフトで専用の断裁機に運んで、三方断裁してきれいにする。完成したノートは20冊ずつ専用段ボールに入れられる。それを流れ作業あるいは後工程で計量して封をしたら完成だ。



翌日から先輩社員と短期のバイト君といっしょにラインに投入された。丁合機への給紙は休みなく続けないと機械が止まってしまう。休む間も無く運搬、上げ下ろし、清掃でくたくただ。


「おつかれさま。疲れたでしょう」

「本当に疲れました。5日間ノートしか作ってませんが、他の手帳やメモ帳もここで作ってるんですよね」

「メモ帳はもうここでは作ってない。工場長に聞いてみたらいいよ」


来週は営業部の研修をがんばってねと修君は言い残して倉庫に消えた。


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