第182話 妖国グリムアステル①
里の樹連合での情報を得て、ジュンと紫燕は妖国グリムアステルへと到着している。
前回のギルテ戦から、まだ一月と経過してない。にも拘らず、無残な状態となっているのは観測した光撃が原因だろう。
一部地域と言えど範囲広く、破壊された家屋が凄惨さを物語る。
痛々しい。
表現的に言えば、最もそれが正しいのだが、悲しみに明け暮れるよりは黙々と仕事をこなすかのように、殆どの民が再興へと手足動かしている。指示する王など、どこにも居ないのにだ。
そこは都市を管轄する者が、率先して行動しているかもしれないが、逞しさというより、予めプログラムされていたかような機械染みた感覚を覚える。
この感覚を、以前にもジュンは味わっている。
それは、ギルテ戦の時。
自国が他国の王に侵略されても群衆の悲鳴は起きず、あろうことか王のギルテが行方を晦ましても、暴動や反乱も起きていない。人々の間では、『そういう事象があった』、程度にしか思われていないのではと考えてしまうほど。
心の無い機械。
もしくは操られた人形。
そのどちらとも違う可能性も十分にあるが、【六根】の情報が少ないのも事実。
(いや私もさぁ、殺戮集団に情報収集任せたのが悪いかもだけどさぁ、自信満々だったじゃない。どうして、私らが現地確認しないといけないのよ!)
提供された情報は、破壊された都市や街の被害情報だけ。その程度であれば、わざわざ急な派遣依頼をする必要もなかった。
逆に考えれば、【六根】による対処は不可と推測できるため、それ以上の力………【聖なる九将】などの強者たちの仕業であることに間違いはないのだろう。
それに、心当たりもあった。
(たしか…………場を温めるんだっけ?光撃も巨人による破壊も、そのために行われたもので………ゼロの復活には必要………再誕、再器、依代…………あぁもう!!なんで私が、他人事情で、イライラしなくちゃならないの!!)
ギルテが勝手適当に漏らした情報を思い出すも、止まらないイライラ。
本来であれば、こうも感情を露呈しない。
勿論、紫燕には気付かれない程度の苛立ちではある。
がしかし、ストレスは溜まる一方。これには十分過ぎる理由がある。
紫燕との、デートが叶ってない。
他の守護者とは、遊覧と称して各属国を廻っているのにだ。
紫燕とは、里の樹連合をがっつり・しっかり・ゆっくりと巡る予定だった。妖国グリムアステルにまで赴くことで、2つの国を巡っている風にも観えるが、満喫はしていない。
これはそう、仕事の範疇。
事前に立てた計画は無意味になっている。それもこれも、ゼロの一派という敵が動き出しているのもあるし、頼った相手が無能だったのもある。
予定は狂いに狂い、新たな属国希望まで現れている始末。
強行突破のガン無視で遊覧旅行を再会しても良いのだが、今現在紫燕は真面目に働いている。それを止めさせるのは、王として、主として、愚かな行為。
納得はしたくないが、理解はしている状況といったところなわけで、結論から言って、紫燕との遊覧旅行は別日となる可能性が大いにある。
(予定がまだ詰まってるもんね。このあとは砂漠地帯ジルタフに行って、小国レジデント、ルクツレムハ征服国………)
自国の後に再度、里の樹連合へ訪れる。これが今考え得る最適解。
ゆえに今は、真面目な彼女に労う言葉を掛けるのみ。
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