目に光を灯す14
ゾウリエビは、確かに見た目は奇怪だったが、味はまぁ、うまかった。
ヒカリは、ご当地のものが大好きだ。空港で眺めていたご当地マスコットしかり、さっき食べたゾウリエビ汁然り。ゾウリエビ汁を満足そうにするヒカリを見ながら、スマホのネットで調べてみれば、案の定ゾウリエビはここ屋久島の特産品だった。
食事を食べ終わり、会計を済ませたら、ヒカリとともに店を出た。
これから、今夜の最終計画を打ち合わせなければならないが、人目のつくところでやるわけにはいかない。
ハヤトに入れ替えろと持たされた物もそうだが、見取り図だって、不特定多数の人に見られるわけにはいかない。
地図を広げながら話ができる場所が良いが、人目につかないと言われてしまえば候補はそんなにない。
結局、車に戻り少し走らせて人気のないところに停車した。
サイドブレーキを引く僕の隣で、ヒカリが施設の見取り図を広げた。そうして、僕の方を一瞬ちらりと見たかと思えば、コミュニケーターの小さなボタンを抑えて、ヒカリはハヤトに呼びかけた。
「ハヤト、こちらは準備OK。そっちはいつから確認を始められる?」
コミュニケーターを付けている時、まず間違いなくハヤトから待たされることはありえない。
そう思っていると、やはりすぐさま、いつも通りのぶっきらぼうなハヤトの声が聞こえてくる。
「いつでもいいぞ。店は出たのか。」
「少し車を走らせて、停車してる。大丈夫よ。」
ヒカリの言葉に納得したのか、ハヤトは間髪なく最終確認を始めた。こうなると、ハヤトとの打ち合わせに無駄は無い。彼は基本的にとても効率的な人間だった。
プライベートの話など一切聞いたことがない。
それどころか、プライベートの話をしているハヤトは想像もつかなかった。
ぶっきらぼうで切れ者で怜悧な刃物が第一印象のハヤト。
だが、実はどこか優しいところがあることに、僕は何となく気が付いている。
そんな優しい一面がプライベートでは出てるんだろうか。
「…ハル!聞いてる?」
少しぼんやりしていたのか、隣にいるヒカリに腕をつかまれてしまった。
同時にハヤトらしきため息と、レイの声が聞こえた。
「ハール、今の主役はあなたじゃない。ぼーっとしないで。」
レイの声は透明感がある。耳にとても心地いい。上品に、でもピシャリというレイに僕の背筋は自然に伸びてしまう。
「あ、ごめん。ちょっと考え事してた。それで、侵入経路について確認?」
「そうだ。まずは敷地内に入る場所から順を追って確認していこう。具体的な作業についても一緒に確認するぞ。」
次に聞こえてきたのは、レイの心地よい声ではなく、冷めきったハヤトの声だった。
「内部の映像もできる限り送るから、スマホ出せよ。」
ハヤトが続けてそういった。




