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目に光をともす9

空港を出ると、道は山の中へと突き進んでいく。空港そのものが、種子島の中央にあるせいだ。たいてい島の真ん中には山がある。


ヒカリの操る車は、山道を走っているとは思えないスピードで、連続するカーブを軽やかに進んでいく。確かに僕らが住んでいる地域は山がちでヒカリは普段から山道の運転になれている。


車の運転が好きなのは知ってたけど、さすがに上手いな、と思って僕はヒカリの横顔にちらりと目をやったが、ハンドルを握り、カーブの度に最適な減速と加速を繰り返すヒカリの顔は僕が予想する以上に真剣そのものだった。


なんだ、実は余裕ないのか。


そう思えば、なんだか妙にヒカリが愛おしくなる。

真剣な表情のヒカリも、凛々しくていいな、なんて思ったが、真剣な時にそんなことをいえば、冷たい一瞥を投げられ、後から真面目にやってる時にふざけないでと、お小言が降ってくることは予測できたので、だんまりを貫き通す。

僕は少し肩をすくめて、シートに身を沈めた。


車はやがて峠を越え下に入った。しばらく行けば集落があり、そこをぬければ海辺の道に出るはずだ。


レンタカー屋のオフィスの壁に貼ってあった種子島の地図を思い浮かべながらスマホを取り出して時間を確認した。まだ、急がなければならないことにはかわりなかった。


その時、コミュニケーターからハヤトの声がした。


「ハル、きこえるか?」

いつものようにヒカリと目配せすべくヒカリの方に目をやった。しかし、ヒカリはしっかりと前を見て運転を続けている。


「ヒカリは運転中だろ。これはお前にしか繋いでない」

まるで僕の心の中を覗いたかのように、ハヤトの言葉が続いた。

「黙って聞け。おそらく確認したと思うがそのまま行けば、集落に出る。集落の中にアイショップというコンビニがあるから、その店に立ち寄れ。いいか、必ず立ち寄れよ。」

ハヤトの声はかすかに緊張感を帯びていた。

黙って聞け、と言われた言葉をつい忘れ、疑問を呈そうとした瞬間、釘をさすようにハヤトが言葉を重ねてきた。

「質問には後で答えてやる。とにかく立ち寄れよ」

ぶっきらぼうに通信がきれた。


僕の言いかけた言葉は宙に浮き、それを飲み込んでは、いつものハヤトペースにため息をついたが、運転に夢中であるヒカリはそのことに気がつかなかったようだ。


集落に入ると、先の方にアイショップが見えた。僕はヒカリに、ハヤトがあの店に入れだと、と簡潔に告げた。





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