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「いただきます」
そう言って、ティナは慎ましげな手つきでマーガリンをすくった。つくづく思うことだけど、やはり異国の血が混ざった人間には洋食がよく映える。彼女がパンを頬張るさまを眺めていると、訳知り顔でお手製のパスタを振る舞っていた昨日の僕が滑稽に思える。日本人はせいぜい白米をかっ食らっているのがお似合いということなのだろう。
そして、ここからはまた僕の仕事だ。ティナにサラダを堪能してもらう間に、シドウにも朝食をやらなければならない。
ステンレスでできた色味のないビーカーに、冷蔵庫から取り出したジュースを注ぎ入れる。ペットボトルに詰められたそれは、ジュースと形容するには大きすぎる質感と重みを持ち、どろどろした見た目をしている。あえて形容するなら、吐しゃ物のような感じだ。中身が何なのかは僕も知らない。
シドウは口が開けないので、摂取するものもこのように特殊な形態となる。こいつを、鼻から流し込むのだ。




