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彼女はおそろしく美しい。
卵型の曲線を描く輪郭に、明らかに日本人の血統からかけ離れた表情が彫られている。ティナも存分に整った顔をしているが、彼女はそれ以上に、なにか危険な魅力を含んでいる。生まれついての不幸を匂わせているというか。僕が彼女とはじめて会ったときなど、心臓を押さえつけられたみたいな気分で、一瞬息を続けることすらままならなかったほどだ。
だけど、彼女にはその美貌と並ぶほど……いや、もしかするとそれ以上の「特異点」がある。なぜそうしたのか、あるいはそうなったのかは分からないし、本人に聞くことは叶わないのだけど、とにかく事実があるのだ。
彼女の唇は、その艶やかな青紫を覆い隠すようにして、縫い物のように針金が通してある。
いかに顔色を繕っても、きつく結われた口先だけは動くことをせず、無表情なままだ。そのせいか、結果として彼女の顔はいつも透明で、内面を写さない。この特異点こそが、彼女を支配していた。
「水面」を意味する「Sideauw (シドウ)」という名前は、これ以上なく彼女に似つかわしいものだった。




