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「きょう雪は降ってなかったと思うんですけど、どうしてですか?」


 僕は一瞬戸惑ったけど、ティナの目線が僕の頭上へ向いているのに気づくと、今度はとたんに恥ずかしさがこみ上げてきた。


「来る途中、木から落ちてきたんだ」


「ふふ」


 ティナが笑った。包み隠す様子はなかったけど、決して不快なものではなく、上品な微笑といった様子だ。その表情からはどことなく老練さが見て取れて、今日も今日とて、この家の住人にふさわしく存分にミステリアスな陰を含んでいる。

 僕はいたたまれなくなって、適度な愛想笑いで話題を取りやめ、食卓に目をやった。それを察知したのか、ほどなくしてティナは「では、お願いしますね」とだけいって、リビングの向かいの自室へ行ってしまった。

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