第六話 勇者が旅出たようです
文才が欲しいです・・・
「すごいです! タツヤ様! 騎士団長に勝ってしまうなんて!」
「ん、あぁ・・・」
ボードンとの闘いの後、部屋に戻ったのだが、ドアの前にティアが立っていた。
ってか、なんで俺が勝ったこと知ってんだろ?
ちなみに、ボードンはメラ○ーマを喰らったのだが、無傷だったそうだ。
「まだ教えてもいないのに魔法が使えるなんて、タツヤ様にはやはり、勇者の器があったんですよ!」
あ、そうだ。俺の能力について説明しないとな。
俺は普通の男子高校生なのだが、ドラ○エの呪文が使える。
何故使えるようになったんだっけな・・・ 確か、俺が中学生のころ、「もしかしたら俺も使えるんじゃね?」と考え、試しにメ○を唱えたら炎の玉が飛び出てからだ。
「なんでできるんだよ!?」とはツッコまないでくれ。俺にもよく分からんが使えてしまうんだから。
MP?そんなの必要ないな。
「・・・それで、次は何をするんだ?」
「あ、はい。食事の用意が出来ていますので、食堂へ。その後は戦闘訓練となります」
「やっと飯が食えるのか・・・ ティア行こうぜ」
俺は食事を取った後、訓練をしたのだが、かなり疲れた。休憩がないとかマジありえねぇ。
そして、翌日からも戦闘訓練が続き、それは、一ヵ月にも及んだ・・・
「・・・なぁ、本当に徒歩で行くのか?」
「はい」
「・・・この草原の中を?」
「勿論です。旅と言えば徒歩に決まっているでしょう」
異世界に召還されてから早くも一ヵ月が経った。
俺はこの世界の知識や常識、剣術などを教え込まれ、過酷な日々を過ごし、ついに先ほど魔王退治の旅に出発した。
本当なら、『出発の儀式』というのをやるはずだったのだが面倒なので、俺の権限で中止させた。
俺とティアは今、門を出た先に居る。そして、目の前に広がるのは果てが見えない草原。
俺はてっきり馬車で行くのかと思っていたのだが、どうやら徒歩らしい。食糧は、ズボンの中に入っていたカロ○ーメ○トしか持ってきていないのだが大丈夫かな・・・
「馬車は無いの・・・?」
「何を言ってるんですか! 旅の醍醐味は徒歩にありです!」
はぁ・・・ 軽装にしておいて正解だった。
俺たちの格好は至ってシンプルだ。
俺は白いワイシャツに黒のズボン、背に黒いローブを身に纏っただけのラフな格好、一方ティアは黒のワンピースに全身を覆う白いローブを纏っている。
「だからってなぁ・・・ 馬車で二日もかかる道のりを普通、徒歩で行くか・・・?」
「タツヤ殿、ティアはこうなってしまうと意見を絶対に曲げない・・・ 諦めろ・・・」
俺の少し後ろから男の声がした。
後ろに振り返ると、其処には茶色の髪を伸ばした青年が居た。
こいつはロイ・ウィルヘインズ。ティアの幼馴染らしい。
ロイは、昨日までは王様の近衛騎士だったのだが、俺とティアが出発すると知ると、近衛騎士を辞めて俺たちに付いてくることになった。
何故そうまでして俺たちに付いてくるかというと、ロイ曰く、「・・・ティアが居ない国に、俺が居続ける意味が無い」とのこと。
そして、ティアからもお願いされ、(仕方なく)計三人で旅をすることになった。
「タツヤ様! ロイ! 置いていきますよ~!」
いつの間にかティアは歩き出していた。
置いて行かれるのは勘弁なので、俺はロイと一緒に追いかけ、次の町を目指していくのであった・・・
「少し休まねぇ? 俺の足が悲鳴を上げているんだが」
「? まだ10キロも歩いていませんよ?」
アイカンから出発し早3時間。
俺たちは真っ直ぐに草原の中を歩いている。
何処を見ても緑が広がっていて、俺たち以外に人っ子一人もいない。
ってか、さっきから景色がほとんど変わっていない。変わっているのは、地形と雲の形だけだろうか。
「食事がてらに休憩をすれば良いだろう・・・」
おぉ、ロイ、ナイスだ。
「・・・そういえば、もう昼ですね。では、此処で食事をするとしましょう」
「ふぅ~ やっと座れる・・・ ティア、食事を出してくれ」
「へ? タツヤ様が持ってきたのでは? 私は持ってきてませんよ」
「マジで?」
「マジです」
思わず泣きそうになったね。
・・・これは非常事態だ。
仕方ない。ロイに情けをかけてもらおう。俺はロイが座っている方を向き、
「ロイは何か持ってきt「キャアァーーー!」
助けを求めようとしたのだが、前方から女の子の悲鳴が聞こえた。
・・・あれか、勇者としてその娘を助けろということか。
何時もの俺なら人助けなんて面倒だからしないのだが、美少女なら話は別だ。全力で助ける!
え? なんで美少女だと分かるかって? 俺の視力は10.0(推測)なんだよ。おかげで遠く離れた人の顔も正確に分かる。
「ティア! ロイ! 行くぞ」
「・・・承知」
「え、女の子の声が・・・ ってタツヤ様ぁーー! 速いですよ~!」
出遅れたティアは放って置き、俺とロイは女の子が居る方向に走り出す。
俺は、ビオ○ムを掛け、オリンピックの選手も驚く速度で、女の子を襲うとしている狼型の魔物に駆け寄る。
そして、刀で横なぎに一閃。
狼型の魔物の身体を綺麗に、三体同時に切断する。
そいつらは、何が起きたのか分からないまま息絶える。
俺は刀に付いた血を払い、鞘に納めながら女の子に近寄り、
「大丈夫か?」
と、声を掛けた。
この少女と出会ったことで、俺の運命が大きく変わることも知らずに。




