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ラスボス直前でセンター争いが勃発しました  作者: 水鳥 いつき


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1章 最後の戦い

こんにちは水鳥いつきです。

一度書いてみたかったファンタジーに挑戦します。最後まで読んで頂けたら嬉しいです。

「ギャー!」


大神官デービスの断末魔が響き渡ったその時、眩い光と共についに現れたラスボス魔王!


「我こそは魔王、全てを統べる者。我を邪魔する者は消えて無くなるのだ」


圧倒的な存在感、悪魔の王に相応しい恐怖の魔王の姿は神々しくもあった。


私の名前はアイラ。

戦士として前衛を担当、私たち女の子5人のパーティはついにこの日を迎えた。魔王を倒すこの時を……!


私は振り返り仲間を見た。そして盾を構えて、聖剣を握りしめる。最後の戦いが始まる!


「みんな準備はいい!」


アーチャーのパークちゃんは既に弓を構えていた。流石だ。盗賊のリンドーちゃんは身を守りながら、薬草の準備をしている。

僧侶のラフロちゃんは呪文を唱え、私たちの防御力を上げる。しかし魔法使いのブレアちゃんだけがなぜだか下を向いている。


「どうしたの?魔力を封印された?」

リンドーちゃんが心配そうにブレアちゃんを見る。


するとブレアちゃんが意を決した様子で口を開いた。


「ねぇ、センターいつもアイラちゃんじゃん。もしこのまま魔王倒しちゃったら、このフォーメーションのまま王様の所へ帰るのかな?」


「えっ……」


「前からずっと思ってたんだよねー、たまにはセンター変わっても良いんじゃないかなって」


「それそれ! 私もいつも後の方だから、たまには真ん中に立ちたいなって思ってたんだよね」

弓を構えたまま、視線だけはこちらを向いてパークちゃんも同意する。


「だ、だって私、戦士だし……耐久力一番あるから先頭じゃないと……先制攻撃されちゃったりしたら……」


「先制攻撃なんて滅多にされないし、私たちレベル高いから別にHPそんなに少なくないと思うんだけどな……ほら僧侶って、みんなを強くしたり、回復したり、裏方にまわって一番頑張ってると思うんだけどな。だから普段はセンターでもいいんじゃないかなって……べ、別に私、センターになりたいって言ってるわけじゃないの……」

ラフロちゃんも下を向いたままだが、私にハッキリと反論してきた。


「魔法使いってHPが低いってだけでいつも後にまわされてさ、写真を撮る時にいつも見切れちゃってるんだよ」

ブレアちゃんが不満を表に出す。


「べ、別に私はセンターじゃなくてもいいよ、じゃあブレアちゃんセンターやる?」

私は言い出しっぺのブレアちゃんにセンターを譲ろうとした。


「ちょっと待ってよ! いつも宝箱開けたり、鍵を開けたり盗賊って大変なんだから、もし宝箱にミミックがいたら最悪死んじゃうんだよ! センターで王様の所に帰って『魔王を倒しました』って言いたいな」

リンドーちゃんは隠すこともなくセンターを要求してきた。


「でも、リンドーちゃん全然戦わないじゃん! 武器だってナイフとか効かないよそれ」

ブレアちゃんは魔法の杖をリンドーちゃんに見せびらかした。


リンドーちゃんは怒った顔で、

「覚えてる、前の小さい村で魔将軍倒した時のこと。あの時、村の人がお礼に銅像を作るって言って銅像作ったじゃん。あの銅像のアイラちゃん、センターで剣を空に掲げてカッコ良かったよ……それに比べて私は完全にモブキャラだよ。盗賊のポーズなんて大体忍び足してる変なのしかないんだから……」


「盗賊が勇者みたくするの変だと思う。だって盗賊ってドロボーでしょ」

僧侶のラフロちゃんがいかにも聖人という顔をした。


「ド、ドロボーって……ひどい……」

リンドーちゃんは泣き出してしまった。


「ご、ごめん、そういう意味で言ったわけでは……」

ラフロちゃんが慌てて訂正するがリンドーちゃんは泣き止まない。


「……で結局、誰がセンターやるわけ? 喧嘩するなら私がやるけど、弓を空に向かって構えるの、カッコイイでしょ!」

パークちゃんは弓を空に向けた。


「ケンカはやめようよ……それじゃあ、じゃんけんにする?」

私はみんなを見て言った。


「絶対……むり!」

私以外の4人は声を揃えて答えた。


ふと見ると魔王は手持ち無沙汰な様子で私たちを見ていた。戦いが始まらないので困っているようだ。


「ほら、魔王も待ってるよ。早く戦おうよ!」

私はみんなを焚き付けたが、みんなは戦おうとしない。


「ねぇ、いったん帰ろう! ちゃんとセンター決めてまた来ようよ」

ブレアちゃんが提案すると、他の仲間も深くうなずいた。


ここまで来て……と私は思ったが、現センターの私がなにか言うとセンターを死守したいがために今戦おうとしてる、と勘違いされても困るので私もいったん帰ることに賛成した。


「我をこのままにすると、我の部下は復活するぞ!……いいのか!」

魔王は戦いたいのか、私たちに脅しをかけてきた。


しかし残念ながら意見がまとまらないので、結局、私たちは「また来るね」と言って、戦闘モードの魔王を無視して町に戻った。


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