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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第26話『ロゾー編!厄介者の浦安と改心中の表原!』
75/267

Cパート


「あれりゃ?」



ルミルミの高速移動はずば抜けており、自由気ままな性格も加えて一度野に放たれると手に負えない。

シットリかダイソンのどちらかが傍にいたのも、この危険性があるからだ。



「な~んだ、ヒイロの奴。もうジャネモンを出してたんだ」



からかいに行くとシットリに伝えるも、クールスノーを足止めしているヒイロがすでにその手を打っていた。ルミルミがお遊び半分でそれをからかいに行くのを止めたのは、噂と今の現実を見るべき、様子見。

まだ、ルミルミがこの場にいる事を知るのはシットリのみであった。



「じゃね~~~」



街の博物館に展示されていた恐竜の模型にとりついたジャネモン。

古代に生きて、死んだ生物が"喰らう"野生を飼い慣らす事で現代の怪物として誕生した。



ゴチュゴチュ



肉と血、栄養。

それらを欲する生物が街に現れれば、人の群れに襲い掛かる事も不思議じゃない。


「わーーー!人間を食べてる骸骨が現れたーー!」

「あれ、ジャネモンって奴よーー!」


体長7m。まだ骨の形が多いが、人間を喰らってかつての体を取り戻しつつある。かつての肉体を求めることは食事と野性の暴力。

住民達を容赦なく、喰らい続けるパニックに。



「因心界を呼んでくれ!」

「早く連絡して!」


対抗する力を持つ、因心界の名が挙がる。

死者はざっと10人以上。怪我人も多い。急ぎの解決が必要。

そんな中で



「あれはジャネモン!人の邪念を利用して、この世界を脅かす怪物だよ!」


まだ因心界に所属していないが、ロゾーと浦安がそのジャネモンに遭遇する。妖人となったからには避けられぬ、試練であり、宿命。邪念を祓う。


「ちょっと待ってくれ」

「え?」

「なんでいきなり、あんな強そうなのと戦うんだ?」

「ええぇ」


人間を喰らっているジャネモン。凶暴さを目の当たりにし、浦安。


「いや違うだろ。なんつーかこう……弱そうなのにしないのか?」

「立ち向かう勇気が必要です!!」

「絶対に勝てる相手と戦って自信をつけるべきだ」

「どんだけ下のレベルを捜さなきゃーならんのですか!?」


怖気づいている……というわけではないが、避けている。

この男


「というかなんで、俺が戦う?」

「いやいやいや!せっかく妖人になったんだよ!」

「させられた感じなんだが……」

「頑張ろうよ!!」


やる気がない。加えて、自分の意志を感じさせない。

とんでもない素質を秘めているのだが、とんでもない人間性じゃないのかとロゾーはこの時、遅いながら感じ始めた。

妖人の素質は人間性の欠如からくるものだとすれば、こいつは相当な感じだ。

人間として生きている意味を完全に放棄している。まるで人形のような人間。


「じゃね~~~!!」


ジャネモンが浦安とロゾーに襲い掛かってくる。もうヤバイと思って、浦安がロゾーに言ったのは


「助けろよ!」

「もーーっ!」


他人事だった。



シュピイィィッ


地面から4つのスタンドライトが生えてきた。そのライトはそれぞれ白、黒。赤、水色に光り輝き、浦安を照らす。

彼の身体がカラフルに光り出し、変身していく。

西洋の甲冑と、魔法使いのイメージのローブ。


「え?意味とか言うの?」

「そうだよ!!」


少し恥ずかしがっているのか、顔を赤らめている浦安。もう襲われかけているところなのに、なんで流れに逆らうとロゾーは思っている。

仕方なしの感じだが、


「『この世の全てを明かす者』、"グランレイ・プルーフ"」


意味にポーズもとって、



「じゃねぇぇーー!」



バヂイイィィッッ


ジャネモンに踏み潰される……。

さすがに長い変身時間は待ってられないと、先制攻撃。

腰が砕けるように地面に尻をつけるプルーフを守ったのは、変身のために使っていたライトの光だった。


「絶対証明の光!!」

「じゃ、じゃね!?」



恐竜のジャネモンは何度もプルーフとロゾーを踏み潰そうと躍起になるが、光りが壁の働きをしているような現象でそれができない。


「は、はへぇっ……」

「この光がある場所は絶対領域」


かなり狭い範囲なのが欠点であるが、即席にしては強力。だが、攻撃と呼べるものに反応している。多少の知能があればまず、そのライトの光を遮ってからの攻撃で突破可能。

ロゾーはその欠点も知っているから


「さぁ、立とう!」

「あ、ああ」


プルーフになれば、自然と高まって来る奇妙な力。抑えきれない力はまるで、天から与えられた才能をその体に宿したよう。身体を形成する細胞達が、かつてない戦意で燃えている。

防御がまだ成り立っている内に、反撃の拳をジャネモンの身体に叩き込む。

浦安という人間にとっては、初めて怒りも出さない拳であった。



ベギイィィッ



「!!いでええぇぇっ!?」

「ええええぇっ!?」




その猛った拳はあまりにも非力であった。


「え?え?骨いっちゃった?」


確かに超人的な能力ではなく、魔法的な能力。マジカニートゥやスカートラインなど、多少の身体能力強化があるレベルであり、最下位ではないが、低い方の身体能力。


「痛い痛い!なんだこの、怪物の皮膚!!」

「あ、うん……その……」


マジカニートゥのジャネモンの初戦は、決して硬度のある存在じゃなかった。しかし、プルーフの初戦は不運にも凶暴で肉体的にも強い怪物。浦安本体の非力さもあって、彼の拳が一撃で痛打したのには納得がいく。



「頑張って!!」

「お前が強くないのが悪いだろ!!」

「え~……」


浦安プルーフ、逆ギレ!そんな不和につけこんで、ジャネモンは攻めて来る。

人間を喰らって来た牙。強靭な顎。それに似合うだけの暴を持つ怪物の肉体。



ガシイィッ



「ずるいずるい」


建物の一つをその尻尾で払いのけるだろうに、たった1人の女性の片手一つで捕まえられ、動けなくなった。

彼女は少々、心が分かってくれる同類に抜け駆けをされてご立腹中。


『レゼンくんに嫉妬するなよ』

「味方のバフもできるなんて、マジになんでもアリじゃん」



その怒りを生み出されたジャネモン相手に、生身+身体強化で挑む。


「セーシと組んでる時よりはかなりパワーダウンしてるけど、これで十分よ」


野花桜VS恐竜型のジャネモン。



「ふんっ」


セーシをして、野花の戦闘技術は粉雪に匹敵する技量。本人がセーシとの妖人化を拒むだけの、本体の強さがある。尻尾を背負い投げしてから始める。



ドゴオオォォッ


「じゃねぇっ!!」


皮膚、筋肉、骨。どれも高密度であるが、柔らかさは並程度。カウンターに酷く脆い。

一本背負いからは尻尾を手から離し、起き上がり襲い掛かって来るところまで待つ。初手は不意打ちであったが、2手目からは戦闘技量の差を見せつける。



ガヂイイィッ



「口を開けたまま、走らない」


前傾姿勢で走ってくる恐竜の構造の弱点。顎、首が隙だらけ。ただ強く殴るのではなく、向こうが噛んでくる力に上乗せする形で顎を締めさせる。怯んだ隙に首筋の上に立つ野花。落ち着いていれば、野花からの有効打はここからは少ない。だが、パニックになったジャネモンは野花を振り落とそうと動いた。その時、見せる抵抗は無意識に弱点を晒す。

鉄壁な肉体だが、



「爪は尖っていても、剥がれやすい」


長い首を捩じって、野花の様子を探る隙。デカいだけが全てではなく、3つ、4つは先を読んだ動きが実力差をつけている。超接近戦は逆に小回りが利かず、いくつもの急所が狙われる。

まずは危険な爪から剥いでいく。マジカニートゥのバフもあって、本来は固いところも難なく千切れる。狙い所がエグイが、粉雪と違いスマートな戦い。その剥ぎとった爪を使って、ジャネモンの足の関節に一刺し。



「じゃっ!?」



傷を知らない者が味わうパニック。乗じて、体勢を崩す。相手の攻撃を止め、こちらから一方的に攻撃する。



「ふーぅ」



長期戦としてみれば、野花の勝利は確定している。もっとも、彼女の勝ちは絶対なのであるが……


『こいつ、タフだぞ』

「分かってるわ、セーシ」



力を借りずとも戦える事で、この決まった足止め役をする野花。

この間にすべきことをマジカニートゥに託していた。


「は、初めまして!」


少し緊張した声でマジカニートゥとレゼンは、プルーフとロゾーの2人の前に立った。

マジカニートゥの任務はプルーフの確保。因心界への手引き。そして、



「ロゾー!」

「お兄ちゃん!!」



レゼンとロゾーは兄妹。こんなにも早い再会に、両者抱き合って喜びを分かち合う。



「はははは!良かったぁっ!人間界に降りたと聞いてビックリしたから!」

「お兄ちゃんこそ!任務、お疲れ様!!今まで無事で良かった!」



ホントの妹がいたんだ……。

妖精の仕組みについては色々と謎があるものの。緊張しつつも、マジカニートゥはプルーフに話す。



「あ、わた、私は!マジカニートゥ!あなたと同じ妖人です」

「……………」

「私達、因心界はあなた達を保護しに来たのです!」



自分も体験してきただけに、分かっていると思う。妖人となった時に漲って来る確かで未知な力。プルーフの誕生からまだ1日も経っていないが、


「保護とか勝手に言うな」

「え」

「いきなり現れて、怪物も出てきて!俺はこんなの望んでない!」

「ええーっ!なんでそんなことを~……プルーフ!あなた、選ばれた者っていう気持ちで」

「これは選ばされた者だろう!?ロゾー!」



見知らぬ人について行かない。そんな気持ちもあるが、面倒ごとを嫌う方が強いか。



「ほっといてくれ!」



マジカニートゥではなく、表原として感じた浦安或の印象。

まるで、1か月前の自分が……



「俺はあんた達に興味なんかない!」



レゼンや因心界のみんなと出会わず、過ごして生きていた自分のようだった。


「プルーフ!因心界の人達が迎えに来てくれたんだよ!」

「だからなんだよ!俺は束縛される事は嫌なんだよ!」


野花がジャネモンを相手に押している事と、自分と同類だと感じてはいるマジカニートゥを見て


「なんなんだよ!俺はあんた等と関わりたくない!」

「うーん……」


マジカニートゥは首を傾け、腕組みまでして考え込む。見た感じ、年上だろう(そうです)。そんな相手をどうやって説得するか。

閃くと、野花達の方に指を差し


「あそこにいる、ジャ、ジャネモンとか!他にも危険な組織があなたを狙うんですよ!」

「じゃあ、このロゾーをなんとかしてよ。解約させてくれ」

「ええぇぇっ!?契約しちゃった以上、力を解放するまで解約できません!」

「なんのスマホだよ!?」


ああ、こんなやり取り。レゼンとした気がするなぁ。

って考えている場合じゃない!



シンシン…………



「雪が降ってきているのも、お前達のせいか!」

「!」



まだクールスノーの本気の力をマジカニートゥは知らない。だが、時間を掛けてんじゃねぇってオーラを感じさせる雪だ。向こうも相手がヒイロなんだ。


「ホ、ホントに危険ですよ!1人でいるのは危ないです!」

「知った事か!」


マジカニートゥの言葉にはどこか、嫌な予感が今にも起こりそうだったから。

言葉足らずも、声は大きく。プルーフの両肩を掴み。



「1人で生きていこうなんて!思い上がらないでください!」



どーいう風にこの浦安或とロゾーが契約をしたのか分からないが、この浦安或という存在が非常に厄介だ。

そういえば、妖人の適性にはそーいう人間の方があるというのを思い出すと、本当に性質の悪い事。



「おまっ」

「ふんっ!」



反論の声を挙げられる前に、マジカニートゥがプルーフに仕掛けたのは素人臭ささを出す足払いであった。

これにまったく反応する事なく、無様にやられるプルーフ。そして、寸止めの拳。



「言っておきますが、私は1か月前に妖人になったばかりです」

「っ……」

「知ってる限り、私より強い妖人は10人以上はいます」



殺す気なんて一切もないが、倒そうと思えば倒せることをプルーフに伝えた。



ピカッ


「!」

「!さがれ、マジカニートゥ!」



プルーフは両手の甲に仕込まれた光源でマジカニートゥを照らした。それだけでマジカニートゥが即座に身を退いたのは経験的なもの。レゼンの声よりも早く、身体が引いた。


「嫌だね」

「ちょ、ちょっと!プルーフ!ここはね!」


離れたマジカニートゥとレゼンを見つつ、起き上がるプルーフ。



「俺は別に好きじゃない。属する事なんか嫌だ」


マジカニートゥの仕打ちにキレたわけじゃあない。力がまだまだ漲ることを自覚し、開放するためでもない。

本人。関わりたくない。

だから、戦うという考え。

ロゾーは彼の足を引っ張ってまで、止めて欲しいと動いているが聞いてはくれない。



「なんで、お前等なんかといなきゃけない。なんで、危ない事をしなきゃいけない」



もっともらしい事。安全圏なら何でも言えたこともあるが、こうしたわずかな危機に直面して本音が出て来る。

誰しも危険な事に突っ込みたくない。そんなことは分かり切っている。

危険な事に挑む存在を、応援という名で自分に酔いしれる事に否定はなく。

立場変われば、自分の保身を大事にするし、そんな酔った奴を嫌う。



「……そっくり」

「あ?」

「ううん」



ふと、ついに、……漏らした一言。

この手のアレには何を言ってもしょうがない。

なにせ、彼の言葉は全てを否定したい=自分を認めて欲しい、という隠せないでいる承認欲求。

今手にした力がどーいうものか。


「承知しないぞ」


たぶん、今までに。力と呼べるものや誇れるものがないんだろう。

その癖、プライドだけは強く。個性や特徴なんてものがあるんじゃないかと、思い上がる。

グランレイ・プルーフの力でマジカニートゥを懲らしめてやろうとしていた。



「マジカニートゥ」



すでに本気は使ってしまった。


"推しが武道を志す(バイバイキルト)"


設置した空間内にいる味方・第三者の身体能力の強化、回復力の効果を促す力。

住民の被害、負傷者の補助。そして、戦闘員のサポート。この場に合わせた本気の空間だ。マジカニートゥにも、プルーフにもその効果は適応されており、ハッキリ言って能力なしと言えるだろうが。



「大丈夫」



レゼンの心配もなんのそのって、マジカニートゥは戦う構えをとった。

彼の手の甲から出て来る光が何かヤバイ。だが、長時間浴びてはいけないという落ち着いた思考をしている。

プルーフは大胆というか、考えもなしに自身の能力を使った。光を浴びた者を証明させる力であるが、それすら考えてないで使っている事だろう。

マジカニートゥは落ち着いてプルーフを諭す。



「次は、痛い思いをしますよ」



別にこっちの言う事を聞けと言っているんじゃない。

落ち着いて話をしたいし。味方になって欲しいのだ。戦うこと事が間違っている。



「五月蠅い!お前の方こそ、酷い目に合っても知らないぞ!」

「それはそっちですよ」



プルーフの動きはマジカニートゥにとっては、答えが載っているテストをやるぐらいの事だった。プルーフにとっては拳銃でも握っているような武器なんだろうが、それ以上の武力を持っているマジカニートゥにとっては玩具のよう。

様子見を挟んだのは効果時間を今一度、確認するため。



バシイィッ



「はあぁぁっ!!」

「!?」


プルーフの隙だらけな右手首をとって、小手投げを決めてみせる!!

照射され続けると発動するため、10秒以内に光から逃れるよう頭にインプットした。加えて



ガシイィッ


「ぐぅっ!腕をキめるなっ!」

「だ、だったら!この光を出すの、止めてくれませんか!?」


プルーフを地面に倒したのち、うつ伏せの体勢にして、腕をキメる!手の甲から放たれる光は地面に当てさせるように、手首をしっかりととっていた。最良な戦闘を瞬時に実行してみせた。

互いに必死にやっているが、戦闘経験の差がモロに出ており、互いにそれを理解していないのが面白い。



「つ、強いね。お兄ちゃんのパートナー」

「いや、自覚がそんなにねぇからまだまだだ。ロゾー」


戦闘一つで得ている経験が並の奴とは違っているし、これくらいの対応はレゼンも想定内という怪物ぶり。

そして、痛みのせいか。プルーフは妖人化が解除され、元の浦安或に戻る。



「ぐっ……」



力を失ったとみて、マジカニートゥもキメ技を解放する。

いつの間にか暴力をしてたと、ハッと気付く。順応しすぎた。



「わ、分かりましたか!」

「……話は聞くよ」



少々力づくだったのが、気に止んでいるところ。

だが、意味なくぶつける拳は収まった。


「……ん?」


そして、雪降る空からマジカニートゥはある気配を察した。



「は~~~………大人しく」



怒り顔の大魔神が空からやってくる。

身体を強く回転させながら、標的である浦安の腹めがけて



「こっちの事情に従え!!クソガキッ!!」



クールスノーが着地&攻撃をぶちかますのであった。


「ぐぼらあぁっ!!?」

「や、やり過ぎですよおぉっ!!」


当然ながら、一発で昇天する浦安。

上手い事、彼を抑えて説得も上手くいくかと思いきや、……。最後の最後で台無しにするクールスノーの一撃。


「ちょっ、何してんですかぁぁ!?」

「えっ!?私が悪いの!?」

「悪いです!はい!!」

「言うようになったわねぇっ!」


なんかムシャクシャしているクールスノー。ヒイロの事はどうなったんだろうか。



「一刻も早く、彼を連れて本部に戻るわよ!」

「は、はい!」

「ちょ!クールスノー!だったら、手伝って!このジャネモン!ちょっとタフなんだけど!」



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