Cパート
【録路空梧。我々の正体を因心界側が捜している。内通者の捜査を任されているだろう、表原麻縫とレゼンの始末を君に任せる。君がやらねばならぬ、指令だ】
"萬"の1人。江藤が死亡し、キャスティーノ団の中に動揺があったが。そのトップは驚いちゃいなかった。
こうしてやり取りをしたのは久しいものだ。
奴がよくやる手口だ。驚かせる場面で、冷静にイカレていると伝える心理的な圧迫指令。
江藤の死体を運んで自殺に見せかけたのは、録路であり。その時のメモが次の指令だった。
黒幕がなんら苦にもせず、江藤を葬れたのには。その隠れ家を録路が教えていたからだ。
「面倒な事だ」
あの時、ほっとけば良かったと。面倒な事になった顔で録路はアジトから出て行く。
黒幕からの直接の指示は録路しか預かっていない。部下達には録路のさらに上がいる事を知らない者が多いし、興味を抱いていない者もいる。
「頭鴉。お前にしばらく本部を任せる。飴子と茂原の様子見も兼ねてな」
「おーう。どこにでも行け。俺はもう妖人として、完璧だからな」
「お目当てがあったからって、調子に乗るなよ」
録路が完全に本部から離れた後に、頭鴉はビジネスパートナーに連絡を入れる。
この男も随分と図太い。
「沼川。俺だ」
『おぉ~、マイパートナー。ご連絡が来たという事は……成功したのだね。君が納得するくらいだ』
「そうだ。録路の奴は"次で消す"。そして、この組織の頂点に立つのはこの俺だ」
妖人になれる確率。そんなものはない。適合できる者が人間と妖精で各々別れてあるように、頭鴉が妖精を求めながらも、不正な契約を結ばずにいたのは、捜していた能力を持つ妖精と出会うまで待っていたからだ。
そして、妥協なしにそんな奴と出会った。
お互いに関係も良好。
得た強さ、知った成長は過剰自信に繋がる。それこそ、成長が成長と呼べるべきことを遂げた人間なのだ。
「そんで話しなんだが、以前に言っていた。これからの裏社会のルールを決めようぜ」
『ふふふ、気のお早いこと。こっちの約束も忘れてませんよね?』
「わーってる。護身用の、最高に使えるもんをやるからよ。決戦の時は来いよ、仕事なんかサボって夢を追おうぜ」
そして、その自信が偽りじゃなく。身の程知らずと納まるべきものか。
誰にでも大笑いされそうな宣言を互いがする。
「俺はこの力でまず、白岩印の首を狙う。録路と黒幕とやらはその後でいい」
『私は粉雪と直に、交渉致しましょう。力ずくとなれば、それはそれで。死んでもらえばいい』
因心界、3強の2名への宣戦布告。
"萬"がやられていっている事など、気にもせず。彼等は本気で狙う、夢想な下克上。
「因心界の支配。正義は俺達、悪の手で動かしてやろうぜ」
キャスティーノ団もこのままで終わるわけが無い。
因心界との全面戦争は様々な思惑が混じって、近づいている。
◇ ◇
様々な悪党達が動いている中。正義もまた、このまま黙って、やってくるのを待っているわけでもない。
飛島と分かれて茂原や黒幕の捜索をしている合間。
涙キッスは
『俺まで本気で準備させるなんてな。キッス』
「相手が相手だ。ルミルミを相手にすると思っていろ、イスケ。最悪、戦闘も覚悟の上だ」
自分の妖精。甲冑の妖精、イスケを身に纏っていた。スマホゲーの戦国美女武将みたいな姿となった涙キッスは、明らかに現在の目的とは違った行動をとっていた。
多くの妖人達の行動と位置を把握しながら、こんな時にどーしても確認しておきたい者に、出会っておきたかった。それも極秘でだ。
「いきなり戦闘になるかもしれない」
『本当かよ。キッスと戦える奴って……まさか、粉雪さんと!?お前は彼女が黒幕って思ってるのか!?』
「ま、似ているかな」
ちなみにであるが……。
「あれだな」
キッスが通っている場所は暗闇の地下通路。しかし、その傍では
プウゥゥゥーーー
地下鉄が走っているという状況だった。
革新党の情報網もそうであるが、涙一族が握っている情報もまた優れている。
彼女が向かっているのは
ドガアアァァッ
「うおおぉっ!?なんだなんだ!?」
「ぎゃーーー!なになに!?」
2人の親子が丁度、アフターヌーンティーを頂いているところを。下からお邪魔する。
見えている範囲内でのセキュリティ面が強く。革新党にもなるたけ。特に、粉雪には知られたくないため。こんな手段をとった。気を遣っているのと、もう1つ……。
「紅茶もたまにはいいなぁ。すまんが、私の分もご用意してくれないか?話し合いには飲み物が必要だ」
「!!い、いきなり何しに来たんですか!?というか、私は自宅療養中!!かつ仕事中です!」
「おっと、みんなに着てもらう衣装の準備をしていたか、野花。もうすぐ、定期撮影会の時期だったな。今回は、私も出てあげるぞ」
「私怒ってるんですけど!!何冷静に、歩み寄ってくるんですか!!」
キッスはそんなに不都合かと、疑問に思っていると。その答えとなっている、半裸の父親がキッスにも見えた。
「お、こりゃ珍しいお客様だ。紅茶でいいのかい?キッスちゃん」
「できるのなら、熱いお茶がいい。あるかい、育さん」
「無論だ。それにしても大きくなったねぇ、レディの要望に応えるのが男の器というものさ」
「スムーズに応対しない!父さん!上半身裸じゃん!服を着ろ!」
地下にあるお宅。
その下から大胆に入って来た涙キッス。彼女が会いたかったのは、
「野花。気分はどうだ?」
「最悪ですよーー!!なんで、……なんで私の家を知ってるんですか!?招待した覚えはない!」
「育さんとは因心界としてのスポンサー関係もあるからな。自宅も知ってた。相変わらずだな、育さん。イヤらしいお宅のままじゃないか」
「なーはははは!成長した美女がやってきて、そー言われると恥ずかしい!妻に言われるよりもな」
「嘘付けーー!全然、恥ずかしい顔してない!!如何わしいものは片付けてなさいって、言ってたでしょ!娘だけが!」
とんでもない登場に慌てていた野花桜。それ故に、キッスの様子が変わっている事に今気付いた。
「っていうか、イスケまで装着してるなんて!どーしたんですか?粉雪もビックリしますよ」
「話しがあってな」
「へ?私に……ちょっと、なんか勘違いしているんじゃないですか!?」
「していないぞ。とはいえ悪いが、野花。育さんも」
これから二人を殴る。
しばらく、眠っていてくれ。
ドタアァァッ
少々、力技で野花桜と野花育の2名の意識を刈り取ったキッス。
「さてと、粉雪には内緒にしてくれよ。あいつは許さんだろうからな」
イスケを連れて来たのは単に、こんな事をやるためだけではなかった。
◇ ◇
一方、
「ありがとうね、ルルちゃん」
そんなこんなで多方面で動きがありながら、空回り中の表原とルルの2人。
本部のいろんなところを案内されただけで、終わってしまった一日であったが、充実した感じの表原。
「ど、どーいたしまして」
なんか一日をムダに過ごしてしまった感じのルル。
表原が捜査に乗り出すと思っていただけに、残念な結果であった。
日も暮れそうな時、そろそろ病院に戻ろうと本部を出ようとしたところ。
「!」
「っ」
表原もルルも、凄く嫌な顔。蒼山とは違った警戒心でその者を見てしまった。しかも、その人はこちらの存在に早く気付いていた。
「あら、表原にルルちゃんじゃん。どーしたの?勉強?」
「き、北野川さん。私達、これから帰るんで」
「そ、そうです!」
「連れないわね。っていうか、2人共露骨に嫌な顔するのはなんで?」
北野川話法。
別の意味で警戒するべきであるが、人間的な性格という意味で好かない。
「?」
目を逸らしたかったため、その格好に疑問を持てなかったが。レゼンはふと尋ねた。
「その荷物と格好はなんだ?」
北野川が背負い込むほどの荷物に、なにかのユニフォーム。
「レゼンくん知らないの?これから白岩達とテニスに行くのよ。これはテニスウェア」
「テニスって。え、北野川さんってそんな趣味があったんですか?」
「趣味ってわけじゃないけど。白岩がやってたから始めた感じ」
意外……。
「とても良い友達がいるんですね」
「蒼山と一緒にすんなよ、表原ちゃん……」
毒舌の素質がある。って、北野川はこの表原を見て感じ取った。
そんな言葉を言われたからには悪戯心が疼きだす。
「そーだ。あんた達も一緒にやらない?暇でしょ」
「帰るところなんですけど」
「いちおその、……病人ってことで」
「動き回れる二人を病人とは言わないでしょ。特にルルちゃんは戦おうとして、動いてるんだから。テニスぐらいできるでしょ。できなきゃなにしに来たの?」
そりゃそうだ。北野川の誘いを断ることに意味はないが、後々怖いことだ。
「わ、分かりましたよ!北野川さん!こー見えて、あたしはミントンやってたんで!見せてやりますよ!」
「面白いじゃない!ふふふ、表原ちゃんはどう?」
「ええぇっ!テニスなんてやった事ないんですけど」
「いいんじゃねぇの?やれよ、表原」
「んも~。レゼン……」
分かってるよ。北野川さんから誘われたのは意外だけど、なにか知れるかもしれないしね。白岩さん達も来るようだし。
「俺は観戦してるとするよ」
ただのお誘いだろうけどな。ルルの話しだけじゃ足りてなかった。色んな情報は必要だ。
「ところで4人ですか?」
「ううん。ヒイロも来るし、あのバカも来るわ」
「バカ?」
「佐鯨のこと」
「あー!なんか運動だったらノリノリでやりそうですねー。テニスもするんですか」
「なんでもバカだからそーいうのはできる。って、私が誘ったんだけど。覚え良くてムカつくわー」
と、言いながら。もうすぐ待ち合わせの時刻。
北野川のスポーツカーで向かう予定なのだが、どー考えても6人は乗れない。
「ヒイロにもう一台用意させてもらうから」
「妖精なのに車やヘリの免許持ってるんですよね、ヒイロさん。この妖精より有能じゃないですか」
「あ?……俺はミニエルフ型の妖精だから!人間ができる事はできねぇよ。俺が同じタイプなら余裕で運転できるしな!」
「へ~~。でもさ、私の頭の上に乗るの、辞めない?人でもしないよね?」
「ここが居心地が良い。ソファに座っている感じで気に入っているんだがな」
降りろって事はテニスとやらを、する気なんだろう。
スポーツのルールは細かく知らないが。
「北野川さんの持ってるラケットで、ボールを打ち返していくゲームなんだよ。テニスって。動くから邪魔」
「なんだそのゲーム。面白いのか?」
「面白いですよー!バトミントンも似たような感じですが、ボールをラケットで打ち込むのは楽しいですし、それがコートのギリギリに入ったプレーだと、もーカッコイイの、なんの!」
「説明が下手なのは伝わったぞ、ルルちゃん」
やった事もない競技にノリ気を見せた表原。本人の無意識的なもんだろうが、周りに流された感じでもなく。ひとまず、心を置いて。見つけてみようとしたんだろう。レゼンは頭の上から肩の上に乗るようにした。
「にしても、遅いわね。バカはいいけど、ヒイロには車の用意をしてもらいたいから。一緒に行こうかしら。たぶん、白岩の私室にいるはず」
「いいですねー」
そんなこんなで北野川と一緒に白岩の私室にお邪魔する表原とルル。
こーしたやり取りは久々な感じがしていて、こーいうのをどこかで望んでいた気がする。
移動中。
「面倒な奴等ねー」
「…………北野川さんって」
「なに」
表原と北野川の、意外な共通点。
「寂しがり屋?」
「!そんなわけないでしょ!ただ、暇が嫌いなの」
かつて、ではあるが。因心界と敵対していた組織のリーダーだ。
同じ仲間は全滅。
二度と会えないものだ。それを振り払っただろうか?聞けるわけもない。そして、本人も分からないのではないか。
一方で表原は、
「…………」
友達って呼べる人いなかったし、お父さんは苦手だったなぁ。すぐに転勤、転勤。勉強、勉強って。
そのくせ私やお母さんに当たったりするし。
こんな家族に生まれなきゃ良かったって、何度も思ったけど。
レゼン達と出会えた事は良かったなぁ。ギリギリ踏み止まって良かった。
寂しいのは辛いよ。
そんな北野川の無意識な心中を感じ取った表原だった。
本部にある白岩の私室を訪れる。北野川がノックをする。
コンコンッ
「白岩ー、ヒイロー。降りて来ないから、こっちから来たわよー」
「あ、ちょっと待って!」
「待たせてすまない。北野川」
ガサゴソと物音がする。聞き耳を立ててるつもりではないが。
「ねぇねぇ、ヒイロ。おでかけのチューしよ」
「しょうがないなぁ。甘え上手だね」
「だってだって、今日は2人共、お休みじゃん。一緒にいたいよ!」
その声の後に、3人共聞き慣れなちゃいない、液体が走ってる音が聞こえた。
なんか来ちゃまずかったという雰囲気になる3人。
そして、そんな事などなかったみたいに元気よく、扉を開けて出てくる白岩。
「ごっめーん!でも、遅刻は私の得意分野だから、許して!」
「まったく」
「清々しい言い訳ですね」
「って。ルルに表原も!?一緒にテニスに行くわけ!?行くわけですかー、この流れは!北野川ー!」
「ええ。多い方がいいでしょ」
「もっちろーん!」
プルンプルンッ
「…………」
白岩のダイナマイトな胸が、テニスウェアなんていう薄い服になってしまえば。1つ1つの挙動で激しく揺れまくる。
女性3人。少しは分けろよって、思いたくなるほどの重量感。
本人も無自覚であるが、邪魔そうな胸を時折見ている。
「サラシ撒いてるんだけどね」
「撒いててそれか!?」
北野川が第一声であげる当たり、相当気になるんだろう。サラシ撒いてても、明らかに北野川よりデカい。
「北野川、君のスポーツカーに6人乗れるのかい?」
「それだから、ヒイロ。あんたも車を出して。先に白岩と表原、ルルと3人一緒にスポーツ公園行ってさ。この子達に借りユニフォームとかラケット貸りて来てあげた。私は佐鯨のバカを連れて行くからさ」
「分かったよ。先に待っている」
「急いで来てねー!ナイトゲームも楽しいけどさー!」
今度は白岩とヒイロのコンビと一緒に行動することになった、表原とルル。
ヒイロが持っている車は野花や北野川と違って、普通の車だった。それだから表原もルルも、ちょっと疑問を投げかける。
「あれ?これだったら、6人行けたんじゃなかったんですか?」
「狭いですけど、行けそうでしたよ」
ラケットや着替えを含めると大荷物。でも、行けなくはなさそう。
「はははは、まぁ。気にしないで。別にね」
「うんうん。北野川がそーするって言うから、そーしようよ」
「?」
「??」
なんかよく分からない、はぐらかしをされた2人。
車で目的地に向かっていく最中、そこで白岩があんまり上手くない歌を歌ったり、無茶振りで表原とルルにも歌わされたりと、なんやこの迷惑車はって感じのハッチャけぶりをしながら、目的のテニス場に到着。
夕方ともあって、ナイター準備をしているタイミングであった。
「初めてなんだし、自分のサイズに合う服と、気に入ったラケットを選べば良いと思うよ」
「最初は楽しくGOーだよ!」
「は、はい!」
「じゃ、白岩。俺はコートの準備をしてくるから、2人の事を頼むよ」
「任せてよ、ヒイロ!!」
そんなこんなで、表原もルルもテニスウェアに着替え。ラケットも借り、見た目だけはテニス選手のそれになった。未経験も形から入るのが大事。
「お待たせですー」
「どーも」
今更だが、短いズボン履くのって緊張する表原とルル。
コートにやってきた時、北野川と佐鯨も到着していた。
「おー!また新たな仲間かー!いよー!表原とルルー!格好、似合ってるぜー!」
「ふんっ」
佐鯨はテニスウェアではなく、よく見るとバスケのユニフォームであった。本人からしたら
「靴はそれ用にした!服は持ってねぇから、似たような物にしたぜ!」
「全然似てねぇーよっての」
「はははは、テニスするんだ。格好は二の次で良いだろ」
「お嬢様や王子様がやるスポーツなんだから、佐鯨。そこんところのモラルを守ってよ」
「分かった分かった!今度の給料で買ってくるよ。ラケットやシューズの方が大切だと思ってよ!」
そんなこんなでテニスをやる6名。とはいえ、ズブな素人2名。1時間くらいはレクチャータイム。
「表原ちゃんもルルちゃんも、まずラケットの扱いを覚えていこうか。それから軽い試合をしよう」
ヒイロがカゴ一杯のテニスボールを相手コート際から優しく打っていき、
パアァァンッ
「しゃああ!」
強く相手に打ち返していく。という簡単で楽しめる練習を始める。
「佐鯨ーー!あんたは球拾いだ!!何、愉しんでる顔してんの!?」
「ええぇっ!?フォアハンドを見せてあげたんだが……」
「遊ぶのは私達、女性陣!お前等、男性陣は雑用だ!!あっちのコートに行きなさい!」
見本のつもりで華麗なショットを放った佐鯨であったが、北野川に注意されて球拾い担当に。そして、4人で順番順番に、球を打ち返していく。
バシイィィッ
「やあぁぁっ」
初めてのテニスであったが、ほぼ無抵抗な球を強く叩くということ。ただただ力を使う、体を使うって事が心に楽しさを与えた。表原もこんなことがかなり面白いとは思っていなかった。
「それじゃあ、今度はバックハンドで打ち返そうか」
極めたりしようとすると、技術の壁。肉体の壁。精神の壁に当たるものだ。
だが、人の多くはそのいずれかの壁を見ずに引き返す者。そんな電波な事がまだ知らぬ者達の足を止め、壁よりもさらに前。始める事すらさせないものだ。
利き腕方向に打つというのはそう難しい事ではない。だが、逆の利き腕で打ち返すとなると、難しい。コントロール、パワー、いずれも上手く伝わらず。フォアハンドとは全然、体が感じるものが違う。
パシイィッ
「っとー。なんか、違うなぁ」
疲れも来る。フォアハンドをやってからというのも、あるか。
「最初の内はみんながそーだよ」
「白岩さん」
「ラケットの使い方とか色々あるけど、まずやってみる事!思いっきり楽しんで、壁にぶつかろうよ!」
「それは怪我する」
教えたがりというわけじゃないが、白岩は楽しんでもらう事を一番に思っている。そりゃ上手い方が楽しめる。上手い方が理解もできる。テニスをやるなら試合は楽しい。より楽しい試合をするなら上手い人と良い試合をする。勝ち負けに拘らず、互いに全力を出したい。
「全力を出せば、人として成長ができるよ。そしたらもっと、すーっごい全力が出ると思う。表原ちゃんにはきっと、その力があれば無敵なんじゃないかな」
「無敵は言い過ぎかなって……。でも、ありがとうです」
それから6人は時間ギリギリまでテニスを楽しむ。
一通りの練習後には、2VS2のダブルスを中心にゲームを楽しんだ。そりゃ上手くもない表原やルルは足を引っ張ったが、相手コートに打ち返し、楽しいゲームを続ける。テニスの面白さというのをこの日によく知れた。
因心界達の少しの休暇は、こうして終わったのであった。
次回予告:
シットリ:なんであいつとテニスをしてるんだーーー!!ぶっ殺すぞーー!!
寝手:……………嫉妬爆発
シットリ:そんなに、そんなに白岩とイチャイチャするのが好きなのか!?キスまでしやがって!
寝手:……………ヤンデレ
シットリ:許せん!俺は絶対に認めん!!行って来い、此処野!!2人の邪魔をしやがれ!!
寝手:…………次回
シットリ:『ポイズンパニック&追撃の殺人鬼!表原、空から落ちる!』




