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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第8話『ゲキネツ!因心界VSキャスティーノ団、危険グループ”萬”の集結!』
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Aパート

「なにっ!?アレッチャーが死んだ!?」

「そうみたいよ」



キャスティーノ団のアジトでは衝撃が走った。本当にそれらしい、敵組織らしい応対。


「どーやら、因心界の幹部。太田が出てきたらしい。実力が分からない分、相手が悪いと言えるわね」

「幹部の……それも上位クラスの妖人が出てきたのは運が悪いな。あいつ等、容赦なく来るし」


アレッチャーの死。

飴子は近藤に報告するのであった。


「あ、でもなんか。その」

「ん?」

「アレッチャーの奴。ジャネモンを出したとき、狭い場所でやったもんだから、巻き込まれて死んだとか……」

「説明くらいちゃんと読んで使えよ!馬鹿野郎!!広い場所で周囲に人がいないところで召喚するんだよ!!だせぇ死に方すんな!え!?じゃあ、あいつ自身は戦ってないの!?」

「み、みたいね……」



キャスティーノ団、かっこ悪い……。とはいえ、ジャネモンがヒイロと交戦したのは事実。

特に涙ルルなどの因心界側の戦力を削り、戦闘地域に大打撃を与え、不安を煽れたのは大きい事だろう。これにより不安に付け込んだ邪念を発見できる。

キャスティーノ団が力によって街を乗っ取るのも、ありえる展開。


「"萬"の連中が来れば、因心界に大打撃を与えられるだろう。早く帰って来い、デブ」

「そうね。アイテムなり、妖精なりを連れて来て欲しいわ」


そんな感じのキャスティーノ団。

録路空梧の帰りを待ちつつ。因心界もそれに対応しないわけがない。




◇      ◇




ガシューーーン



そこは様々な衣類をクリーニングし、袋詰め、箱詰めしている工場であった。

衣類専門の生産、管理、配送するところ。そこが録路と"萬"のメンバーが会合する場所だった。




カリカリカリ


トッポを食ってる様が汚い。録路は待っているところである。



「遅ぇっ」


いきなり集合時間を過ぎても来ない連中。

同じ組織の中ではあるが、近藤達よりも扱いにくいため、冷遇もしている。

この工場は録路が抱えている莫大な資金によって、秘密裏に買い取られ、アジトの1つとして使われている。堂々とここのミーティングルームを使っての、会合であった。



「!」


群れて向かっている足音が聞こえる。

到着した。



「待たせたわね、録路。久しぶり」


意外にも、"萬"のリーダーは女性。

録路よりちょっと下の高校生といったところか。


「萬の全員、揃うのが遅かったものでね」

「全員分の席はある。座れ」

「じゃあ、みんな座って」


小宮山初理こみやまはつり

"萬"を束ねるリーダー。悪党ばかりいる組織に思える中で、彼女だけは凄く普通というか、真面目な優等生のような雰囲気を出した人物。何故、この組織にいるのか?


「まずは金の話しだよな」

「黙ってろ。俺が話すのは小宮山とだけだ。テメェ等の意見など聞かん」

「なんだと!このデブ!!」

「よしなさい。くだらない問答は要らないでしょ?分かってることを愚痴愚痴言わないの」


1つに言えば、小宮山以外には真っ当に話し合える奴がいない。

無法地帯ぶりはどこも一緒と思える。


「人数は5人。キッチリいるな」

「当然。そーいう前程でしょ?」


録路がトップを張っている事に対して、不満を持っている者もいる。とはいえ、金や武力があれば、嫌でも付き合うのも理解できよう。

長々と打ち合わせなんかやりたくないのは双方同じ。



「因心界を攻める。それに当たって、必要な戦力増強と削りがいる」

「!」

「まずは佐鯨を殺す。こいつは俺がやる」

「ついに幹部をやるのね」

「お前等は俺と佐鯨のタイマンを邪魔しねぇように、暴れてくれ。小宮山の相手もちゃんと生かしてやる」



その言葉に因心界に憎悪を抱く小宮山の目つきが変わっていく。

因心界を嫌っている者も当然のようにいるものだ。


「こっちも近藤達を使って、多少手伝う予定だ」

「ふーん。いよいよってわけ?」

「粉雪と白岩の2人は後回しだ。邪念なり、世間の不安を募って、物量で奴等を押し潰すのが得策だろう。涙キッスと太田ヒイロに関しちゃ、未知数が多すぎる。俺の不安要素はその2名だな」

「あなたって物事を"人として"考えてるわね」

此処野ここのほど、人間を辞める発想はねぇよ」

「あれは…………ねぇ」

「あいつ、まだ生きてんのかよ」


因心界の一般的な妖人はそんなに強くはない。数がいるだけであり、妖人になっても戦闘適正に不安がある者達が多い。それと平行して幹部を削るのは有効な手。


「こっちには妖精がいくらでもいる。お前等が手にしている、似た妖精達だ」

「……その証拠は?」

「あいにく、まだ秘密にさせろ。つーか、お前等は全員妖人だろ?近藤達に分け与えるためにある。あいつ等も戦力になるわけだ」


激しい戦闘がすでにもう見えてきている。因心界を打ち滅ぼしたい小宮山は確かに、その過程の大まかな部分はどーでも良かった。


「オーケー。引き受けるわ。ひとまず、"萬"はあんたの意見に従うことにするわ」

「なっ!小宮山!」

「黙っていなさい。これからは金の話しよ」

「話が早くて助かるな」



ドーンッとアタッシュケースを机に置く、録路。

数多くの妖精を抱えている事とその莫大な資金。これはもう明らかに録路個人の力ではない。



「1億のケースが3つだ。悪くねぇだろ」

「ふ、ふふふ。良いわね、もらっちゃうわよ」

「構わねぇさ」


高いか安いか。録路の表情から観ても分からない。これは録路も測れていないと見るべきか。


「じゃあこれから、俺達の本拠地に行くぞ。そこで俺が抱えている妖精達の話しもしてやる。近藤達にもまだ伝えてねぇしな」

「それは楽しみね。この3億が安いかも……」

「どーかな?お前は違うだろうが、小宮山」



話が終わり、録路は"萬"のメンバーを連れて、本拠地に連れて行こうとする。

まさにそんな時である。



ドゴオオオォォォ


「あ?」

「なに?」

「なんだぁっ!?爆発!?」



この工場で火災が発生する。録路も"萬"のメンバーも想定していない事であり、相手側は想定済みという不利な戦いであった。

すでに囲んでいるのだ。


「さーって!ここにいるんだよな!録路空梧、"萬"の連中!!お前等はこの佐鯨貫太郎がまとめて倒してやるぜ!!ここで終わらせる!逃げるんじゃねぇぞ!!」

「張り切ってんじゃないわよ、佐鯨。火災騒ぎの中、戦うなんて馬鹿じゃないの?」

「いいんです。人目のつかないところからの火事です。私達が暴れたらどのみち工場は壊れますし、向こうはそう来る。避難させるなら火事が一番です。ちゃんと誘導、安全も確保されています」



因心界が先回りし、張り込んでいた。

しかも、幹部は3人!佐鯨、北野川、野花!!加えて、派遣された妖人の数は46名!個人のレベルに加えて、数でも大幅に劣るキャスティーノ団。


『火災発生!火災発生!従業員の皆様は安全に避難してください!繰り返します!』


警報が響く。

録路達は確認を急ぐ。


「どーいう事だ?」

「つけられたかしら?」

「外を見ろ。それはねぇって言えるくらい、因心界の連中が来ている!奴等、ここに先回りして張りこんでいたに違いねぇ!」

「マジか!?どーやって!?」


こんなことができ、こちらの失敗をつけこめるとすれば……


「北野川話法の仕業に違いないわね」


ふつふつと醜い怒りを発する小宮山。因縁のある相手であり、因心界を恨んでいる理由である。


「……韮本の馬鹿が喋ったかもしれないが。俺は奴等に"どこで"、"いつで"は語らなかった。どーやった?」

「北野川の能力はそーいう事をキャッチできるのよ。韮本を通じて、あんたと私達が会合するのを知った。それだけを頼りに追跡してきたんだわ」

「厄介な奴だな」

「だからこそ、あいつは殺すべきよ。来てるのなら、私がやる」



あいつをぶっ殺すためだけに、これまで生きてきたんだから……。


「終わったら解消ね。金も要らない」

「ふん。構わねぇよ」


情報収集を得意とする奴は、戦闘能力以上に厄介である。秘密にしている事すらバレちまうとするなら、本当に北野川には早いとこ死んでもらいたいところ。小宮山がやるというのなら止めやしないし、撤退の機会も生まれるというものだ。


「因心界の"十妖テウスエル"が来てる!佐鯨に野花!北野川も見える!3人も来るのかよ!」



貴重故に早々戦地には出て来ない、あるいは壁にもなれる妖人が傍にいる。

北野川がこんなにも近くにいるのは最後の機会と思え、小宮山はこの不利過ぎる戦局の中で立ち向かおうとする。


火災している工場で激突する、因心界とキャスティーノ団!




◇      ◇



「行くぜ!北野川、野花!」


堂々と戦場に踏み込む姿は、熱い正義を背負った男。


「さっさと行って倒して来なさいよ」

「頑張ってね、佐鯨くん」


しかし、女達は暑苦しさを嫌うわ、そもそも戦う事を好まないのであった。


「いや!ここは戦うところだろうがよ!敵のアジトに突撃って熱い展開だろぉぉっ!」

「うぜっ」

「私はあなたに代わって指揮をとるだけ。戦闘はしないわよ」

「おかしいだろ!敵を追い詰めたのにそのやる気のなさはなんだ!?熱くなれよぉぉっ!!」



鼻息荒くする佐鯨。特に録路を追い詰めたといえる状況に、興奮と緊張、クライマックスを感じられるところで熱くならないとは何事か。時間もないのだ。


「野花。行きなさいよ」

「なに、北野川!私に命令する気?」

「私はここにあいつ等が来る事を掴んだ。それだけで十分な仕事をしたの!」

「私は!あなたも指揮をとれないから、代理で来ているの!」

「火事になってる建物に突っ込めって馬鹿なの?」

「しょうがないでしょ!これは私の提案だけど、私は戦闘をしないという条件で考案したやり方だから!!アジトを包囲して、あなたと佐鯨が敵を抑え込む作戦!私は逃げた相手をとっ捕まえる!前に言ったでしょ!」

「自分だけ楽してんじゃないわよ!」

「なによ!?あんたにその頭がないのが悪いじゃない!」


なんて醜い女の言い争い。そして、男は巻き添えを食う。


「「佐鯨!さっさと敵を倒して来い!!こいつと一緒に居たくない!!」」

「なんでそーなるんだよ!!俺は戦うけどよ!俺1人で突撃って、どんな作戦だ!?おい!敵が散れば俺1人で追えないじゃねぇか!煙と炎で周囲が確認し辛いのによ!せめて、幹部2人で突入だろ!」

「それは嫌!なんで汚れるところに行くの?メイクして毎日外に出てるのにさ!」

「私は戦いたくないし!そもそも、私はあなた達とコンビ組んでないし!臨時だし!」


協調性はおそらくないだろう。相性というものがある。

常識人という評判がある野花であるが、この北野川が嫌いなのである。

同じく、粉雪も北野川の事を嫌っている。煽り仲間であるが、同族嫌悪と呼べる関係だ。


「白岩がいてくれたら、佐鯨と一緒に特攻してくれたんだろうけどね~。この清楚猫被り淫乱女は使えないよね」

「粉雪だったらあなた達が出るまでもなく、片付いていただろうけどね~。低脳DQN小娘が調子に乗ってるね」



互いに意識し、ぶつかり合う。

佐鯨もてんてこまいの女子の心は複雑である。もっとも


「キッスさん。なんでこーいう組み合わせにしてんだよぉぉっ」


涙キッスも女である。

むしろ、こーいうことをやりかねないと、第三者の目線で思う佐鯨は苦労しているであった。

とはいえ、野花に指揮を任せる手前、


「北野川。お前が来い。俺のパートナーだろ」

「誰があんたのパートナーだ?この馬鹿」

「野花さんは俺達の代わりに協力してくれた。仁義を通すなら……」

「私に仁義なんてものはないんだけどっ!?ねぇっ!!」


こいつ、やべぇ。

そんなヤバさを対抗する言葉は、濁りなく澄み切った言葉ぐらいか。


「お前が俺から離れたら護ってやれないだろ!良いから!お前ごと護って敵を倒してやる!」

「キモッ!あーっ、気持ち悪い!これだから体育会系とキモオタはうぜぇーし、きめぇ」


告白したつもりなんてまったくないし。佐鯨だって、北野川のことが気に食わない。それでも男はそーいう奴なのだ。しぶしぶと佐鯨の頭を下げたお願いに、化粧品代を要求し、工場に突入する事になる。

佐鯨と北野川を含め、妖人15名が突入が決定。


火災のフィールドは人間状態ではキツイ。



「バーニ!」

『うん!』

「カミィ!」

『はいにゃ!』


当然のように、妖人化する。


「『勇気よ熱くぅ、もえ上がりゃあ、ブレイブマイハート』」

『難しく噛んでるし、声裏返ってる!勇気よ熱く、燃え上がれ、ブレイブマイハート。はい、解除!』



佐鯨は電子レンジの妖精、バーニの力で、ブレイブマイハートに変身!変身すると女性に変身する。


「『Talk Dancing、"シークレットトーク"、オ・シ・エ・テ・ネ』」


手鏡の中にいる妖精、カミィの力で北野川は、シークレットトークに変身!

シークレットトークは分身、分裂しているタイプであるため、野花は安心して


「やっぱり私が突入する必要性ないね。これで幹部は3人」

「あ~ん?お前から始末してあげようか」

「私達、あんな場所に行きたくないんだけど!」

「終わってからにして!終わってからに!行くよ、二人共!」


ようやっと、因心界の面々がキャスティーノ団のアジトに突撃していく。

この工場の正面から佐鯨達は突入し、さらにそこで16名の妖人が待機。

野花は後方で、敵が逃げる可能性がある場所を抑えに回っていた。正面突破でブレイブマイハートとシークレットトークを倒すのは難しい。きっちりと敵とぶつかりあえば、倒せるだろう。逃げる箇所をこの戦地二番目の戦力、野花が待機することで無傷で助かるなんて事はまずありえない。本人、戦意はないが。

野花の立てた作戦は定石通りの挟み撃ちであり、安定して敵を狩れるもの。

録路達の対応はどーいったものか。



モクモクモク



「あっつ。煙がもうここまで」

「げほっ、ごほぉっ」

「因心界の奴等。正気か!?工場で火災を起こしやがって!止まんねぇぞ!!」


悪党も、それに準じる事をやられたら、そんなことを思うらしい。



「良いじゃねぇか。どのみち襲撃ありゃあ、こんなとこぶっ壊すつもりだった」


録路はそーいう事を非難する気はなく、交戦の構えでいた。


「妖人化すりゃあ、多少の煙はどうって事ねぇ」

「!」


"萬"のメンバーは全員、妖人である。

ただし、少し分け有りの妖人達。それは涙キッスと妖精の国の統括、サザンがそれを追っている。不正な妖精達の力を用いて、妖人になっているのだ。


ある者は適合していない妖精と無理矢理契約し、ある者は不正に妖精の国を飛び出し、ある者は違法契約をしている者。様々である。

とにかく、妖人ではあるが、その力は簡易的だが不完全、不安定といったもの。ただ力を欲した結果か、運が悪いとか騙されたとかの類いか。



「マルカ」

『うん!』



録路を始め、"萬"の面々もこの火災の中で行動するため、妖人化する。野花はこれまで見切っており、これでここで働く従業員と録路達の区別をつける。従業員に紛れて脱出するのはより困難になる。



チーーーーンッ



「『このナックルカシーに食えねぇもんはねぇ!』」


録路もマルカのオーブンの中に入って、変身完了。

相手の作戦も瞬時に判断した上で自身も正面突破に行く。ここで念入りに確認した事は


「粉雪と白岩はいねぇんだよな?」

「戦力として確認できるのは佐鯨だね。野花は強いのか?知らん」


囲まれ、数の上でも不利である中。強気の迎撃に相手の判断があった。まぁ、この火災した状況ならば、粉雪はそう怖くないだろう。雪を扱う能力がこの火災と施設の中という条件では扱い辛い。外で待ち構えられる戦術を粉雪はとるだろうか。

ともかく、涙キッスの選んだメンバーと野花の作戦は、キッチリと録路達の逃げを封じていた。ぶつかりゃあ、勝てば良いだけだ。



「各々、撤退と脱出。5時間後にE地点に集合ね」

「小宮山は?」

「5時間後に会うわ」


"萬"の中で唯一、録路と共に迎撃の構えをとった小宮山。明らかにトップとしての構えではなく、個人的な理由での戦闘準備。

服と体の間。背中から取り出したのは、筒状の代物。これが小宮山の妖精。


「シシュウ。これがあなたと戦う最後よ」

『寂しいけれど、最後は勝とうね。初理はつり。嬉しく行きたいよ』


カレンダーの妖精、シシュウ。

妖精の国より不当な手段で人間界に降り立った妖精の一頭である。

シシュウを握り締め、小宮山も


「『クルクルクルリン、まとめ開いて、ペーピング・レンダー』」



クルクルクルリン



小宮山の体が一度筒状になりながら、再び開かれて人間体になる。

ペーピング・レンダーへの妖人化に成功する。

違法な妖精の力を借りての妖人化であるが、その出力や制限に難を抱える。録路と共に、という言葉は無いが。



ガリイィッ



「抜け穴は作ってやる」

「私は勝手に行くわよ」



ドゴオオォォッ



チョコを食べたナックルカシーは先ほどまで使っていた、会議用の長机を掴んで、天井めがけて投擲する。

その威力は軽々と天井を突き破り、分厚い屋根すらも貫通させるほどであった。

それだけでなく、近くにある工場の機械も天井の外をめがけて、投げ飛ばしていく。



「なんだ!?いきなり、机が外に出てきたぞ!」

「それだけじゃない!」

「上から出てくる気か!!」



外で囲まれていようと、火災の状況は向こうも上手く意思疎通はできないだろう。

それに加え、派手に暴れた事で向こうだって望んでいる、戦闘を誘っている。録路個人のやり方であった。



「なんだ!?あいつ等、どこを攻撃してるのよ!?上から脱出!?」

「早く行きなさい、ブレイブマイハート」

「私達のペースに合わせず」



工場は4階建てであるが、1階の高さは10m。それより上は7.5mとかなりの高さがある。炎や熱は機械と衣類を通して伝わりやすく、煙はそれ以上に施設を覆い始める。妖人化によって多少軽減されるものの、人間だとしたらほとんどお陀仏であろう。

ブレイブマイハートとシークレットトークの2人の、3人はこの工場の数少ない階段を昇り、構成員の妖人を後ろに連れながら迫る。


「録路のナックルカシーはあんたの相手でしょ」

「分かってるよ!ごめん!」


何をしているかまでは把握できなかったが、大まかな位置は録路の行動から掴んでおり、ブレイブマイハートはそこへすっ飛ばして向かう。その瞬間に


「っ!?」


隙間のある階段の下から、スルリと入り込んできた薄っぺらい物が人の腕の形となって、武器とは思えない"筒"が、シークレットトークの体を突く。柔らかそうに丸まっていながら、


ゴヂイィィンッ


「!?」


鉄!?何、この攻撃。

しかも、紙みたいに隙間を通ってきた。


「大丈夫!?」


階段から突き落とされたのは、本体であるシークレットトーク。片割れの方は驚き、階段で止まる。そして、因心界側の動きが止まる。


「シークレットトーク!?大丈夫か!?」


ブレイブマイハートの心配の声に、即座に反応して、訴えた事は……


「ちゃんと護りなさいよ!!ブレイブマイハート!!あとその他!!」

「味方にキレたーーー!?」


鉄の棒で突かれ、腰を地面に強打。頭はなんとか守ったが、自分は知りたくない痛みを味わうシークレットトーク。


「使えないわね!!あんた達!他のルートで敵を捜しなさい!!」


シークレットトークは起き上がり、襲撃してきた相手と向かい合う。

相手はさらに分身となっている方にも鉄の筒で攻撃し、突き落とす。


バキイィィッ


「あうっ!」

「やってみたかったわ、あんたをこーしてやることを……」


襲った相手が見下ろす姿に、腹が立つシークレットトーク。


「テメェ!いきなり!」


ブレイブマイハートがペーピング・レンダーを攻撃しようとした時。それを止めた声は


「あんたもだよ!ブレイブマイハート!!こいつは私達2人が相手をする!」

「!!」

「味なマネしてくれる……」


シークレットトークの2人が起き上がり


「ナックルカシーは任せるわ!他は、他の連中でやんな!邪魔よ!!」


珍しく、戦うという意欲を見せるシークレットトーク。そんな顔と思ったブレイブマイハートであったが、やっぱりそんなものはなかった。笑みが明らかに戦いに対するものじゃない。2人揃って


「よっぽど私に拷問されたいようね……」

「秘密を暴露されたいんだね……」


能力が明らかに戦闘ではない。それ故、戦闘にならない事を本人達は理解している。

ペーピング・レンダーにとっても、指名したい相手はシークレットトークであるも、今囲まれての袋叩きも覚悟はしていた。

分かっちゃいないし、能力の全てもまだ使っていないが


「指名も私のようねぇぇ?いいわよ、私は乗せられるタイプでもあるから」



勘はいいのだ。女だから。

それも超の付く、どSで、ど鬼畜、ど外道ってか。


「ねぇ?どこの誰かは知らないけれど」

「秘密も体もばらされて、死ね」

「………は?それはあんただよ」


シークレットトークVSペーピング・レンダー。



そして、時を2分ほど進めたところ。

階の最上階。どんな建物にもある階層。


「よぉっ、昇ってきたか」

「お誂え向きなところだね。決闘は屋上も良い」


下の女2人と同じく。男も同じ。(まぁ、ブレイブマイハートは女になるんだけど)

互いに望んでいた決闘。屋上にて始まる。


「俺のマルカとお前のバーニ。どっちが強いか、ハッキリさせてぇからな。同タイプの妖精」

「あたしはあんたに勝てる。バーニもマルカに勝てる!決まってる!正義は必ず、勝つから!」


ブレイブマイハート VS ナックルカシー。


因心界とキャスティーノ団の激突。


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