僕の場合
「…であるから、xの2乗を求めると…って…なぁ、尋。今日注意するの俺もう五回目だよなぁ…」
これは久々にまずいかな?って思う。
でもだからといって何もできない。
だから僕はとりあえず
「…はぁ…」
ってとても申し訳なさそうに返事をしてみたんだ。
でも今回ばかりは許してもらえなかった。
ベルが鳴り、授業が終わったことを告げる。
教室は一斉に慌ただしくなる。
僕は…というと未だ廊下に。しかも、バケツを持って。
教室からでてきた教師は軽く注意しただけですぐに僕を許してくれた。
さぁ、これで学校も終わり。
家に帰って何をしようか。
別にやりたいことはないけど、以前買ったままで放置してあったゲームをやってもいいし、読書してもいい、勉強に興ずるのも悪くはない。
家路についた僕は、まっすぐ、どこまでも続いていそうな長い長い直線のような地平線を見ながら自転車を漕いでいた。
時折肌に触れる風には春の匂いが漂っていた。
僕ももうすぐ高校生なんだなぁ…
桜を見ながら考えてたら急に今が惜しくなる気がした。
結局、中学三年間、何もできなかったなぁ…
ネガティヴになってきてしまった。
今日は何やってもうまくいかないかもね。
今日の予定、睡眠。
どこまでも続く桜並木の横を猛スピードで滑走すれば気分も晴れるだろうが、今はする気にはなれなかった。
桜狩りをして楽しむ老人達をはた目に、僕は自転車を漕いでいる。
春の陽気は人をむらっ気にさせる。
急な爽快感、急な欝。
春はすぐそこ、僕の近くにも。
『三笠 尋』とかかれた学生カバンを揺らし、さっきとは打って変わって爽快な気分になった僕は自転車で走りだした。
今日の予定、読書!




