0 任務相手
桜の花びらが一枚俺の額にのる。
「いい天気だなぁ……」
暖かい陽光がベンチに寝転んでいる俺を照らす。
そのとき誰かが俺の顔を覗き込む。
「あ、リートさんどうかしました?」
「『どうかしました』じゃないよ。君、今日別の人と任務でしょ。」
「あ。」
「はぁ〜」
リートの髪が風でたなびく。
「怒られたくなかったら急ぐんだね。あと三分しかないけど。」
「え、ちょ、じゃあいってきます!」
俺は走り出す。
階段を上って廊下を走る。
「ひぃ〜ギリギリセッ……」
「アウト。」
黒いソファに座っている男性が言う。
「そんな冷たく言わないでよ、佐竹くん。」
「どうでもいいから早く座ってください。」
「……」
俺はソファに座りながら言う。
「俺の任務相手って佐竹?」
「違いますよ。隣の部屋で待ってます。」
「あ〜。なるほど。」
「任務説明します。M-12エリアの蕾掃除です。」
「蕾?やばいじゃん。」
「だから掃除するんですよ。」
「OK〜。行こう。」
「その前に任務相手の紹介です。」
佐竹は立ち上がると隣の部屋へのドアノブを握る。
「忠告しときますけど、相手はあなたより上の立場にいた人です。それに少し怖いらしいので気をつけ
て。」
「佐竹も人のこと言えな……ごめんなさいなんでもありません!」
佐竹は俺を睨みつけながらドアを開ける。
静かな部屋の窓際に一人の男性が立っている。
青みがかった黒髪を後ろでくくっていて、耳飾りが揺れている。両目の傷跡が目立つ。背中に細長いバックを背負っていた。
青緑の鋭い目が俺を見る。
佐竹が俺を指差しながら男性に言う。
「すみません、少し遅れました。こちら、任務相手の鳳宮凰理です。」
男性はハスキーな声でそっけなく返す。
「霞城篠雨だ。」
「よろしく!」
そう言って俺は握手しようと手を差し伸べるが、篠雨はスッと俺の横を通り過ぎる。
え……?
篠雨はドアを開けるとスタスタと歩き去っていく。
「いや、ちょっと待って!佐竹、いってくる!」
「がんばってくださいー。」
佐竹の棒読みを聞きながら、俺は廊下に出る。
変わらず陽光が地面を照らしている。
「追いついた……一言ぐらい言ってよ……」
篠雨は俺をチラリと見ただけでそのまま歩いていく。
ずいぶん無愛想だなぁ……
そう思いながら横に並ぶ。
「な〜んも喋らないけどさ、チームプレイって大事なんだよ!リートさんが言ってたことだけど!」
そのとき、ようやく篠雨が口を開く。
「お前みたいな抜けてる奴と馴れ合う気はない。」
「えぇ〜。いいじゃん別にさぁ。」
と俺は返すが何も返ってこない。
篠雨に喋りかけながら、階段を降りて車に乗る。
車内でも話そうとするが、ほとんど無反応。
困ったなぁ……
「よし!名前の由来教えて!」
シーン。
俺……こいつと任務できるよな……?
桜が空を舞っていた。
読んでいただきありがとうございます。
これからも少しずつ投稿しようと思っています。よろしくお願いします。
10/1 少し修正しました
10/6 少し修正しました




