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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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14 森での戦い方(2)

 冒険者達は、警戒したまま一塊となって前方へと歩き進む。


 ゴブリン達は、冒険者を取り囲むように左右に広がる。

 その途中、低木の枝に触れたようで微かに音がしたようだ。


 冒険者達の先頭にいた男がその微かな物音を拾ったようで、腕を横に広げて冒険者の歩みを止めた。

 微かな物音から自分達の横へと回り込むものがいたと言うことを察知したのだろう、真ん中へ女の冒険者を配置して、他の男の冒険者が四方を取り囲むように警戒態勢を取っていた。


 リーダーらしきゴブリンの合図と共に、冒険者の前方にいたゴブリン達が冒険者達の前へと飛び出した。


「隊列を崩すな、他から来るかも知れんぞ」


 冒険者達の先頭にいた男が声を上げながら、飛び出してきたゴブリンの攻撃を盾で往なした。

 次の瞬間、リーダーらしきゴブリンの合図で冒険者達の右側に回り込んだゴブリン達も飛び出した。


「やっぱり、回り込んでいたか……」


 右側のゴブリンの前に立ちはだかった冒険者が、剣で攻撃を防いだ。

 先制攻撃に失敗したゴブリンは、すぐに距離をとって右側の冒険者と睨み合う形になっていた。


「詠唱はまだか?」


 先頭にいた冒険者が、パーティーのメンバーにいるのであろう魔法使いに何らかの魔法の発動を要求していた。


 その間に、左側のゴブリンが飛び出して攻撃しようとしたのだが、こちらもその前に立ちはだかる冒険者により攻撃を防がれていた。


「行くわ、避けて」


 冒険者達の真ん中で守られていた女が叫ぶと、持っていた杖から魔法の火の玉が前方の冒険者へと放たれた。

 前方でゴブリンの攻撃を防いでいた冒険者は、身体を捻り込むようにして後方から飛んできた火の玉を避けると、その前にいたゴブリンに命中した。


「よし、押しきるぞ」


 前方の対処をしていた冒険者が、それを契機として打破を試みようとした。

 そこに、リーダーらしきゴブリンが先程の魔法を食らったゴブリンの前へと飛び出して、その勢いのまま前方の冒険者へ持っていた棍棒を振り下ろした。

 前方にいた冒険者は盾で受けるのではなく、そのまま転がるようにしてた棍棒を避けた。

 その隙に、先程魔法を受けて倒れていたゴブリンを他のゴブリンが抱え込んで後方へと引っ込んでいった。


「どうやら、他のゴブリンとは違うようだな……そっちはどうだ?」


 寝転んだ状態のまま、他の状況を確認しようとする。


「こっちも、あまり良くはないな……」

「こっちも同じだ」


「後ろはどうだ?」


「こっちには居ないようだ。

 どうする?」


「このゴブリン達は、これまでのゴブリンとは違う。

 逃げた方が良さそうだ」


「分かった」


「サリーは退きながら魔法で援護を頼む」


「分かったわ」


「ダンはこっちへ来て、手伝ってくれ。

 1匹、厄介なのがいるんだ。

 それ以外の相手を頼む」


「ジャンでもなのか? ゴブリンだろ?」


「こいつらは今までと勝手が違う。

 これだけ不利だと、勝てるか分からん」


 こうして、冒険者達の撤退戦が始まった。

 前方で盾でゴブリンの攻撃を防いでいた冒険者は、最後に飛び出してきたゴブリンのリーダーらしい個体の攻撃を防ぎながら、元来た方向へと少しずつ移動していた。


「ダン、避けて」


 リーダーらしきゴブリンの攻撃を防いでいた冒険者の後ろから、魔法使いが放った火の玉が飛んできた。

 先程と同じように身を躱すようにして火の玉を避けると、リーダーらしきゴブリンの元へと火の玉は向かっていった。


 魔法が命中したと思われたのだが、棍棒で弾き飛ばされていた。


 その隙に、冒険者は距離を取っていた。

 リーダーらしきゴブリンは、棍棒を構えたままその場で立っていた。

 冒険者達は追撃を受けないように、警戒しながらその場を後にする。


 冒険者達の姿が見えなくなったところで、リーダーらしきゴブリンは踵を返して他のゴブリン達の元へと歩き始めた。



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