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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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26 ゴブリン村での縄作り(4)

 ヴィーヴルは水場の傍に立ち、水の中に沈めてある木の皮を観察していた。

 触れていないので確信は持てなかったが、柔らかくなっているような感じはした。


「木の皮を、水の中より引き上げるのじゃ」


 水分を含んだ木の皮は、元の重さの何倍もの重さのものとなっていた。

 それは同時に、木の皮が十分に柔らかくなった証拠でもある。


『次の物は、我が引き上げる』


 そう宣言して、リーダーは水場の傍に立つ。

 水の中へと手を入れて、水の中にある木の皮を掴むと、力一杯に木の皮を引き上げようとした。

 とは言え、それだけの重さのものを引き上げるのは、ヴィーヴルならば難なく行えるがゴブリン1体の力では無理な話だ。

 木の皮は、途中まで水の中から顔を覗かせたものの、その全てを晒け出すまでには至っていなかった。


『お前、手伝ってくれ』


 近くにいたゴブリンへ目を向け、手伝いを求める。

 指名されたゴブリンがリーダーの下へと近づき、一緒に木の皮を引き上げようとする。

 すると、何とか水の中より木の皮を引っ張り出すことに成功した。


『じゃあ、次は私がやってみる』

『私もやらせて』


 まだ引き上げ作業を行っていないゴブリン達が名乗りを挙げて、水の中より木の皮を引っ張り出そうと試みた。

 勿論、1体では無理なので、3体、4体で一斉に引き上げた。


 そうして、全ての木の皮が地面の上へと、その身を横たえていた。


「今度はこれを、細かく割くのじゃ」


 ヴィーヴルは風魔法で、木の皮を細かく縦に割いた。


『我らは、剣で割くしかなさそうだな……』


 リーダーは剣で木の皮を縦に割いた。

 しかし、出来上がったそれは、ヴィーヴルの作ったものと比べて太いものとなっている。

 また、ヴィーヴルは木の皮1枚、全てが細かく割かれており、無数の紐となっていたが、リーダーが割いて作られた紐は1本だけである。

 ヴィーヴルのものは、すぐに次の行程へと移れるであろうが、リーダーの作ったものではそうは行かない。


『どうすれば、細かく割けるのだ……』


 リーダーは木の皮を目の前において、悩み始めていた。

 今、この場を凌ぐだけならば、ヴィーヴルに割いてもらえば良い。

 だが、ヴィーヴルが居なくなった後では、もう、縄作りができないことになってしまう。

 それだけは、何としても避けなければいけない。


『そうだ、別に最初から細かく割かなくても良いのか……序でに、皆で作業をできるようにするか……』


 リーダーはゴブリン達に指示を出し、剣を支えるゴブリンと木の皮を引っ張るゴブリンの何組かを作り分けた。

 そして、最初の組で、木の皮を紐とは呼べない程の太いものを作り出して、別のゴブリンのグループへ渡す。

 受け取ったグループでは、その太く切り分けられた木の皮を細かく切り裂き、紐と呼べる程度までの細さで切り分けた。


「成る程なのじゃ。

 こうすれば、綺麗に切り分けられるのじゃ」


『頭数はいるからな。

 それに、細かいことが得意な奴には、細かいことをやらせれば良いと思ったんだ』


「それぞれに、向いていることは異なるのじゃ」


『そうだな、我は細かいことは苦手だから、向いている奴に任せた方が良いとな』


「妾は魔法が得意なのじゃ」


『ゴブリンにも、魔法が得意な奴がいれば良かったんだがな』


 暫くの間、ゴブリン達総出で作業が続けられ、木の皮は全て紐状に加工された。


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