23 歴史
「なんで、」
うん?とランスレッド王は首を傾げる。
「どうして、そんなに楽しそうなんですか……?あなたが、死んでしまうのに」
「私が死ぬのは自然の摂理だ。嘆いても仕方あるまい」
でもね、と、ランスレッド王は黄金色の瞳を細くする。
「私は、私が死んだ後の歴史を決めることができるんだよ。これって素晴らしいことだと思わないかい?死んでもなお、私の決定は生き続ける。歴史に影響を与え続けるんだ。なんて楽しいことだろう」
ふふふ、と笑いながらランスレッド王が柔らかいクッションにもたれる。
「私はそもそも20年生きられるかわからなかったから。計画はあったが決行できるかは私次第だったんだよ。それが遠い世界にいた妹に会えて、さらには次の時代の橋渡しを念入りにすることができた。私は幸せ者さ」
ランスレッド王は本当に嬉しそうに笑っている。
ちらりとジークさんたちを見ると、全員が険しい顔をしていた。
確かに、幸せなのかもしれない。
こんなにも、周囲の人間に愛されているのなら。
私はそんなことを考えながら、どういった相槌を打つべきか探る。
「で、私はその計画にどう参加するんですか」
「おお、良くぞ聞いてくれた」
ランスレッド王はにやりと笑って私に言う。
「先ほども言ったように、アリスとして王宮に留まって欲しい。離れに待機して敵が焦れて襲ってきたところをフォーラたちが捕らえる寸法だよ」
なんだか穴だらけだと思うのは私だけだろうか。
「それ、うまくいくんですか?」
「向こうは怪しいと思っても、アリスという餌をぶら下げられては食いつかないわけにはいかないのさ。お互い後がないからね」
ランスレッド王は人の悪い笑顔を浮かべ、長い脚を組んだ。
「私、危なくないですか?」
「大丈夫、リードがついてるから。危険になる前に止めるよ」
どう言っても、参加しないわけにはいかないようだ。
私はため息をついた。
「わかりました、頑張ります。よろしくお願いします」
私は頭を下げた。
顔をあげると、ランスレッド王は泣きそうな顔で笑っていた。
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