シェフ
マリオ、好きです。
我が家のシェフは、とてもダンディだ。
特に、髭が。
「マリオさーーんっ!」
厨房に入ると、マリオさんの帽子が見えた。
何か、また試作してるみたい。
「お嬢様、私はマリオではなくて、マリオンですよ?」
ウインクが、ダンディズム!?
「だって、マリオっぽいんだもん!今日もステキね、マリオさん。私、マリオさんの作る料理が大好きなの」
両手を組んで、キラキラとした瞳で見上げる。
これに弱いの、マリオさん。
「内緒ですよ、これ、試作のケーキ。良かったら」
そっと私にフォークを渡してくれる。
ほらね、チョロダンディ。
「えっいいの?私、ケーキ大好きなのっ嬉しいっ」
常にオーバーリアクションかつ、元気いっぱいに、可愛らしく。
そして、ケーキを一口食べて
「んんーっ!おーいしぃーっ!こんな美味しいケーキ食べたことないわ!」
某有名タレントの食レポをイメージしてます。
「そんなこと、、、いや、そんなに良く出来てますか?」
へへ、と照れるマリオさん。
もう、キノコにジャンプして欲しいわー。
「ええ、もちろん!さすがマリオさん♡私達って幸せよね、マリオさんに毎日料理を作ってもらえて。いつも、みんな美味しい美味しいって褒めちぎってるのよ?」
ここでも、勿論褒める、褒める、褒める。
マリオさんは、鼻の下伸ばして、デレデレだ。
「いやぁ、お嬢様にそんなに言われたら、頑張っちゃうなぁ」
ヨシヨシ、いい感じにモチベーション上がってるね。
「じゃあ、マリオさん、これからも我が家の食卓はお任せしますからね!期待してます!」
満面の笑みで、手を振ってバイバイする。
マリオさん、ケーキを全部食べられたのに、すごく嬉しそうに手を振ってる。
まだ5歳、いや、もう5歳。
将来の安泰の為には、今からしっかり準備をしておかなくては。
私の弟か妹が産まれるまでに、この屋敷の者のハートは、完全に手中に治める。
名前として出しちゃいましたん。