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第6話 ティガー襲撃

「あんなにも影響があるなんて…」


「さて…そろそろ行こうか」


金は貯まった。


目指すは――


大都市イリス。


新しいランカーたちが待つ場所へ。


〜〜〜


ビルドハイ ランカーギルド


「お別れの挨拶をしておこう…」

 

 そう思いお世話になった受付係の元へ行くと。


「フェイさん!大変な事になってますよ!」


 とある紙を見せてきた。


「今夜フェイを潰しに行く……ティガー団頭【ティガー】より?」


「ティガー団ですよ!ここらを縄張りとしている山賊です!」


「あ……」


 思い当たる節がしかない。


「ティガーはC級です……この周辺のランカーの中でトップランカーです」


「ど、どうしたら良いですか!?」


「………正直、戦うことは避けたほうがいいです、なんせあのティガーですから」


「大勢の人がこの街から避難をするでしょう」

「私もランカーギルドという所属があるので避難せざるおえませんが………」

「【聖騎士団】を要請してみてはどうでしょうか?」


「聖騎士団?」


「知りませんか?F級になるとランカー証で依頼できます」

「今回の場合だとB級聖騎士団を、金貨50枚あれば呼べますが……」


「……少し考えてきます」


〜〜〜


ギルドハイ 中央広場


「どうしたものか……」


 財布の中には金貨50枚など入っていない。


「君は……」


 フードで目元を隠している人が話しかけてくる。


「君は、噂のフェイか」


 街中に貼られたポスターで悪目立ちをしているのか。


「貴方は?」


「…名前は言えない」


「一つお願いがある、銀貨2枚くれないか?」


 物乞いにしては少ない金額だ。


「2枚だけでいい」


 前に話した商人のことを思い出す、これが詐欺と言うものか…。


「わかった…いいよ」


 今日死ぬかもしれない人が持つより価値のある銀貨だろう。


「ありがとう…」


「なんなら金貨もあげようか?」


 善意でフェイがそう言うと。


「いや…それだと十分すぎる」


 そう言いその人はこの場を去った。


 そんな事をしているうちに日が沈みかけていた。


 いつもなら賑わっている夕方頃も今や誰一人として居ない。


〜〜〜


ビルドハイ 大門


「身分証明書を提示してください」


 門番がそう言うと。


「バン」


 次の瞬間――頭部だけが爆ぜた


 爆発音とともに頭部が黒焦げになった肉体が横たわる。


「何事だ!貴様何をしている!」


「ガハハハ!!」

「その死体が…山賊という身分証明だ!」


〜〜〜


 避難警報である、鐘が街中で鳴り響く。


「止まれ!!」


「バン」


 ドカン!!…次々と警備兵が死体へと変わってゆく。


「餓鬼はどこだぁ!」


 大量の山賊が街を襲っている。


「………おい」


 山賊が一定に一箇所を見る。


「ガハハハ!!ついに姿を見せたなぁ!」


 フェイは、静かに顔をあげる。


 夕暮れの街で、倒れた門番の血だけがやけに赤かった。


「黙れ…クソ野郎ども」


〜〜〜


「びびって逃げたかと思ったぜぇ?」


 フェイは静かに近づく。


「なぜ…関係のない人も殺している?」


「ガハハハ!!関係のない?」


「違うなぁ!この街にいる時点でお前の関係者なんだぁ!」


 気味の悪い笑い声が街に木霊する。


「全部お前のせいだぁ!全部お前が殺したようなものだ!」


 後ろの手下も汚い笑い声を上げる。


「もう…お前は黙れ」


 ティガーはニヤリと笑う。


「野郎ども血祭りだぁ!!!」


〜〜〜


 10、を有に越している量の山賊がフェイを襲う。


「G級能力【火属性】」


 フェイの転元が赤く燃えたぎる。


「F級雷魔法【放電瞬足】」


 足が黄色く輝き、稲妻が迸る。


 夕暮れの薄暗さに一筋の光の輝きが赤い炎とともに駆け巡る。


「ガハハハ!!」


 バタバタと手下の山賊が切り刻まれているのを眺めている。


「何が可笑しい…!」


 瞬時にティガーの首元へ刃が突き刺さろうとする。


 その一瞬の突きを……


 ティガーが素手で受け止める。


「なっ…!」


「随分と楽しそうに殺したなぁ…!!」

「C級能力【爆裂的目線ボムズアイズ】」


「バン」


 その瞬間フェイの右腕が爆発する。


「ぐっっ……!」


 大火傷を負った右腕をヒールする。


「バン」


 ヒールに使っていた左腕が爆発する。


 フェイは急いで物陰に隠れる。


「お前らの勇姿は見届けたぜぇ…!」


 ティガーは山賊の死体に酒をかけて歩み寄る。


「くぁ…!!熱い…!」


(何だあの能力は……!?早く腕の治療を)


「見つけました!頭!」


 山賊の残党がフェイを見つける。


「その首、貰ったぁ!」


「F級光魔法【フラッシュ】!」


 光を上手く使い目をくらます。


「どこいった!?」


 ティガーがやってくる。


「逃がしたのか?」


「頭!あいつ光魔法まで使いやす!」


「バン」


 爆発の煙が山賊を包み込む。


「ナイフが…飛んできていたぜぇ?」


「っ…!頭ぁ!」


〜〜〜


「……傷が深い…!」


 負傷した腕の治療に時間がかかる。


「早くあいつを止めないと…」


 ただ闇雲に突っ込むだけでは駄目だ。


 手を伸ばした時、何かに当たる。


「…これだ!」


〜〜〜


「見つからないのか?」


「すいやせん!」


「街の逃げ残りを殺せぇ、見せしめだ!」


 山賊が民家に入るその時。


「こっちだ」


 フェイの声が響き渡る。


「おいおい…なんだその姿?」


 フェイの足元が濡れていた。


「ガハハハ!!漏らしたのか?ガキンチョ!?」


「バン!!」


 いつもなら爆発するはずが…何も起きない。


「なんだぁ!?」


「今だ!」


 フェイは、ティガーに向けて何かの液体をかける。


「この匂いは……ガソリンかぁ?」


 奴の能力は物質を爆発させているように見えた。


 ならば自身の身体が起爆剤とならないように水で濡らせしまえば爆発しない。


 そして、ガソリンを被ったティガーに接近戦で戦えば他の物質を起爆剤としてもティガー自身が巻き込まれて能力を使えない。


「所々賭けだったが…!」

「これで終わりだ!」


「F級剣技【転元】!!」


 勢いよくティガーに刃を向ける。


「…本当に哀れだなぁ」


 刃がティガーに届かない。


「何だ…!」


 刃を力強く握り、空で止められている。


「この世はなぁ…弱肉強食だぁ、その中でも山賊はもっとひでぇ世界だ」


「弱い奴から死んでいく、だから俺様はあいつらがお前にどれだけ殺されようと見届けた」


「ガハハハ!」


「本当に良い死に日和だったなぁ、兄弟!」


 その目には少しの涙が溢れている?


「尻の青いガキが」

「俺様の能力を封じたら勝てると思ったかぁ?」


 蹴り飛ばされ、壁にぶつかる。


「ガハッ」


「能力一つじゃ変わらないほどの差が!」

「俺様たちの間にはある!」


 倒れ込んだフェイを踏みつける。


「俺様の【爆裂的目線ボムズアイズ】は、俺には危害を加えない!」


「俺様が目で見たところを爆発させる無敵の能力だ!!」


 倒れ込んだフェイをのぞき込む。


 フェイは、必死に抗おうとしている。


 またガハハハと笑う。


「ガソリンで華々しく死ねるなぁ!!」


「バ!!」


 ティガーが能力を発動しようとした時。


「………」


「何だ…これ」


 ティガーの胸にはナイフが刺さっていた。


 ティガーが距離を取る。


「何だぁお前!?何しに来た!!!」


 フェイの前にはフードを被った男が立っていた。


「奇跡を…起こしに来た」


「銀貨2枚の奇跡屋さんだ」


 街灯に照らされたその顔を見た瞬間、フェイは息を呑んだ。


 あの時――病を治した青年だった。


 そして彼の手には、淡く光るランカー証があった。


6話完

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