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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
132/229

132 ジョーさんの様子 

 かなえは 砂浜から動物達の小屋へ歩いて来て、クイーンの小屋からリキさんの小屋までウオッシュを掛ける。


 次に、牧草地やプロの実畑にウオッシュを掛け、スクーターで山の温泉までを飛んでいると、花畑を横切っている白い猫が見えた。


 かなえは下に降りて行き、声をかける。


「こんにちは。白猫さん」

『おや、あんた。どうしたんだい?』


 まだまだ元気そうなシニアの雌猫だ。

 

「今、山の温泉に行く途中であなたを見かけたので、降りて来たんです。何か不便な事はありませんか?」


『いや、特に無いね。それより今、山の温泉に行くって言ったのかい?』

「そうですよ。山の中に2か所と一番上にも温泉がありますよ」


『へぇーそうだたのかい。それは知らなかったね』

「もし、興味があれば1合目の温泉に案内しますけど」


『そうかい? あっちの温泉はいつも混んでいるし、子供達がうるさいだろう? あたしは静かにのんびりしたいんだよ』


「山の温泉には今の所、グレさんしか見かけていませんけど」

『えっ? グレのやつがいるのかい……』


「そこの温泉は小動物用にお湯の深さを変えましたので、入りやすいと思いますよ」

『うーん、そうかい。それならとりえず、連れて行ってもらおうかね』



 かなえはスクーターをしまい、白猫を連れて1合目の温泉に移動して来る。


「こんにちは、グレさん」

 かなえは温泉の休憩場で横になっているグレさんに声を掛ける。


『なんだ、シシーばあさんも一緒かー』

『なんだは余計だよ。グレ、あんたこんな良いところを独占してたのかい?』


『いいじゃないか。おれは偶然知ったし、シシーばあさんだって、見つけただろう』

『相変わらずいけ好かないね』


 あらら……あんまり仲が良く無さそうね。


「シシーさんって、言うんですね。ここは静かですからのんびり出来ると思いますよ。わからない事はグレさんに聞いて下さい。外にプロに実もトイレも設置してありますからー」


 かなえは全体にウオッシュ掛けると、さっさと上に移動して行く。

 

 

 頂上まで移動した所でシロンに「かなえ、もうお昼を過ぎましたから、先に済ませたらいかがでしょう?」と、言われる。


 あーあ、午前中に掃除を終わらせられなかった。

 かなえはジャンプでジミーさんの庭に移動して行く。



「あっ、メラニーさん達も一緒だったんですか?」


 ジミーさんの家の庭のテラスに、スミス夫妻とジミーさんが3人で座っていた。


「かなえ、あなたが来るのを待っていたのよ。今日は私が昨日の野菜でシチューを作ったから一緒に食べようと思って」


「わぁー、そうですかー! 嬉しいです」


 メラニーさんの料理はどれも美味しいので、素直に嬉しい。

 シチューの他にもデザートも持って来てくれたようだ。


 かなえは他に4人分のサラダやパン、それに飲み物を出して、みんなで食べる事になった。


「美味しそうなシチューですねー。何が入っているんですか?」

「この黄色はかぼちゃのなのよ。その他に色々根野菜を入れたわー」


「それでは、いただきまーす」

 みんなで食事を始める。


 メラニーさんのシチューはトロトロで野菜が柔らかく、自然なカボチャの甘みとスパイスが絶妙で、とても美味しい。

 

 始めはみんなで無口になって、料理に集中する。

「おいしいです。このシチュー売ったら人気が出そうですね」


「まぁー、そうかしら。始めはお菓子だけで行くけど、余裕が出て来たらそれも良いわね」


 メラニーさんはやはり、お菓子だけでなく料理の腕前も凄いようだ。


 その後はメラニーさん達の引っ越しの片づけが完全に終わった事や、ジミーさんの作っているカップの話。


 そしてかなえが子牛に泳ぎを教えた話をする。

「はは、そうかい。子牛に泳ぎを教えるなんて、かなえさんにしかできないなぁー」と、ジョンさん。


 そもそも、そんな事を誰もやろうとは思わないだろう……。


「それで、相談なんだけど」と、メラニーさん。


  

 メラニーさんによると……来週から少しづつお菓子等を作ってドームシティーの温泉の売店で売る事にしたそうだが、リリちゃんに午後からだけでも手伝ってもらいたいそうだ。


「リリちゃんとララちゃんは、かなえの動物ギルドに所属しているんでしょ? だから迷ったんだけど、あの子は料理に興味があるようだし、一度かなえに聞いて見ようと思ったの」


 食事が終わったので、メラニーさんが持って来てくれた、キャロットケーキでお茶にする。


「そうですか。私の方は問題ありません。リリちゃんの好きにして欲しいと思います」

 

 でも、そうなると、午後からララちゃんをどうするか考えないとな……。

 

 まだ、一人で温泉に働きには行かせられないし。

 まぁー、それは後で考えよう。


「そう、それは良かったわ。明日にでもオクタゴンに行って、詳しい話を聞いて来ようと思うの」


 メラニーさんは、どんどん話を勧めて行くんだな。


「あのー、材料の運搬や力仕事など、私に出来る事はいつでも言ってくださいね」

「ええ、ありがとう。いつもお世話になりっぱなしだけど、助かるわ」


 リリちゃんの返事次第では、かなえもオクタゴンに一緒に行って、リリちゃんの仕事の変更届を出した方がいいのかもしれない……。


 メラニーさんは、午後から温泉にいるリリちゃんの所へ行き、話をするそうだ。


 もしダメなら、代わりの人を探さなければいけないので、早めに聞きたいらしい。


 デザートも食べ終わると、ジョンさんはジミーさんの仕事場に寄って行くそうなので、メラニーさんだけ戻って行った。



 かなえは、ジャンプで山の上の温泉に向かう。


 マリー達は今は、森のドームに行っているのか誰も居ない。

 かなえは丁寧にウオッシュを掛けて、シャワードームへ移動して行く。


 えーっ! 

 シャワードームでは珍しく、4か所全部がフル回転している。


 マリー達もここに居たんだ……。

 足の治ったリキさんと、楽しそうに跳んでいる。


 ジジさん達も久しぶりのシャワードームを満喫しているようだ。

 キングス達はみんな揃ったので、嬉しそう。


 ルークス達は全く気にして無さそうだが……。


 かなえは休憩場を中心にウオッシュを掛け、砂浜に移動して行く。


 

 かなえは砂浜の椅子に坐ると、

「シロン、今日やった方がいい事は何かある?」


「そろそろ食料を購入して来た方が良いでしょう。人数が増えましたから、多めに必要になります」


 そうね……メラニーさんもお店の事で忙しくなるから、食事を準備した方がいいのかな。


 

 なんだか眠くなって来た。

「シロン、30分だけ寝かせて」

「はい、わかりました」

 

 かなえは砂浜に横になるとウトウトし始める。

 何だかここに来ると、安心するのか眠くなるのよね……。



「かなえ、時間ですよ」

「うーん……リトくん? あっ! 違った」


 かなえは起こされたので、リトくんかと思ってしまった。

 でも、シロンの起こし方はリトくんと全く違って優しいけど……。


 かなえは自分にウオッシュを掛けると、レストランにテイクアウトの注文に向かう。


 

 何処もランチのピークが終わったからか、問題無く注文出来た。

 総菜屋ではパエリア用フライパンを2つ返して、もう2つ頼むことにする。


 まだジャングルフードなどの食事はポーチに入っているが、メラニーさん達にも食べてもらいたいし、リリララ姉妹が気に入っているので、多めに注文する。


 イタ飯屋はジミーさんの好きそうなパスタや、リリララ姉妹向けの物、かなえの好きなバジル風味のパスタも注文する。


 ラウンドカフェでは飲茶を中心に、硬焼きそば等も注文する。

 

 まかない亭も、外せない。今日のランチを12人分注文しておく。


 あとは、動物ギルドの前のテラスカフェのアボカドバーガーやチーズバーガーのセット、ピザに美

味しそうな惣菜にパンも数種類注文する。


 

 そうだ、スープ屋にも行こう。

 かなえはお店の前にジャンプすると、中に入って行く。


「こんにちはー」

「いらっしゃい」と、ダンさん。相変わらず威勢の良い声だ。

「やあ、かなえさんか」


「お久しぶりです。スープの注文に来ました」

 

 かなえは前に注文した時の容器を出して、その中に入れてもらう。容器をリサイクルすると、割引になるそうだ。


 かなえは順番にスープを注文して行く。人数が増えたので、いつもより多くなった。


「こんなに、沢山持って帰れるのか?」と、ダンさんが心配する。


「はい、大丈夫です。私、こう見えても力持ちなんですよ」と、いつものセリフを言っておく。


 でも、今日は流石に多すぎるかな。

 あんまり大量に買わない様に気を付けなきゃ。


 かなえは支払いを先に済ませると、他の店へ出来上がった料理を受け取りに行く。



 再び、スープ屋に戻って来て、出来上がった物をカバンからポーチのフォルダに移動させて行く。


「ダンさん、バニーちゃんは、元気に暮らしていますからね」

「そうか、ありがとう」と、ダンさん。


 もう、バニーちゃんの事は興味が無いようなので、かなえはそのままお店を出る。

 

 人によって動物に対する思いは違うのよねー。



 かなえは気持ちを切り替え、次に出来る事を考える。


「そうだ、シロン。ジョーさんはどうしてる? お腹を空かせてない?」


「今は奥の作業場で家具を作っています。食事もお昼はまだですし疲労が溜まっているようです」


 えーっ、もう、何やってんのかしら!

 

 

 かなえは、ジャンプでジョーさんの店の前にやって来ると、先に今日購入したばかりのまかない亭のランチに、夜用にジャングルフードやパンなど、2食分を用意してお店の中に入って行く。


「こんにちはー、ジョーさん、かなえです!」

 もう居ると分かっていると、より大きな声になってしまう。


「おお、待ってくれー」

 奥からジョーさんの声がして来る。


 しばらくすると、ゆっくりジョーさんが姿を現した。

 あらー……ジョーさんは最初に会った時よりはずっとましだが、なかなかのやつれっぷりだ。


「ジョーさん、どうしてそんなにボロボロになっているんですか?」


「えっ? そうか?」

 ジョーさんは、自覚が無いようで驚いている。


 かなえはこっそりウオッシュを掛け、持って来た食事を渡す。


「はい、差し入れです。どっちも出来立てですけど、まかない亭の方から食べた方がいいですよ」


 ジャングルフードの方は、バナナの皮に包まれていて、小分けになっているので、時間を置いても食べやすい。


「ああ、そうだ……昼を食っていなかったな」

「食事を忘れる程大事な仕事があるんですか?」


「いや、そうじゃないんだが、気が付くと夜になっているんだ」

 凄い集中力なんだな。


「誰か、見習いの人を雇う話しはどうなりました?」

「ああ、そう言えばそんな事言っていたな……」


 ジョーさんは家具作り以外、自分から積極的に動かないんだな。

 何かいい方法は無いかな……。



「そうだ! ジョーさん。私の知り合いでもう引退した人ですけど、ジョーさんに家具作りを教わりたいみたいなんです。凄くいい人なんですよ」


「えっ? うーん、でも面倒だなー」


「それなら、その人が来る時に食事を持って来てもらうのはどうでしょう? 奥さんがとっても料理上手なんです」


「えっ、食事かー……」

 ジョーさん、ちょっと食事には惹かれたみたいだ。


 本当は若者に、ジョーさんの技術を継承してもらうのが一番いいんだろうけど、その前にジョンさんの様な経験を積んだ大人に、ジョーさんを見守って欲しい。


 ……でもジョーさんもいい歳だから、見守られるって言うのも変かな。


 


「それなら、週2日ならいいぞ」

 えっ? ジョーさんいいって言ったよね?


「会う前に決めていいんですか?」

「ああ、あんたの言う事だから大丈夫だろう」


「わかりました。ありがとうございます!」

 かなえは嬉しくなり大きな声でお礼を言う。


 シロンに用意してもらった疲労回復、神経痛緩和飴の包みを渡すと、ジャンプで砂浜に戻って来る。



「シロン、ジョンさんはどうしているかしら?」

「今は、家の隣の作業場にいます」

 それなら今、報告に行こう。


 かなえは、ジャンプでジョンさんに会いに行く事にした。


 

 

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