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追跡18 悪魔の存在

「・・・・・朝か・・・」


 目を覚ますと、なぜか俺は部屋の片隅にいた。

 そうか・・・あの後、自分に家に帰ってきて、ここに座り込んでそのまま寝ちゃったのか・・・


 あの後―――――――――――






「おまえら!!!まだ早く出れたんじゃないのか!?」


「君は出れたの?」


「うっ・・・」


「とりあえず、あの人たちを助けましょう・・・話はそれからです。」


 巻き込まれた主婦の様子は、ほぼ壊れており、もう一人の女の子の様子は、体が震えて、怯えていた。

 こんなことになるなんて・・・どうすりゃいいんだよ・・・


 兄妹の兄であるスーツの男が二人の元へ駆け寄る。


「いいですか、まず、ここで起きたことは現実です。あなたたちは残酷な世界に巻き込まれたのです。我々はその悪の元凶たるものと戦っています。ですが、とても、非科学的なことであるわけで、現代の人間の持ちゆる戦力はほぼ、使えないでしょう。」


 そうなのか・・・確かここの組織の名前って<日本部ヴィジランティー>だっけ・・・自警団だったとも言っていたし・・・こいつらのやってる任務は命を懸けている・・・


「またこのような事が起きるかもしれません、今のあなたたちなら、現状を理解していることでしょう。犠牲者を増やさないためにも、我々は力を貸してくれる人たちを集めています・・・力を貸していただきたいのです・・・」


 突然、主婦が話の途中で言葉を発する。


「じょ、冗談じゃない!なんなのよ!わけがわからない!あなたたち何なの!?」


「落ち着いてください。」


「落ち着けるわけないじゃないっ!!!私には家族もいるのよ!?力を貸せ!?」


「強制ではありません・・・ですが、我々の持ちゆる力は、この残酷な現実だからこそなのです。巻き込まれた人たちには理解をしてもらい、この世界を変える鍵となっていただきたい・・・」


「・・・・・・・・・・私は帰らせてもらいます。」


「・・・わかりました・・・家まで送りましょう。」


 置き去りにされた車に奥さんを乗せ、二人はこの場を去って行った。


「君はどうする?」


 今度は、兄妹である妹さんが女の子に話しかける。


「・・・そこにいる人と話をさせてください」


「呼ばれてるよ、じー・・・」


 そこにいる人?ああ、俺か。え、俺なのか? って・・・こいつ、どこかで会った気が・・・あ、思い出した。

 見覚えある顔。それは、俺が隣町へパンを買いに行った時があった。そのパン屋にいた女の子がこいつだ。何しろ、おじさん呼ばわりされたしな・・・。髪がツーサイドアップなのは変わらない。


「ああ・・・え~と、パン屋での件はすみませんでした。」


「何してるの・・・君は・・・」


「え?」


「私ね、いきなり男の人たちに囲まれて、車に乗せられて、気づいたらここにいて・・・」


 この女の子と最初に出会った時とは違い、声が震えていた。


「そうか、そうだな・・・怖かったよな、巻き込んで悪かったな」


「君と会って、君を見た時、強いなあって思ってね、なんでだろうって思って・・・」


「それはこの剣が・・・」


「怖く、ないの?」


 まあそうだよな、あんなことあったらな・・・

 なぜ彼女が巻き込まれたのだろうと思った。いや、どうしてこんな世界なんだろうと・・・思えば名前も記憶もない俺が、なぜ、ここに、こんな世界に、この剣だって・・・記憶にある少女だって・・・そして、残酷な状況にもかかわらず、今は剣が軽かった・・・


「確かに怖い、命だっていつ落とすかわからない、でも待ってるやつがいるような気がして、俺はそいつに会って、事実を知りたい。こいつらのやってることとは、また違う話だけど、少なくとも目的みたいなものは、同じなのかもしれない。」


「よくわかんない・・・」


「お前もパン屋のおばあちゃんにはお世話になったんだろ?」


「え・・・うん」


「これも恩返しみたいなものさ。助けられた気がするから助ける。だから俺は戦う。あれ・・・答えになってない気がする。俺もわからなくなってきた・・・」


「・・・なにそれ、ふふ」


「は、はは・・・そ、そうだ・・・おまえ名前なんて言うんだ?」


「このタイミングで言うの?まあいいけど、相澤真由香あいざわ まゆか。君は?」


 やはり、かわいい子は笑っていたほうがいい、何かが緩んだのか、くすくす笑っていた。


「俺は名乗るほどの名前は持ち合わせてねえよ。」


「どゆこと?」


「俺には名前がないの!」


「なにそれ~、ずるいずるい」


「それよりだ!・・・この人とその家族とかはどうなるんだろ・・・・」


 犠牲になった人の前でこんなことをしている場合じゃなかった。


「もうすぐ仲間がくる、後は任せて、帰ったほうがいい・・・それだけ・・・」


 兄妹の妹の慣れた口調。


「すまん、行くぞ・・・」


「かわいそうだよ・・・ね・・・」


「ああ、許さねえよ、悪の元凶は倒さねえとな・・・」


 すでに男の人の体と頭を袋みたいなもの包んでいた妹のほうは手を合わせていた。俺たちも手を合わせ、祈る。











 

「とりあえず、なんか食うか・・・てか井手口さんと満月はどこ行ったんだ・・・」


「あ、起きたんだ・・・大丈夫?」


 部屋から出た瞬間、見覚えのある人物がそこにいた。相澤真由香・・・


「・・・なんでお前ここにいんの?」


「君の家が近かったし、暗かったし、怖いし・・・大丈夫、問題はないよ。」


「問題ありありだわ・・・これ誰かに知れたらまずいんじゃねえの?」


「まずいって?」


「え、いや・・・いろいろあるじゃないスか・・・あんなことやこんなこと・・・」


「実は、話があるの・・・」


 なに!話だと・・・この展開は知っている・・・ふふふ、とうとう俺にも・・・


「私も、その組織?に入れてください。」


「・・・はい?」


 正座されて言ったので、てっきり・・・あれ、こいつ意味わかってんのかな・・・日本部ヴィジランティー・・・に入る気なのか?そもそも、俺は所属してません。あれ、そうだよな。

相澤 真由香・・・ツーサイドアップで黒髪です。

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