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鋼鉄英雄譚  作者: Negi
裏社会編
9/15

「アジダって…前に颯真が言ってた?」

「ああ。以前はチェルンボーグをバラして貼り付けたような鎧を纏っていたが、顔は出てたから間違いない。」

「でもライフルはやめて。颯真の銃はどれも威力が高すぎて屋内で使えない。」

「わかった。じゃあコルト出してくれ。」

「バージョンは?」

「M1191A1で頼む。」


コルト・ガバメント。70年以上アメリカで軍用として採用されていた自動拳銃。

サブカルチャーにおいても数多く登場し、時に主人公を助け、時に追い詰める。


「まだ銃は抜かないでよ。人違いの可能性もあるんだから。」

「わかってる。やはり拳銃は携帯するべきか…」


「自己紹介よろしく。」

定蛇龍人(じょうじゃ たつと)です。中途半端な時期での転入ですが、よろしくお願いします。」


教室が申し訳程度の拍手に包まれる。その中で、俺は確かに、彼と目が合った気がした。


「で?大丈夫だったの?」


休み時間。琴葉が声を潜めて尋ねてくる。


「ああ。メガネのレンズに熱探知能力を乗せて見てみたが、人間の体だった。奴はサイボーグ?みたいな感じだったからな、適当な人間のみてくれをコピーしたんだろ。」

「そう…でも、あんまり関わらない方が良いかもね。」

「ああ。銃使わなかったな。」

「後で頼んで支給して貰おうよ。」


放課後、俺はコルト・ガバメントM1191A1を、

琴葉はスミス&ウェッソン M&P シールドEZを買い、増築した地下訓練場に出向いた。


ズガン!


「やっぱり能力無しでの反動制御は難しいな…」

「だから女性向けの反動軽いのが良いんじゃないって言ったのに…」

「まぁエイムは俺の方に分があるみたいだがな。」

「…」

「悪かった悪かった。そうむくれるなって。」

「…お前ら、本当に付き合ってないのか?」

「「鷹井さん!」」


琴葉と付き合ってるだぁ…?確かに一時期そんな噂も流れてたけど、断じて無い。アイツはただの幼なじみであって決して恋愛感情は無い。


…無いっての!そこまでベタじゃねぇんだよ!



次の日。放課後の掃除時間に事件は起こった。


<ビビビビビビビビ!>

ーー通信!?それも緊急事態用の!?


「浅儀です、どうしました?」

<たすけ>ブツッ

「琴葉!?おい!どうした!襲撃なのか?オイ!応答しろ!」

「大変だ!」


クラスメイトの新田が息を切らせて教室のドアを開けた。


「今度は何だよ!」

「鈴野さんが車で攫われた!誘拐だ!」

「にゃにィ!?」

イッテぇ舌噛んだぁ!



「情報そっちに行ってますか?」

<ええ。犯人は人間、男3人組だったそうよ。灰色のハイエースだって。>

「ありがとう上羽さん、位置は?」

<イヤモニは外されちゃったみたいだけど、時計型通信機はバレてないみたい。そっちに送るわ。>


俺と琴葉は腕時計に小型通信機機能をつけている。モールス信号を覚えるのに一苦労だったが、役にたったな。


<ヴヴヴーヴー ヴヴヴー ヴーヴーヴ ヴヴヴヴー ヴヴーヴーヴ ヴヴーヴヴ ヴーヴヴーヴーヴー ヴヴーヴ ヴヴー ヴヴヴヴー ヴーヴーヴヴヴー ヴヴ ヴーヴヴー >


「!琴葉からのモールス通信…『のうりくつかえないくびわ』…?」

<犯人が指輪の能力を封じる首輪を持っているというの…?>

「だとすれば、見つからないよう隠れながら追うしかないようですね。」


それなら…


「『レイヴンη(イータ)』アーマー、コールドサイス生成。ゼノン粒子展開、ゼノンクラウドシステム起動!」


レイヴンη(イータ)。ゼノン粒子とかいうトンチキ粒子の力で異次元のステルスシステム、即ち機械、センサー、肉眼全ての監視から逃れることを可能にした機体。

ただ、当のゼノンクラウドシステムは死ぬ程電力を食うため、武器は腕部内蔵のマシンガンと単なる大鎌、コールドサイスのみ、機体の軽量化のため装甲は最低限となかなかピーキーである。

それでも強すぎたので早々に退場した。


「廃工場に向かったか…上羽さん、警察の手配お願いします。くれぐれもバレないように。」

<了解。気を付けてね。>


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


救難信号は送った。ここからどうしよう。

さっきは車の中でうまく手元を隠せたから時計の信号を送れたけど、今は出来ない。

ここは多分郊外の廃工場…車は悪路を通るけど、颯真なら最短5分で飛んでこられる。

でも、この首輪。付けられた瞬間能力が一切使えなくなった。おかげで抵抗もできず両手を縛られ天井から垂れた鎖に吊るされている。薬も盛られたみたい。

鎖は手を上に伸ばせばギリギリ座れるくらいの長さ、動けるのはせいぜい半径1m。ここにいる8人全員に蹴り入れて強引に脱出するのは無理そうね…


「やぁ嬢ちゃん、手荒な真似ですまないね。」


スキンヘッドの頭にでかでかとタトゥーを彫った男が話しかけてくる。


「誰に頼まれたの?」

「教えらんねぇなぁ。俺達の生活のためってやつよ。」


どいつもこいつもステレオタイプのヤクザって感じの見た目。


「もしかして貴方達、暴力団って感じ?」

「へへぇ、勘がいいじゃないの。まぁ見りゃわかるか。」

「暴対法で生活厳しいもんね。私を攫ってどうするつもり?」

「それはこれからわかる。嬢ちゃんも、俺達も。」


<ヴヴー ヴヴーヴ ヴヴーヴ >

時計からのモールス信号!ARR(arrival)…颯真が近くに到着したみたい。一体どこに…


「ここだ」

「うわっむぐぐ」

「シッ!レイヴンηで姿消してるんだ、ひそひそ話せ」

「わかった。この首輪のせいで能力が使えない。あと幾つあるかわからないし外せるかもわからないから颯真は応援呼んで離れて。」

「その間に何かあったらどうする。俺が全員気絶させて…」

「駄目。万が一颯真まで首輪つけられたら詰みなんだから離れて。」

「…仕方ない。今生成したこのコンタクトを着けろ、俺がゼノクラを起動していても姿が見えるようになる。」


「どうした?独り言か?嬢ちゃん。」

「いやーなにも…」

「残念だが警察は来れねぇぞ。ここに繋がる唯一の道は崩れて使い物にならん。斜面を崩落させておいたからな。」


うそ!颯真の方をチラッと見る。どうやら向こうも同じ報告を聞いたらしい。これは困った…


「リーダー!ご指示がきましたぜ!」

「おう。どれどれ…」


別の男がスキンヘッドに呼びかける。どうやらこのハゲ、リーダー役だったようね。


「ハァ…フフッ…」

「何よ、気持ち悪い」

「ご指示は『3つ目の指輪の保管場所を吐かせろ』だとよ。というわけで嬢ちゃん、その指輪、他のやつはどこにある?」

「なっ…!」


多分これは颯真のこともバレてる…一体どこから?それに指輪は私と颯真の2人しか持ってないはず。


「知らない。指輪は2つしか見つかってないわ。」

「やっぱりシラ切るよなァ。どうします?リーダー。フヘヘw」


ソフトモヒカンの男がニヤニヤと問いかける。気持ち悪い。


「そうだな…輪姦(マワ)せ。」

「待ってましたァ!」


颯真が血相を変えて走ってくるのを目で制止する。

まだその時じゃない!


「レイプくらいどうってこと無いわよ!」


だから堪えて!颯真!


「ウヒヒ、胸は無ぇけどツラがいいからな…楽しみだったぜぇ、まぁ貧しいのも悪くねぇ…ヘヘヘ」


Yシャツの襟に聞き捨てならないことを言ったモヒカン野郎の手がかかり、引き裂かれる。ボタンが飛んでいった。周囲の男達が近づいてくる。


瞬間、颯真の姿が消えた。コンタクトを消されたんだ!


「グフッ!」


モヒカン野郎が股関を押さえて打ちあがった。金的を食らったらしい。


ジュパカン!


モヒカンの両腕が切り飛ばされた。空中に赤い半月状の刃が浮かび上がる。


「何事だ!?」

「殺しはしねぇ、ダルマにしてやる」


颯真の声だけが響く。冷たく、重い、初めて聞く声。


「なんだ!?指輪の能力は首輪で封じてるんじゃねぇのか!?」

「そのはずなんだギャァ!」

「兄貴!また腕イ"ダァア"ア"ア"イ"!」

「首輪は一つしか無いようだなァ"、えぇ?抵抗しねぇで大人しくダルマになれってんだよ!」


黒い霧が剥がれるようにして颯真の姿が現れる。


「もう一人の指輪持ちだ!」

「何でここがバレた!?」

「知るかよ、撃て撃て!」

「撃たせるかクソボケがァ!」


大鎌が手ごと銃を刈り取る。


「仲間は何人だァ!ここにいるので全員か?嘘吐いたらぶち殺すぞ!」

「頼む!許してくれ!指示されただけなんだ!」

「…まぁいい、これ以上は俺も過剰防衛で問題になるしな。」


颯真が私の手首の鎖を断つ。


「こいつらブン殴りたい?」

「さっさと縛り上げましょう。

……やっぱりモヒカン野郎だけ一発いい?」


とりあえず腕を斬られた4人は颯真が傷口を焼いて止血した。


「首輪、外してもらえる?というか外れる?」

「どれ、ちょっとそこに座ってくれ。…これかな」


カチャリ


「おぉ、外れたぞ」

「良かった~。どうする?それ。壊しちゃう?」

「いいや…研究所に送る。解析の見込みは薄いが、次見つかる保証もないからな。」

「ところで颯真、さっきからどこ見てるの?出来れば私の方を見て話してほしいんだけど。」

「いや…周囲の警戒を…」

「そっちには壁しか無いわ。」

「………琴葉…お前のブレザー…そこに落ちてるから…そのー…着ると…いいぞ…」

「っ…あり…がと…」


顔が朱くなったのが、自分でもわかった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「彼らはここら一帯に根を張る暴力団、六花組に所属する者達でした。」

「協力感謝します、真壁さん。暴対法で好き勝手できなくなったところにつけこまれたようですね…」


会議室に俺、琴葉、上羽さん、警視庁から来た真壁さんを含めた4人が集まり、今後の対策を練る。


「今回の件で六花組を潰すのは無理ですね。指示役も捕らえましたがトカゲのしっぽでした。」

「これからも襲撃があると思いますか?」

「えっええ、おそらく。」


まさかこの人も上羽さんにときめいちゃった感じ?


「その心配はありませんよ。」

「浅儀さん…でしたか。どうしてそう言い切れるのです?」

「六花組の頭にもう二度とああいうことはするなと()()()しておきました。」

「お願い…颯真、まさか」

()()()だよ、琴葉。それに、俺…失敬、僕は相当キレてるんですよ。六花組の事務所で大暴れするのも考えたくらいには。」

「ハァ…公的機関じゃないからって、あんまり無茶苦茶はしないで頂きたいですね。まぁ六花組は凶悪な組織なので今回はあまり咎めませんけど。」

「それなら良かった。」

「ところで、あの首輪について何かわかりましたか?」

「全く。どこから出てきたのかさっぱり。それに、琴葉さんが聞かれたという3つ目の指輪なんてものも無いわ。」

「ただ、奴らは指輪を探していて、指輪は一つじゃないということが確定した。これは大きな収穫です。」

「引き続き発掘や捜索を進めましょう。では、本日はこれで。」

「お付き合い感謝します、真壁さん。上羽さんも。」

「どうも。引き続き頑張れよ。英雄さん。」

「仕事ですから。」


暴力団とチェルンボーグに繋がりか…少々気にかかる。探りを入れるとするか。


「琴葉、一晴さんに連絡してくれ。探偵ごっこだ。」

この小説は健全です

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