万華鏡の盾、蜘蛛の規制線
描きたいエピソードは尽きない、しかしつなぎがムズすぎる。
<こちら琴葉。民間人の避難は85%完了と推測。颯真、もう下向きに撃っても良いけどくれぐれも気をつけて。>
「了解。琴葉はそのまま後衛、民間人の救助を優先。こちらは引き続きドミナントで迎撃する。」
一ヶ月ぶりの襲撃、海沿いの住宅街を狙うとは…。しかも奴らの戦力は過去最高レベル。5機のステルス機から際限なくチェルノボーグを搭載したコンテナが吐き出される。
「M-SSS起動、全標的ロック。…ディスチャージ!」
コンテナ8個を同時ロックオン、
背部から花弁のようにレールで接続されたエネルギーキャノンを展開。
両手のツインEライフルと同時に発射。
全弾命中、標的爆散。
M-SSS、マルチターゲット・シムルテニアス・サプレッション・システム。
「ドミナント」に搭載されたこいつは多対一にもってこいだ。
狙撃で僚機が撃破されたとなると、奴らは…
「近接戦闘、だと思ったさ!」
撃ち漏らしたコンテナから発進したチェルノボーグがジグザグを描きながら接近してくる。
ツインEライフルを変形させ、グリップを銃口側へとスライドし、逆さに持ち替える。
肘装甲とグリップがスライドして出てきたジョイントを噛ませ、銃口からエネルギーブレードを展開、まず突っ込んで来る2機を斬り伏せる。
「やっぱこれでトンファーモードは無理あるだろ…」
持ち方しか合ってねぇ。ただ、割と使いやすい。
リーチの長いパンチと手刀の感覚で腕を振り、さらに接近するチェルノボーグを斬る。
クソ、ぞろぞろ集まって来やがった。この距離じゃM-SSSは使いづらい。
「仕方ないか…。」
エネルギーキャノンを両サイドにむけて広げ、こちらも銃口からエネルギーブレードを発生させる。
その姿は花、あるいは万華鏡のようだ。
背中に6本、両前腕に1本づつの計8本のエネルギーブレード。
エースとやり合うのはまだ厳しいが、雑魚狩りなら十分。
「切り刻んでやるよ。」
多腕機体ってカッコいいよね!!!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「うーん…やっぱりあれ、ちょっとキモいわね…。」
颯真が飛んだ軌跡が無数の爆発になって空に疾る。
颯真が突撃して、あの蜘蛛みたいな8本ブレードでチェルノボーグを切り刻み進軍を食い止める。
私は民間人の避難誘導と怪我の応急措置、颯真の取りこぼしの処理。
これが今回の作戦。
『お前は絶対前線に突っ込むんじゃないぞ。』
颯真の言葉がよみがえる。
私を後衛に押し込んで…。自分で全部引き受けるつもり?私の実力が足りないってこと?
…でも、そうなのかもしれない。
最近の模擬戦でも、颯真が使いなれていないゴーストラインを使う時以外は負ける。
そもそもゴーストラインなんて私にはさっぱり扱える気がしない。
おまけに、この前はまんまと首輪を嵌められて拐われた。
私は…
「──やめやめ!今は自分の役割を果たすのに集中!」
これ以上くよくよしたってしょうがない。
私が強ければ、颯真も考えを変えるはず。
M-SSS(エム-スリーエス)
Multi-target Simultaneous Suppression Systemの頭文字をとった略称。
多標的同時制圧システムとも呼ばれる。
「ゲルデ・マシーンズ」シリーズ中興の祖、「ゲルデ・マシーンズ GERMIMATION」における主人公機、「ドミナント」他に搭載されている。
颯真はこの機体に脳を焼かれているため、今回はちょっとテンションが高い。




