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鋼鉄英雄譚  作者: Negi
裏社会編
15/15

万華鏡の盾、蜘蛛の規制線

描きたいエピソードは尽きない、しかしつなぎがムズすぎる。

<こちら琴葉。民間人の避難は85%完了と推測。颯真、もう下向きに撃っても良いけどくれぐれも気をつけて。>

「了解。琴葉はそのまま後衛、民間人の救助を優先。こちらは引き続きドミナントで迎撃する。」


一ヶ月ぶりの襲撃、海沿いの住宅街を狙うとは…。しかも奴らの戦力は過去最高レベル。5機のステルス機から際限なくチェルノボーグを搭載したコンテナが吐き出される。


M-SSS(エム-スリーエス)起動、全標的(オールターゲット)ロック。…ディスチャージ!」


コンテナ8個を同時ロックオン、

背部から花弁のようにレールで接続されたエネルギーキャノンを展開。

両手のツインEライフルと同時に発射。

全弾命中、標的爆散。


M-SSS、マルチターゲット・シムルテニアス・サプレッション・システム。

「ドミナント」に搭載されたこいつは多対一にもってこいだ。

狙撃で僚機が撃破されたとなると、奴らは…


「近接戦闘、だと思ったさ!」


撃ち漏らしたコンテナから発進したチェルノボーグがジグザグを描きながら接近してくる。

ツインEライフルを変形させ、グリップを銃口側へとスライドし、逆さに持ち替える。

肘装甲とグリップがスライドして出てきたジョイントを噛ませ、銃口からエネルギーブレードを展開、まず突っ込んで来る2機を斬り伏せる。


「やっぱこれでトンファーモードは無理あるだろ…」


持ち方しか合ってねぇ。ただ、割と使いやすい。


リーチの長いパンチと手刀の感覚で腕を振り、さらに接近するチェルノボーグを斬る。

クソ、ぞろぞろ集まって来やがった。この距離じゃM-SSSは使いづらい。


「仕方ないか…。」


エネルギーキャノンを両サイドにむけて広げ、こちらも銃口からエネルギーブレードを発生させる。


その姿は花、あるいは万華鏡のようだ。


背中に6本、両前腕に1本づつの計8本のエネルギーブレード。

エースとやり合うのはまだ厳しいが、雑魚狩りなら十分。


「切り刻んでやるよ。」


多腕機体ってカッコいいよね!!!!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「うーん…やっぱりあれ、ちょっとキモいわね…。」


颯真が飛んだ軌跡が無数の爆発になって空に(はし)る。


颯真が突撃して、あの蜘蛛みたいな8本ブレードでチェルノボーグを切り刻み進軍を食い止める。

私は民間人の避難誘導と怪我の応急措置、颯真の取りこぼしの処理。

これが今回の作戦。


『お前は絶対前線に突っ込むんじゃないぞ。』


颯真の言葉がよみがえる。

私を後衛に押し込んで…。自分で全部引き受けるつもり?私の実力が足りないってこと?


…でも、そうなのかもしれない。

最近の模擬戦でも、颯真が使いなれていないゴーストラインを使う時以外は負ける。

そもそもゴーストラインなんて私にはさっぱり扱える気がしない。

おまけに、この前はまんまと首輪を嵌められて拐われた。

私は…


「──やめやめ!今は自分の役割を果たすのに集中!」


これ以上くよくよしたってしょうがない。

私が強ければ、颯真も考えを変えるはず。

M-SSS(エム-スリーエス)

Multi-target Simultaneous Suppression Systemの頭文字をとった略称。

多標的同時制圧システムとも呼ばれる。

「ゲルデ・マシーンズ」シリーズ中興の祖、「ゲルデ・マシーンズ GERMIMATION」における主人公機、「ドミナント」他に搭載されている。

颯真はこの機体に脳を焼かれているため、今回はちょっとテンションが高い。

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