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Untillusion~合成獣の効率的な運用法~  作者: 鳥野29音
第二章 狼を連れた少女と新たな仲間
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10の質問

活動報告を更新していますので目を通して頂ければ幸いです。

コメントして頂ければ作者のやる気が上がりますwww



「そういや大分暗くなったが日は落ちないな」


 一頻り笑った後、シュウが空を見ながら呟いた。


「いえ、この世界には太陽は無いみたいですよ」


「はぁ?」


 クムトの言葉にシュウも言葉を失う。


「うん、やっぱり僕の記憶では見たこと無いですね」


「ま、マジか…」


 唖然というか呆然というか愕然というか、その全ての表現が内混ぜになった感じでシュウが言葉を吐いた。


「はい。その代わり、あれ……」


 クムトがゆっくりと天の一部を指し示した。

 そこに浮かんでいるのは薄く紅い光を放つ満月だった。


「あの月が何時も登ってますね」


「太陽が無いくせに月は在るのかよ……マジでファンタジー世界だな…此処は……」


「ですね。それにあの月、真ん中から欠けるんですよ。細くなったら二つになります」


「月もかよ……」


 呆れを通り越した呟きがシュウの口から漏れでた。


「ハハハ……それに夜も真っ暗にはなりませんし、星も見たこと無いですね」


(白夜かよ! っていうか、太陽も無いのに明るくなったり暗くなったりするし、星は無いのに月は有るって、何の冗談だ!?)


 呆れを通り越したのを更に急加速して大気圏突入をした様な感じだ。


「この世界……もう何でもありだな……」


「……ですね」


 頭が頭痛で痛いと言う風に、ガックリと肩を落としながらシュウが言うと、クムトも何処か遠い世界に旅立ったかの様な雰囲気で空を仰ぎ見る。


「ハァァ~どうも俺の常識は当てにならんようだ……何か他にも変わった所は無いか?」


「うーん。そうですね……僕も田舎の村暮らしだったから……」


「余り常識を知らんと?」


「……すみません。あっ、でもうちの村は牧畜が盛んでしたよ」


「おっ! なら牛や馬はいるのか!」


 漸く自分が知っている常識が登場しそうで思わず早口でまくし立てる。


「い、いえ…その…牛と馬が合わさったというか混ざったというか、馬牛(ボウブビディ)っていう野獣を飼ってましたね。まあ野獣って事はスムさんから聞かなきゃ知らなかった事ですけど……そういや飛ぶ鶏で飛鶏(プレヴォレ)ってのも飼ってましたよ」


「はぁぁあ? ……マジこの世界うぜぇ!」


 もう常識を破壊するのは勘弁して欲しいと心の底からシュウは願った。


「えーっと…後何かあったっけな……」


「まだあんのかよ!」


「あははははっ……」


 思わず突っ込みを入れたシュウにクムトは面白そうに笑うのだった。




「そういやクムトは神と話しをしたんだよな?」


 漸く常識の崩壊から立ち直ったシュウが頭に浮かんだ質問をクムトに投げ掛ける。

 いや、この世界の常識を受け入れてが妥当か。


「あ、いえ、話した訳でなく頭に言葉というか質問が浮かんで来た感じですね」


「確か十個の質問だったか?」


「はい。何と言うか何かの適正を診ると言うか……選べ! って感じですね」


 どうやらクムトも直接会話をした訳では無いようだ。

 クムトが言うに質問は十個。


①性別は―― 男 女


②戦種は―― 剣士 魔導士 両方


③望む身分は―― 平民 冒険者 貴族 王族


④望む戦闘スタイルは―― 個人 集団 軍団


⑤重要なのは―― 攻撃力 防御力 機動力 指揮力


⑥最も重要なのは―― 生命力 戦闘力 技術 知恵 速度


⑦権力を持ったら―― 支配する 共栄する


⑧成長は―― 一から成長する 今のまま成長する


⑨成りたい者は―― 勇者 賢者 魔王 国王 暗殺者 一般人


⑩神は―― 信じる 信じない


 明らかにゲームでよくある職業適性を図る為の質問に酷似している。

 恐らくこの質問で転生者の立ち位置や個性を指定するのだろう。


(って事は神は人を駒の様に考え、転生者を使って遊ぼうって腹か?)


 シュウが見知ったラノベで嫌な神のパターンである。

 複数人の転生者という駒を世界に配して傍観者を気取っているのだろう。


(……もしそうなら……この世界の神は最低のクズ野郎だな……)


「そういえば……」


「ん? どうした?」


「あ、はい。質問の下に05/20ってあった気がしたんです」


「ちょ、ちょっと待て! それって……」


「ええ…恐らくは転生者の数かと……」


「最低で……だな。今回限りとは限らん」


「ですね……」


 最低でも二十人が転生している事となる。

 クムトは神の質問に命を守る事を前提として答えたらしい。

 恐らくその結果があのスキル……光の障壁なのだろう。

 防御力だけを見れば、シュウの持つ硬化のスキルより頑丈な盾である。

 これが防御ではなく攻撃だったら?

 クムトのスキルの事を考えてもかなりの力を持った存在が最低で二十人いると言う事になる。

 正直、厄介以外に表す言葉は無い。


(クムトのような考えの持ち主だけならいいが、それはまず無いだろう。その考えは余りに楽観的過ぎる)


 転生者全員が理性的な判断を下せるなら、争わず仲間にしていくのもありだろう。だが、


(どこぞのラノベによくある英雄願望の持ち主や、似非正義感を気取るタイプだと、かなりヤバい……)


 マフィアやヤクザより質が悪い。素人に核弾頭発射のスイッチを持たせた様な物だ。

 こちらの意思なく争いに巻き込まれかねない。


「これは……実際かなりヤバい」


「はい。僕もそう思います」


 どうやらクムトも同じ思考結果になったようだ。


「シュウさん。どうしますか?」


「出来る限りは近づかないのが基本方針だが、得てして騒ぎに巻き込まれるパターンが考えられる。最悪で論理感を無視して早めに排除する必要があるかもしれん」


「それは……いくらなんでも……」


 流石にクムトが納得のいかない表情を浮かべる。


「言ったろ、最悪は……だ。俺だって殺しとか好んでしたかないわ。だがこの世界で生きていく以上、自分達と、いや大切に思う人達とどっちか選ぶ事になったら、俺は間違いなく前者を選ぶぞ」


「……そう…ですね……」


「いいか? 迷うなよ? 迷うと大切な者が失われるぞ!」


「はい。僕にも譲れないモノはありますから……」


「なら、そうならない事を願うしかないな……覚悟だけはしとけよクムト」


「……はい」


 この先の事はまだ分からないが、唯唯生き抜くだけでは済みそうに無い事は確かだろう。

 シュウはクムトに分からない様に静かに溜め息を吐くのだった。


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