水晶の洞窟
本日は2話投稿します。
次は20時更新予定ですので、よければご確認ください。
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鮪擬きを鎧袖一触で屠ったシュウは無事に滝の上流の川縁に辿り着いた。
そこで一行が見たのは、眩しく光る洞窟内だった。
(光がある…か……)
シュウはそのまま洞窟内へと降下していく。
「うわっ!眩しっ!」
「眩しいよう…」
着地したのは広間のような場所だった。着地の際、幼児達があまりの眩しさに驚きの声を上げる。暗闇から一瞬で明るい場所に出たのだから仕方の無い事だろう。クムトも掌を目の前に上げて光を遮りながらも眩しそうに目を細めている。
(そ、そんなに眩しいか?)
唯一気にしないでいたのは合成獣のシュウだけである。
もしシュウがその光量を感じる事が出来ていたのであれば、もっと手前に着地していただろう。ある意味合成獣に成った弊害であった。
漸く目が慣れてきた一同が目にしたのは洞窟内を照らす光源ーー
「うわあー綺麗……」
「すっげーお宝だ!」
「これは…凄いなあ……」
皆揃って感嘆の声を上げる。
その光景は幻想的で、まるで映画に出てくるような、正にこの世のものとは思えない圧倒的な雰囲気を醸し出していた。
そこで見たのは壁や天井から無数に生えている水晶群。岩壁の彼方此方から水晶が生えており、その輝かしい姿の一部を覗かせていたのだ。
勿論光源がない場合、普通の水晶は当然光を放つ事はないのだが、此処に生えている水晶は自らが光を放っているようだった。
その一つ一つの光は小さいが、壁の各所からこれだけの量の水晶が生えているとそれだけで結構な光源となる。
この光源だけでランプの光など全く必要としない程洞窟内を明るく照らしていた。
暫くの間一行はその幻想的な風景に酔いしれていた。
(そんなに綺麗なのか……)
一人だけ暗視能力を持つ為に同じ感動を味わえないシュウを除いてだったが。
皆の感動が漸く落ち着いた頃、シュウは自慢の鎌で掌大の六角柱に近い形の水晶の欠片を切り落とす。
(っと、こんなもんかね)
即席のランプだった。現在は必要ないが、もしまた暗闇になった際に役立つだろうと切り取ったのだ。
ふとアーチェの表情が目に止まる。
(おぅおぅ、キラキラした目で見てんなぁ……まぁどこの世界でも女性はこんなのが好きだよなぁ……)
別に誰に渡してもよかったのだが、シュウは取り敢えずそれをアーチェに渡してみる。
「あ、ありがとう、シュウお兄ちゃん」
恐る恐る受け取ったアーチェは嬉しそうに微笑むと、その欠片を大切な宝物のように胸に抱き締めた。
「いいな。シュウ兄ちゃん、俺にもくれよ」
パルは水晶の欠片を受け取ったアーチェを羨ましそうに見ると、自分も欲しいと言い出した。
(まぁそうなるよなぁ…子供だし……)
仕方ないとばかりに肩を竦めるとシュウはもう一本欠片を切り出す。
(そうだなぁ……そのまま渡してもいいが……ちょっと工夫してみるか?)
その後少し考えてから水晶を両手で持つと、前腕の鎌に熱を纏わせる。
(で……これをこうして……)
赤く染まった鎌を使って水晶をカットしていき、とある形に整え始める。端から見てもシュウが楽しそうに作業しているのが分かるだろう。
シュウはそんな気は全くなかったのだが、前世では何かを工作するのが好きだったのかもしれない
大きな鎌での作業の為、少し不細工だったが思った通りの形に仕上げられた。
(まぁこんなもんだろ!)
作ったのは水晶で出来たナイフで、持ち手の一部が少し溶けかかっていたが、刀身の部分は…危ないので少々丸みを持たせたが……実用に耐える物に仕上げたつもりだ。
(ほらよ)
刀身を手に持ち、柄の部分をパルに握らせる。
「ありがとう兄ちゃん!」
「よかったね。パル君」
パルに少々歪なナイフを受け取ると、クムトの真似をしてか楽しそうにブンブンとナイフを振り回す。
「コラッ!」
すぐクムトに危ないと注意されていたが。
何にしてもこれで光源はクムトの障壁を合わせて三つ確保した事になる。
(まぁこれが必要になる前に出口に辿り着せるのが最優だがな)
そう思いつつも恐らくはそうは成らない事をシュウは直感で感じ取っていた。
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