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水源を求めて

皆様のお陰を持ちまして昨日ユニークアクセスが100人を越えました。

これが早いかどうかは分かりませんが、約1週間でこれだけの読者様に読んで頂けるとは感謝、感激です。

これからも飽きさせない楽しい作品にしていきますので、このまま引き続きお読み頂けば幸いです。

出来ればブックマーク、評価をして頂けると最高です。

これからもよろしくお願いします。


 角粘軟(コルノリモ)と岩甲虫(カヴラドモ)の群れを突破した一行は、漸く通路を抜け以前の様な鍾乳洞へと足を踏み入れていた。

 どうやら先程までいたのは野獣……恐らく岩甲虫の群れが作った横穴だったらしく、通路を超えた先には再び広い鍾乳洞が広がっていた。

 最初の鍾乳洞と同じようにも見えるが鍾乳石は尖っておらず先端は丸みを帯びていた。

 この鍾乳洞に入ってからシュウは空気中に含まれている湿気を感じ取っていた。



(つまりは水辺が近いって事だな)



 これは非常に一行にとってありがたい。

 なにせ全力行動を何度も行っているのだ。水分摂取をしないと倒れかねない。

 特に幼児二人の体調が心配だ。只でさえファヌを亡くした心労があるのだ。出来るだけ早く休ませてあげたいと思う。

 アーチェは会話も少なく、懸命に口をギュッと結んで何かに必死に耐えている。

 パルはそんなアーチェにあれこれと話しかけて笑いを取ろうとしていた。パルは逆に元気そうに振舞っている分だけ更に痛々しい。

 そんな二人にクムトが静かなそれでいて何かを伝えたい想いが籠った声で語りかけた。


「大丈夫かい……って聞くのは簡単だけど、そんな訳がない事は分かってるんだ。大切な友達と二度と会えなくなったのだから」


 クムトには今の二人の気持ちがよく理解出来ているのだろう。

 恐らくは実体験を伴ったもので、恐らくはシュウ以上に……。

 先の慟哭にも似た怒りの発露を、心の叫びを聞いたのだから。


「でもね。僕達は“今”生きているんだ。ファヌ君とあそこで同じように死んでいたかもしれない。でも生き残ってここに……ここで生きている」


「…グスッ……」


 アーチェの口から嗚咽が漏れる。


「死んじゃった人は二度と帰ってこないんだよ。どんなに会いたくても会えない。どんなに声を掛けたくても掛けられない。悔しくて、辛くて、泣きたくなって……すごく自分が無力で……すごく自分が嫌になる。……でもね、死んだ人……ファヌ君はそんな君達を望んでいると思う?」


 二人に言っているだけではなくて、恐らく自分自身に、そしてかつて誰かに言われただろう言葉を真摯に懸命に二人に伝えようという想いが言葉に詰まっている。


「多分ね。ファヌ君は笑っていて欲しいと思ってるよ。パル君のように無理矢理に笑うんじゃない。アーチェの様に俯いて悲しんでいて欲しくない……」


 声の口調は優しく平坦に言っているが、シュウにはそれが無理やりに絞り出している声のように感じられた。


「もっと、もっと本気で心の底から笑っていて欲しいんだよ。今すぐには無理だとは分かってる……分かるから。だから……少しずつ、ほんの少しずつでいいんだ。パル君のように今は空元気でもいい。アーチェも声に出して泣いてもいい。でも……今は無理でも……いつか心から笑えるようになろうよ。それがファヌ君が君たちに望んでいる事だと思うよ」


 二人は静かにそれでいて真面目な顔で真摯にクムトの話を聞いていた。


「……でも今は頑張ってほしいんだ。正直に言えば休ませてやりたいけど…ね。まだ此処は安全じゃないから、もう少し、あと少し安全な場所に着くまで頑張って欲しい。ごめんね」


「だ、大丈夫です。もう泣きません!」


「うん。俺ももう無理には笑わない。本気で笑う」


 二人が其々懸命にクムトに答える。


「うん。ありがとう」


 クムトの声は嬉しげでいて少し寂しそうだった。




 シュウ達一行は光の無い闇の中を進んでいた。

 一行は既にランプを持っていない。先の戦闘時に落としたまま逃げ出したのだから仕方のない事だった。

 唯一シュウのみが視覚を確保できていた。

 恐らくは元となった影蝙蝠に暗視能力があったのだろうとシュウは勝手にそう思っていた。

 実際には別の合成元に暗視能力があるのだが、当然だがシュウはその事を知らない。

 現在は暗闇の中をシュウの視覚だのみで動いている。

 その為逸れない様に全員がシュウに跨っての行動だ。故に行動には多大な制限が懸かっていた。

 咄嗟の対応に問題が発生する可能性が非常に高いがこればかりは仕方がない。

 クムトに光の障壁を張ってもらえば多少の灯りは取れるかもしれないが、ずっと障壁を張れというのも酷な話だ。

 まあ必要になったらシュウは障壁を張って貰う気満々であったが。

 シュウは取り敢えず今は水音のする方向に進みたいと思っていた。

 湿気があるのだからどこかに水が流れている可能性がある。

 シュウは聴覚に集中するが何かが足りない感じを受けていた。こうやって耳を澄ませるだけでなく、もっと別に有用そうな方法がある様に感じる。



(ふむ。記憶によれば合成元は蜘蛛、蝙蝠、スライム、人魂、あとは謎の肉が数切れ……と。俺の合成元で今現在分かってるのは影蝙蝠(ソンブシェラゴ)と……あの角粘軟(コルノリモ)だな。後ありそうなのは……蜘蛛系は間違いなくあるだろ。それに狼男? いや狼だろうな。人の身体はサコィだろうし。後は鎌があるから蟷螂か? いや別の何かが鎌を持ってる可能性も有るよな……。蝙蝠、スライムにしても全く素直な感じじゃないし、影に潜ったり角を持ってたり、結局はファンタジー的な解釈をする必要があるんだよなぁ……この世界。マジで面倒臭せぇ。そういや人魂みたいなのは何だろうな? それに肉……か。狼の肉だけじゃない気がするんだよなぁ……)



 確定なのは人と影蝙蝠と角粘軟の三種類であり、名前は分からないが蜘蛛、狼、人魂があるのもほぼ間違いないだろう。

 取りあえず合成元の二種類が分かっただけでも御の字だろう。ずっと分からないままだと、この身体にどんな能力が宿っているかも分からないのだから。



(まずは影蝙蝠(ソンブシェラゴ)だな。蝙蝠なんだから超音波とか使えそうだよな。確か音の反射を利用して相対的に位置を確認していたはず……エコーロケーションだったっけ? でも今はこれじゃない。次は嗅覚だな。狼なんだから嗅覚は高いはず。水の匂いが分かれば水源に辿り着けそうな気がする。うん、これだな。と言う事で……Let's try!)



 シュウは立ち止まると意識を集中させる。耳を澄ますだけでなく、狼の鼻をピクピクと動かし細かい臭い嗅ぎ取ろうとする。


「シュウさん?」


 突然止まったシュウに、すわ敵襲かと身構えるクムトだったが、シュウの様子からそうでないと感じ安堵の溜息を漏らす。

 結果として、このシュウの企みは成功する。水音は聞こえなかったが、水の匂いを微かに感じ取ったのだ。

 狼の嗅覚の感度は人の百万倍とも言われている。その嗅覚が水を感知したのだ。



(おっしゃ! 取り敢えず成功っと。あとは臭いの元に辿り着ければいいんだが……)



 シュウはその匂いを辿る様に……周囲を警戒しながらゆっくりと歩いていく。

 影蝙蝠のように突然飛び出してくる野獣もいるだろう。当然視覚にも注意を払っておく事も忘れない。

 しかし幸運にも敵対生物は襲い掛かって来ず、シュウの聴覚が先に水音を捉える事に成功する。

 その後は楽なものだった。行き先がはっきりした以上態々ゆっくりと歩く必要はない。シュウは歩脚の移動速度を上げ、無事に小川を発見するのだった。



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これからも楽しんで戴ける作品を作り続けられる様努力していきますので、ご声援よろしくお願いします<m(__)m>

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