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13話

 放課後の中途半端な時間な為、靴箱は裕太以外に誰もいなかった。トイレに寄ってから来たのに弥生と愛の靴はまだ収まったままである。案の定兼也のことで話し合いをしているのだろう。

 なんのきなしに隣の二年三組の靴箱を見ると一番最後——渡辺兼也の靴はまだ収まったままである。部活はしていなかったと思うがまだ残っているのだろうか。まああいつのことなんてどうでもいいのだが。


 ハイカットの白一色の兼也のスニーカーは意外にも丁寧に使用されているようで色は若干黄ばんでいるが性能自体は衰えている箇所が見られない。

 と、特に靴に興味があるわけでもないのに食い入るように見ていた裕太の視界にゆっくりとそのスニーカーをつまみ取る手が現れた。


「よ、よう。俺の靴そんな珍しいか? 」


「いや。別に……」


 最悪のタイミングでその靴の持ち主——渡辺兼也は姿を見せた。最悪なのはむしろあっちのセリフか。

 

 恐らく靴箱に来てから裕太がいるのを見て引き返そうか葛藤したに違いない。いつまでもどかない裕太を見て意を決して話し掛けたのだ。


「……お前、飛び級するんだってな」


「……あいつらから聞いたのか。ああそうだよ」


「いや、先生が話してるの聞いたんだ、結構すごいことなんだろ」


「ああ、ただ指くわえて助け待ってる誰かとは違うんだよ俺は」


「……ああ」


 体の震えは収まりきらず、それでも裕太は兼也にいってやるのだ、お前は不甲斐ないと、なにもできない赤ん坊同然だと。


 そうでもしていないと——こうでも思っていないと弥生と愛がまだ思いついていないであろう兼也を助けるたった一つの方法を忘れることはできないだろう。

 


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