写の記憶の範囲ならいけるんじゃないですか
「話が難しい」
「僕も今は仮説の段階だからよりそうだと思う。本当にリソ氏が言った『写の記憶のまとめ』を進みながら固める必要があると思う。
ちょっとわかりやすそうな例えにすると……先もみんなが言った通り、結局『アルベルト・レグノのスペアを扱ってる関係だから』より能動的に学べるようになると言えるね」
「ふうん」
「今まで先代が持ってたのとは構造が違うよ?それを僕たちは今も写の記憶を扱う事ができるこの自分の心に基づいて、自分のそれぞれの属性の感覚でそれを知るしかないと思うんだ」
「それぞれの属性の感覚?」
「リソ氏を例を言うと、霊の感覚と共に世界を見るとか」
「ウチはそういうのぜんぜんできそうにないんだけど。きみたちのコアに秘術が使えたのも完全に気持ちだけの感覚だ」
「そう。それはリソ氏がまだエーテルの能力が伸びる段階にあるからだと思われる。そしてそれが僕たちも似たようなものなんだ。人間である、もしかすると夜空のものであるリソ氏とは違って、僕たちはこの世界にずっと生きている自動人形。その中で人間とは違うとしても共通する感覚で世界を見て聞いて、自分の属性のエーテルに関する感覚でより感じている。
しかも、以前も話した通り『火・水・土・風』はどこにもあるものだ。『金・木』で僕たちの体はできてるんだ」
「ちょっと自然なものを、オートマトンとして感じて、しかも『写の記憶』が開いているからその範囲を信じて感じる、ということ?」
「人の時もずっと写の記憶は閲覧できたんだね?だからそのちょっとのオートマトンとしてのエーテルの感覚もきっと使えるということだ」
「うむ」
ルビーは真剣に考えこんだ。
「ウチはもともと『霊のエーテル』というのが稀で、しかも普通の人でもないかもしれないからそのように世界と同然に感じる事が難しいということなんだね」
「確証はないですが、おそらく。だからリソ氏は『非凡のもの』としても『固有能力の非凡使い』としても、結局自分だけの感覚を掴むしかないと思うのです。でもルビーのように矢と鉄砲玉が飛ぶ戦場に生きていくわけではないから」
「あ、もちろん戦場に完全に出ない仕事をするのならその問題はなくなるよ。それはアルベルト・レグノも言ってた」
「自分で選べないだろう」
「そうだけどね」
「ふむ、確かに森のものではなくて金のエーテルのことを感じて見ることができるアルミナだからこそ、みんなの上達になれる話ができたと思うんだ。素晴らしい」
「はは」
「まあ、今はまだその『写の記憶のきっかけと自分の火のエーテルの感覚を合わせて』戦場を見るとか、ぜんぜん無理そうだけど……方向はわかった。ありがとうね」
「どういたしまして」
……までの内容を要約して、先の記録に付けていちおう整理した。
「ふむ、なるほど。自分も水のお仕事をしてると、だいぶそういうのがわかるかも知れないな」
「意識するとより早いと思うよ。ほら、ここは僕が見れる鉄のぶつがいっぱいじゃないか」
「なるほど、だから早めにわかったとも言えるな」
サファイアもアルミナの言葉に頷いた。
「ルビーちゃんの悩みがちょっと解決できたようでよかった!
アルミは今日の仕事はどうだったの?金属工房はどうなりますか?」
「まあ、先代同様一人分としてはもう働ける感じだけど、子供だから無理して仕事を取ろうとはしたいないです」
「中庸ね」
「もう何千年そう生きていたから」
リソくんは頷く。
「うん。やはり自分だけの固有な能力があるとか……この世界に一人しかいない神獣とか、周りと完全に違う理で生きるしかないものは、強い弱いを言うと、弱い方だ。
ウチはね、『影の糸』とかを使ってきみたちの起点に助力したことは本当に自慢だと思ってるしこれからもその能力は鍛錬したいとも思うけど、『写の記憶の中の色んな知識』のようにね、より分かりやすくて正しい方の、もっと汎用のものがいいと思っているから。別に『業界に現れた天才』よりは適切に続いて生きることがいいと思ってるよ」
「みんな言葉は違えど心からは同意してると思ってる」
「うん」
ルビーとサファイアも1ミリくらいを微笑みながら言った。
ルビーは先「大魔術師になるかも知れないな」とかを言ってたけど、それも多分勢いだけで言ってる言葉で、別に魔術史に残る人間としてみんなを引き落として代表になりたいとか、そういうのではないと思った。
そのあとはアルミナが学んできた最近の業界の情勢と、仕事に使えそうなコツなどをアルミナとリソくんと3人で話していたら、地下室のところから声が聞こえた。
「あ~~~本当に駄目だ。マギアはわからん」
「知らないことだけど、きっと水属性にも頼りになるんだろうから」
写の記憶の範囲を超えて、「平凡の人は理解もできそうにない」マギアの話を読んだらサファイアが苦しそうにいてるらしい。
「同じギルドからの宝石からなのに、大分違うんだな」
「確かに。私の『それぞれの属性への感覚』を分けたのがこんなに差があるとは思ってなかった」
「その宝石の、前の処置が関係したりするのかな」
「どこに使う宝石だったのか、もう使ってたか……など?そうかも知れないけど僕たちもリソ氏もそういうのは知らないはずだから、想像するだけ」
「確かにね」




