マギアとしての限界
「マギアとしての限界か。確かに頭が限界になると言ったな。ゴミになると」
「マギアのことを心のお仕事だと言いますけど……それは、心の言葉を考えて扱う事ができないと、なにもできなくて、なんにもならないということです。自分の属性のことを考える事も、術の事を覚えて出すことも。ミカエル教授でもないかぎりその例外はないのでしょう。
そして、それは頭を使って平凡の知識を覚える場合も似ていることです。学習が過ぎると頭が熱くなる気がするとか……」
「そうね」
ドルイドさんもそんな経験はあるようだ。たしかに「クララさんとして」世界の物事を見て聞いて喋っているのだから、全部ができる……最強無敵の偶像なわけではなかったのだ。クララさんとして知ってる話は慣れてる。凄くはやく学べる。けれど、初めてみる知識は難しい。同じく、ブイオさまがクララさんとしてドルイドさんが理解ができないものを言ったら、それが危険な知識なのはともかく、もともと頭に入らなくて聞いてすぐ流されるなども……同じことだ。
「もしくは、新しい人たちに会い過ぎていると、なにをどう喋ればいいのかわからなくなるとか」
「あるね。空っぽになっちゃうね」
「そして、練習をし過ぎていると、自分が道具のように感じれてしょうがない時が来る」
「逆に努力の方向性があやしくなっちゃうね」
「そういう平凡のこととも同じことなんです。エーテルのお仕事も、このような平凡の頭の使いと同じように、心が疲れるとできなくなるということです」
ドルイドさんは頷いた。
「そうだな。わたしもそんな心の疲れがあると思うから、平凡の人間のようにちゃんと休んで、睡眠を取る。わたしは原理的には『座標の衛星』という性質でブイオさまの星のエーテルの勢いを貰いずっと動ける使い魔のようなものだけど……学習したり意思疎通をしたりするそういうのは、無理は避けた方が良い。テンションがおかしくなるからだ。きみを助けた辺りまではわたしもブイオさまもそんなに考えてなかったけど、今はちゃんと休んだ方がいいという結論になっているのだ」
「そうでしたね」
確かに、テンションがおかしくなったドルイドさんは「狩人の娘として」急に恥を感じて道具や罠などが必要だと、準備しようと叫び出したり、クララさんの「白い子」という体の特徴から発生しているコンプレックスをブイオさまに当たったりしていたらしい。でも、適切に寝て起きて筋トレしてギルドから貰うお小遣いで食物が食べれるようになってるから……その心の疲れはその分なくなってた。最小になってる。
いや、ドルイドさんの場合心の疲れより、人の心を維持することに疲れる感じらしい。それが彼女の「ステラ・ロサという名前の器」を維持するための、彼女の核というものの安定性を守る方法になっている。
「わたしは非凡の物事が見えて聞けるけど、わたしの深紅の悪魔の時のように、人の考えを触って読むとか……話でいっぱいな世界を見るなどのことはできない。だから、そのように、同じ非凡のお仕事をする立場でも、完全にみんなが同じ非凡の目と耳を持つには限らないと思った。みんなが同じ目で世界を見ているわけではないと思った。魔術ギルトの知識でもそうなの?」
「はい、そういうのは魔術理論だってちゃんとあります。『神話生物理学』ではないのです」
「それはよかった」
「同じ属性だとしても、廻で見れて聞けて感じれて触れるものは違う。調子がいいと、同じ実力でよりできる。実力が優れると、同じ調子たとしても、より鮮明に見えて聞こえるようになるのです。そして、最近話が出てた……非凡のことに頼りになる部類の眼鏡がそんな場合『より見えるように』手伝ってくれる役割を持つものでもあります」
「ああ、非凡の眼鏡。話した事あるわ。スフィアを見るから観廻だ」
「そうですね。そして、アリアの話になってますが……風の動きによる葉っぱの踊りが見えるとか……そういうのが普段の元素魔術『風』です。なんにもない空気もそのままちょっと見えます。おれもアリアのマギアとして集中すると、扱える、動ける、触りたい部分はわかるのです。少しはエーテルの空色も見えたりもする。
でも、その見える部分が『全部』になるばあい、それは大変なことになるのです。ただ見えるすべての領域がぐにゃぐにゃの空色のエーテルでいっぱいになっているとか。実際触って自分の我が触れれることにならないかぎり分からない。厳しいと思いますよ。だからマギアは適切に……いつも適当に、自分のスフィアとチカラで望むくらいのものを見るようになっています。練習もするけど、こういう仕組みが自然に感じます」
「ああ!わたしもわたしの『花びら』についてそんな感覚だし、深紅の悪魔が見えない心のエーテルを被らせたり利用する事も同じ感じなんだね。意図によってより鮮明にして、より強く動かす。
花びらの場合、知ると同然のように見て動けるけど、遠すぎると、分かってないと、気にしないとすぐどうでもよくなるのだ」
「はい、それがアリアにとっては普通です」
「なるほど」




