第三話 選択の時
小学五年生になってからもA子とは一緒のクラスだった。ただその頃から妙な噂が広がっていた。その噂が俺のもとに届くまではあまり時間はかからなかった。
「A子、K君(俺)の事好きらしいよ」
根も葉もない噂だ。俺からしてみればまともに会話できる女子はA子くらいだ。しかし、A子にとって俺は会話できる男子の一人にすぎない。しかもそんなそぶりは一度も見せた事はない。よってA子が俺の事を好きだなんて事は絶対にありえない。でももしかして…という気持ちは押し殺して冷やかしなどは全て無視していた。
その噂が広がってからは次第にA子と会話する機会は少なくなってきた。それどころか目すら合わせてくれなくなりあきらかに避けられていた。(これは俺との噂が迷惑だからなのか。それとも…)
そしてついにーーー
夕日が沈み辺りはすっかり暗闇に包まれた頃俺は家に帰るため学校の下駄箱へと向った。靴を取り替えようとし下駄箱の中を覗いてみると何やら見覚えのないものが入っていた。(何だ…これ)取り出してみるとそれはどうやら手紙のようだ。そこには
『K君へ』
(ラ、ラブレター!?)
俺はどうしていいか分からなかった。それもそのはず、一度もこんな経験をしたことがない上に恋愛なんて大人になってからするものだと考えていた。だが困った。確かにA子が唯一話せる女子だったが恋愛対象として見た事は一度もない。だが選択しなければならない。この中身をみてしまえばもう後には引けない。そしてとても悩んだ。凄く悩んだ。途轍もなく悩んだ。
「おはようA子」
「おはようK君。昨日の手紙みた?」
「その事なんだけどさ…ごめん。確かにA子は俺にとってまともに会話できる唯一の女子…友達だったけど恋愛対象として見たことないっていうか…だからその…A子とは…付き合えない………ほんとにごめん」
「そっか………………」
(いや、だめだ。俺にはこんなことする勇気はない。)もたもたしてると誰かに見られてしまうかもしれない。でも選べないと…。そして悩んだ末に選択した道は・・・・・
とある女子
「昨日の手紙みた?」
「え?何の事?」
昨日俺は手紙を下駄箱の中に残したまま、帰宅してしまった。俺には勇気が無かった…
それから小学校を卒後し、中学にあがった後もA子とは会話もせず避けられていた。そしてそのまま中学も卒業して別々の高校へ行った………
もしあの時ラブレターを受け取っていたら…そう考えると胸が痛い。だがもし過去に戻れるとしても俺は同じ選択をしていただろう。
正しい選択なんて俺には分からない。正しい選択が分かっても俺には勇気が無い。だから、正しい選択なんて俺にはできないだろう………
自分の体験談を書いて見ました。皆さんならどんな選択をしましたか?




