東方地底秘話45話
あの娘は2人が行った方向へと逃げた。
「(壊せ。壊してしまえばいい)」
「(………誰)」
「(お前は私。私はお前。フランドールスカーレットだ)」
「(消えて)」
「(無理だ。私はお前だから)」
「(何をするつもりなの?)」
「(このままだと、あの2人も失う。お前はまた1人になる。だが、あいつを壊せばそれだけで済む。それだけの話だろう?)」
「(1人は……嫌)」
「(そうだろう?だから、私に任せな)」
私は、この時の選択を誤った。任せることなんて不要だった。無理矢理にでも止めるべきだった。なぜなら……
「(急がないと逃げられるな…。
まあ、この場所からでも……)」
そう、私には自分の身体を動かせなかった。乗っ取られていた。
もう1人の私が右手を握りしめた時、
あの娘の姿はなかった。
「(粉々に砕けてしまったか……)」
数分後、2人が戻ってきた。
「なあ、あいつはどこに行ったんだ?」
「(あの娘は、……もう……)」
もう1人の私は、そのことを言わなかった。
「今、2人でかくれんぼしてるの。で、私が鬼なんだけど2人もする?」
「あ、ああ……やるよ」
「30秒数えたら始めるよ?」
「(え…?私は何も言ってないよ……?)」
「(お前の言葉は誰にも届かない)」
2人は逃げた。
「おい、何だよ、あの死んだような目は」
「早く逃げないと……」
「15………10………5…4…3…2…1…0」
「やばい!始まるぞ!」
「この戸棚に隠れよう」
ペタ、ペタ、ペタ。
「おい、静かにしろ……」
「分かってる……」
「…………行ったみたいだな」
「でも、もしかしたら待ち伏せているかもしれないからまだ待とう」
「………………そろそろ出ないか?かなり待ったろ……」
「もう少し……」
「もう………いいだろ……何時間経ったよ……」
「……出ようか……」
「よし、開けるぞ…せーの!」
「……開かない」




