東方地底秘話38話
「覚無。お前、何をした?」
「その声は……ルーミア?」
「視界も悪いようだな。傷だらけの体なら仕方ないか」
「ルーミア……。私を……匿ってくれない……?」
「……誰かに、追われているのか?」
「覚故にね。この姿を覚故に見られたくないの。だから……」
「………それは、無理だ」
「……な、なんで………」
「……無知な者が他人を好きになれるわけがない。お前のその言葉は、自分を理解されたくないと示しているだけだ。あいつは、お前のことを知らずに好きになりたいと思うのか?」
「(覚故は、私の全てを知りたがっている。
無知がいいなんてことはない。でも………)」
「あいつは、お前のその姿を見て、お前のことを嫌って、お前を置き去りにする理由でもあるのか?」
「いや、ないよ。ないけど……私が覚故を守らないと……」
「いつまでもお前に守られていることを、あいつは望んでいるのか?そうだとしたら、それは間違いだと私が言ってやる。望んでいないのなら、あいつにお前のことを守らせろ。
そうしたら、お前のことを信じるはずだ」
「………!」
「今、こうなってしまったのも、私が悪いんだ。いくら操られていたとしても、直接殺ったのは私。あいつに全てを話すよ。それでいいだろ?」
「私は……どうすれば覚故に信じてもらえるか分からなかった。その方法があるのなら……そう……するわ」
「そうか。とりあえず、傷はこれで大丈夫だろう。後は帰ってから治すんだ」
「ありがとう、ルーミア。でも、あのことを話して、もし覚故がルーミアを撃つことになったらどうするの?」
「その時は………受け入れるさ。仕方ない。
まあ、私はあいつが撃ってくることはないと思うが」
「撃たない保証はできないわ。でも、撃ったところで誰のためにもならないから撃たないと思うけど。誰かのためになるなら撃っていたかもね」
「恐ろしいな。お前が原因だが」
「まあ………そうね」
「お姉ちゃん、ただいまー」
「おかえりなさい。覚故はどうだったの?」
「グルグル巻のミイラにしてきたよー」
「ちょっと!何やってるの!」
「そんなに長い包帯は持ってないよ〜」
「もう………」
「あのダンボール箱、どうしたの?」
「お空に渡して来たわ」
「あ、やっぱりそうなんだね」
「今頃燃えているでしょうね」
探す時間は短かった。
「ルーミア……」
「あいつの応急処置は済ませた。とりあえず大丈夫だ」
「ありがとう」
「今から始めるお前に大事な話をする。聞き逃すなよ?」
「ああ」
「まずは………すまない。本当に取り返しのつかないことをしてしまった」
「何を……したんだ?」
「お前を………初めて殺したのは私だ。
今更謝っても遅いが、本当にすまない」
「でも、覚無と仲良くしているように見えたが……?」
「そ……それはね、ルーミアの意思で殺してないからよ」
覚無はフラフラと立ち上がる。
「私の怒りの矛先が、ルーミアに向いたことはないわ」
「じゃあ、誰に……」
「博麗の巫女」




