東方地底秘話23話
「(部屋に戻って来たのはいいけど……覚故、
大丈夫なのかな……。
精神が不安定だから、気を失うことも多かったものね。
こんなに代償の大きい能力なんて……。
でも、不安定なままに形成されているんだもの……。
安定してたら、今のように生きることは………ないのかな?
大丈夫。
あなたは私、私はあなたなんだから…)」
…………ここは……草原?
確か、さっきまでは鬼ごっこをしていたはず……。
雲のない青空、見渡す限りの草原。
こんな場所は見たことがない。
……あれ、覚無は?
………俺も覚無を求めていることを改めて実感した。
心地よい風が吹く。何も無いばかりに逆に不安を覚える。
覚無とずっとこの場所にいたい……。
でも、この場に覚無はいない。
どうしようか……
「(まだ目を覚まさない……私が行ったほうがいいかな……でも、もしあんなことになったら……たった1回だったとしても……どうしよう……)」
とりあえず落ち着こう。
………ここはどこか分からないが久々に1人になった。
目を閉じて、ゆっくり深呼吸をする。
このまま寝転んでいればいい。
「覚故が私と逆の立場だったら……間違いなく私のところへ来るはず。
それなら、私も迷わない。
すぐ行くから。待っててね、覚故)」
覚無、来てくれないかな。
…………歩くか。草原にも限りはあるだろう。
現時点では終わりの見えない草原を歩き続ける。
「(何ここ?……草原ね。よく分からないけど解放感があるわね。ここで覚故といたいものだわ。………って、ここにいたのね……)」
「ちょっと、後ろ後ろ」
ん?
「いつから?」
「今」
…………………………
「ここはどこなんだ?」
「分からないの。その質問をするということは、あなたも分からないのね。
あなたこそ分かると思ったのだけど」
「ここがどこまでも続く草原なら……」
「ん?何をしているの?」
ドン。
「風の吹く方向を燃やす。そして……」
パン。ヒュウウウウ。
「酸素を込めて風弾を撃てばすぐに大炎上する」
「目的は?」
「このまま歩き続けても終わらないと判断した。だから燃やした」
「大胆ね……」
「発想は特技だからな」
「無意識を意識に転換するだけに?」
「分からない……」
「ここは何もないから練習には最適かもね」
「何の練習だ?」
「銃に決まってるじゃない」
「当たり前に言うなよ……」
「何か的があるといいわね」
「そうだな」
「覚故、そこにいて」
そう言って覚無は俺に背を向けて歩く。
「おい、置いて行くなよ……」
ドン。
振り向きもしないまま発砲した。
「やっぱり当たらないわね」
「いや、俺の体に……」
「意味が違うわ。当たっているけど当たっていない。弾がすり抜けたのよ」
「早く気付きなさいよ。まあ、仕方ないかな。心が死んでいたわけだし。
覚故、空に太陽がないのに青い空なんてあるわけないよね?」
「それなら、俺の体は?」
「心配ないわ。地霊殿の部屋にあるから」
「そうか」




