東方地底秘話20話
「ここの生徒じゃないから、他の生徒に見つかるなよ?」
「当たり前じゃない。あなたの視界にだけ映るようにするわ」
それはそれで困るのだが…。
「邪魔はするなよ?」
「私がいないと生きていけないあなたにとって、私が邪魔なことはないでしょ?
私がいるからこそ今を生きているのだから…」
……もう手に負えないや。俺の価値はどうなっているのだろう。
授業中……
「(おい、なんで俺の机に座るんだ!黒板が見えないじゃないか!)」
「(黒板なんて見なくていいから私だけを見て。私といればあなたは幸せになる。
あなたがいれば私が幸せになる。存在することがお互いのメリットなんて最高じゃない?)」
「(じゃあ、今の俺は幸せだと?)」
「(そうよ。この1分1秒が幸せでしょ?)」
「(でしょ?って、実感が…。しかも、死後はどうするんだよ?)」
「(身体が死んだって、意識は死なないのよ。意識だけで永遠に一緒よ)」
もう、頭が回らなくなってきた…。
少年少女帰宅中……
「話が理解できないぜ…」
「理解できなくても、一緒にいてくれればいいの」
「じゃあ、このタオル運んでおくぜ…」
「だめ!」
「な、なんだよ…」
「私が全部確認するからね?
だから、私のことを想うなら手伝わないで!」
普通逆だが…。
次の日。その次の日。更にその次の日と、今までと違う本来の日常を過ごす日々。
いつでも一緒か…。
確かに、それが自分の本当の意思だった気がしてきた。
いつも俺のことしか考えていない覚無だが、
ふと思えば俺も覚無のことばかり考えている。
これが相互性か…。
それなら、覚無が訳の分からない発言をするのにも納得する。
発言の内容は理解できないのだが…。
これから、徐々に徐々に依存と独占欲にまみれた日々になる。
このことに後悔はない。
1つ言うとすれば、もっと早く覚無との日々を過ごしたかった。
生涯を共に過ごすことを誓える存在が必要だった。
俺は寂しかったんだ。足りなかったんだ。
この空っぽで渇いている心には度を過ぎた愛でないと埋まらない。
目には目を。歯には歯を。
1度は聞いたことがあるだろう。
ならば俺はこのように言おう。
『病んだ心には病んだ愛を』
覚無が「生命が誕生する前から好きだった」
というどう考えても理解できない発言をされても、俺のことを愛してくれるならば、1分1秒を2人で過ごせるならば、同時に生涯を終えれるならば、死後も一緒にいることができるならば、俺は覚無に全てを託し、覚無は俺に全てを託すことが……………できるんだ。




