東方地底秘話15話
銃声のあったところへ近づく。
その距離、およそ5m。
ドパン!ビチャチャチャ!
この距離で俺が返り血を浴びるだと……?
今は覚無と知っているが、距離の俺は知らないだろうから少女ということになるかな。
ギロッ。少女がこちらを横目で見る。
そしてこちらに歩み寄って来る。
その姿は自分とは比べものにならない。
ところどころ赤い血が付いた髪。
顔中も返り血だらけ。
全身に大量の返り血を浴びたせいか、
元の服の色が判別できない。
どんどん近づいて来る。
もう、目の前に……。
銃口を俺の胸に向ける。
そして………右手で銃を突きつけたまま左手で俺が頭に被っているフードをはがす。
先程までの冷徹な表情とは一変、予想外のことだった。
「な、名前……なんて言うの?」
少し照れながら、質問を投げかける少女。
「あ、先に……自己紹介しなきゃね!私は神狩沙里。あなたは?」
「………駆裁斬己」
「……そうなんだ」
「僕を……撃つの?」
「………撃たないよ」
ちょっと待て。
「覚無。お前はこの時に俺を撃たないと言っているじゃないか。さっきはなぜ撃った?」
「ちっ、ちがっ………あなたがとても大事なことを忘れるからでしょ!あなたのためなの!ね!?」
「………そうか」
未だに目を閉じたまま続きを見る。
「私ね、この前にね、私たちと同じ瞳を持った子を見たの。その子の名字は古明地というらしいの。
だから、私たちの名字も同じだと思う。
それでさ、名前を変えようと思うの。だめ?
「………変えたい」
「2人とも変えるから……そうだ!私があなたの名前を付けて、あなたが私の名前を付ければいいんだ!」
「………そうする」
決まりだね!でも、どうやって決めよう……。
ねえねえ、誕生日は?」
「3月……5日」
「じゃあ、サコ!古明地サコね!」
「うん。君の誕生日は?」
「3月……7日なの!」
「サナ……古明地サナでいいかな?」
「いいね!私たち2人で……」
「ずっと一緒……だよ?」
「あー!それは私が言うつもりだったのに!もう!」
バシッ。
「いたっ……」
「あ……ごめんね!ほんとにごめんね!」
「大丈夫だよ」
………そこで過去の意識は途絶えた。
「覚無………」
「解ってくれた?」
「ああ…ごめんな。解ってやれなくて」
「いいの。大丈夫。だからさ、抱いて?」
「ああ…もちろんだ」
ぎゅっ。
そのまま眠り込んでしまった……。




