9-1 序章
……我ながらいい家に生まれたと、思う。それなりではなく、そこそこ以上の。
何と言っても冥界における歴史の中で特に皇家と繋がりの非常に深い、屈指の名門貴族と評しても差し支えのない家柄だ。誰も文句のつけようがない。
容姿は……魔術で自由に変えられるからとりあえずそのままで。すぐに変えないあたり、私は己のそれを気に入っているらしい。特に目の色とか……そんなに他のと変わらない気もするけれど。
――そういえば、両親が私の髪の色を褒めてくれた。その理由は何でも、生家の血筋として優れているほどその色に近づきやすいらしい。
そういう意味で優れているのはかつて当主を務めていた高祖父とのこと。もうすぐ高祖父にも会えるらしい。興味が湧いてきた。
両親の言うとおり、貴族令嬢らしい振る舞いを難なく身に着けてきた。
学問だってそう。初等学院へ入学する以前から高等教育を受けて育ってきたので、初等学院の学習過程は何でもないことのように修了した。
騎士団長の子息であり婚約者の関係になった彼とは契約上の関係とのことだが、将来的にいい関係を築けるよう努力したい。
そして他家の令嬢にメイドとして修業に出る時期になった。
そのところにはメイドとして勤める予定だったが、魔術の才があるということで臨時教師になった。それは別に構わない。
その令嬢とは主人とメイド以上の関係になれた。つまりは朋友だ……同い年だけではなく同年同月同日の誕生日だっていう関係があるからかもしれない。
私付きのメイドにも市民への施しも最低限以上にしてきた。
だから順調だったのに、どうして――
どうして奉公先で上手くいかない?
あんな風になった?
誰のせい?
――私の、自分自身のせいだとでもいうの?
第3章の開始です!まったりお読みいただければ




