プロローグ「戮殺姫」
――退屈だ。
荒れ果てた世界の中で、私は一人立ち尽くしていた。
臥したように地へと骸を晒す兵士達と、水溜まりのように足元を蹂躙する鮮血。それらを掻き分けるようにして私は進む。
「また私は戦争に勝利してしまった……」
私は新国家であるエルヴェル帝国の大将軍であり、名をリキアと言う。
自分で言うのもなんだが、あまりの美貌と残虐性において部下たちからは【戮殺姫】と呼ばれ、畏怖されている。
帝国の安泰を守るために、毎日のように私は帝王の政治を批判する反乱軍や、国中で暴れている凶賊達と戦争をしている。しかし、私は戦争で敗北したことはない。付言すれば、浅傷すら負ったことがない。
「貴様が反乱軍の主導者か?」
「ひっ……く、来るな!!!」
腰を抜かし、声と全身を震わせる男へと歩み寄り、私は笑みを浮かべた。
「そう怯えるな。今は私の質問に答えろ」
「ち、違う……俺はっ、反乱軍の主導者でもなんでもない!」
「そうか」
私は屈み、男の顔を覗き込む。
乱雑に生えた髭を涙と鼻水で汚し、怯えと言う名の感情を瞳に浮かべている。
そんな為体に私は溜め息を吐き、
「嘘を吐くな」
「う、嘘なんかじゃないんだ!!! 頼む!! どうか命だけは……!!!!!」
「ん……そうだな」
「ほ、本当か……っ!」
男は自身の命が助かったとでも勘違いしたのだろう。
しかし、そんな僅かな希望も次に放たれる私の一言で打ち砕けてしまった。
「貴様の名誉にかけ、ジワジワ苦しめながら殺すのはやめてやろう」
再び私は笑みを浮かべ、
「すぐ楽にしてやることにする」
「――!?」
驚愕と恐怖の感情を更に表情に塗りたくり、男は絶望を露わにしていた。
私は彼の首元へ右手をやり、強く絞める。
「あ、がっ……」
呻き声を断末魔に上げ、男は首の骨を砕かれて絶命した。
「ふははっ」
私は笑いながら、更に右手へ力を入れる。
すると、男の首が薄い板のように潰れてしまった。
「もう少し痛めつければ良かったな……仕方がない、私はここを後にするとしよう」
帝国に仇をなす一つの反乱軍を、見事に根絶することができた。
しかし、私として少し心残りがある。
それは――
「まさか敵も味方も、私以外生き残っていないとはな」
初めまして、焼き鮭と言います!!
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