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1-2-5

「じゃあ、そろそろ行くか」


「ああ、そうだな」


 俺とティーガーⅡは戦車のティーガーⅡに乗り込んだ。


「しかしどうする? ここは島なのだろう?」


「ああ、その通りだが」


「橋などは、あるのか?」


「知らんが、まああるだろ」


 ここは無人島などではない。普通に人が住んでいるし、何なら島としてはそこそこでかい。橋の一つや二つ、沿岸を走っていればまず間違いなくあるだろう。


 ティーガーⅡは海岸沿いに走り始めた。


「おお、橋だ」


「橋だな」


 ちょっと進むと橋はすぐに見えた。それも割合近くに。十分もあれば着きそうである。


 しかしその時ティーガーⅡは急に動きを止めた。慣性によって体が少し前のめりになる。


「おい、どうした?」


「敵襲だ」


「は?」


「敵襲だ。周囲に複数の反応、前とは違い歩兵型だ」


 これは面倒なことになった。戦車と歩兵では相性が悪かろう。


「作戦はあるのか?」


「ふむ…… 適当に機関銃弾をばらまく、とか」


「ちゃんと考えてくれ……」


 確かに戦車には機関銃もついている。主砲の横に付いていて、主砲と同じ方向を狙うものだ。


 機関銃は決して弱い訳ではない。とは言え、それだけで敵歩兵を捌ききれるかと言うと、そんなことはない。


 こんな時こそ歩兵の出番である。


「降りるぞ」


「降りる?私の中なら安全だぞ」


「敵に取りつかれたら終わるぞ」


「そ、そうなのか?」


 そのくらいは分かってくれよ……


「ああ。だから、降車戦闘だ。お前も銃はあるだろう?」


「ああ、ある」


 前にフィーアに言われたように、ティーガーⅡは手製の自動小銃を常備している。俺は無論、九九式狙擊銃と五二年式無反動拳銃を常備している。


 ティーガーⅡと俺はさっと戦車から降り、海を背にして戦車の後ろに入った。


「で、敵はどこから来るんだ?」


「我々の背後を除く三方向だ」


「囲まれてるじゃないか」


 まあそのくらいの方が面白味はある。それに三方となればちょうど数が合う。


「正面をお前の本体の同軸機銃、右を俺、左をお前が担当だ。いいな?」


「分かった」


 戦車の横から銃口を出し、敵に備える。ティーガーⅡも同様だ。


 しかし、ティーガーⅡってのは大き過ぎる、いや、高過ぎる。車体の上に銃口を付き出して戦うのがほぼ不可能なのである。


 まあ近代戦車が逆に低過ぎるという評論家もいるんだが。


「やっぱりでかいよな、お前」


「それは、誉め言葉、か?」


「俺も分からん」


 思わず声に出してしまったが、訳が分からん発言である。また素直な感想ではあるんだが、これは果たして誉め言葉なのだろうか?


 でかい方がいいのか小型化した方がいいのか、俺には分からん。


「ライ、敵が来るぞ」


「了解だ」


 狙撃銃を構える。まあ立って使うもんじゃないんだが。


「見えた……」


 アイギスの歩兵型、数は2、ゆっくりと近づいてくる。俺の視界に入るのはそれだけだ。


 俺は慎重に狙いを定め、そして引き金を引いた。


 まずは命中。流石はAÄ彈(()アイギス彈)。敵の脳天に綺麗な風穴が一つ。


 そしてそれが嚆矢となり、ティーガーⅡも攻撃を開始した。


「う、うるせえ……」


 機関銃の銃声を全ての音を掻き消すものだ。少なくともティーガーⅡが持ってる自動小銃の銃声はまるで聞こえない。


 俺の銃は鎖閂式小銃だ。引き金を引く度に手動で排莢、装填をしなくてはならない。その間はティーガーⅡに隠れる。


 すると目の前で敵を打ち付ける甲高い音が連続して響き渡った。アイギスの方が撃ってきたのだろう。


 だが、その音を聞くに、ティーガーⅡの装甲に効果はないようである。これなら安心して戦える。


 俺は次弾を装填し終えると、身を少しばかり乗り出し、再び狙いを構える。


 そして撃った弾はこれまた命中。取り敢えず視界から敵は一掃した。


「ティーガーⅡ、お前の方は?」


「敵は殲滅した。これで終わりだ」


「怪我はないか?」


「怪我?私が傷つくとでも思ったか?」


「俺の取り越し苦労か」


 ティーガーⅡが無事で何より。それなら問題はない。


「なあ、ライ、こいつらが本気だと思うか?」


 確かに思わなくもない。


 アイギスたるティーガーⅡが味方とは言え、アイギスがこんなにも弱いものだろうか?


「本気じゃない公算の方が大きいと思うが」


「ああ。これは恐らく私達の力を調べに来ただけだ」


「やはり俺たちは誰かにストーカーされてると?」


「そうかもしれん」


 小手調べの次に来るのは本命。なればやはりここからさっさと離れた方がいい。


「次へ進むぞ」


「ああ、そうした方が良さそうだ」


 俺とティーガーⅡは再び九州へと渡る橋に向けて走り出した。

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