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クロストーク! 鷹嶺三戸乙女化計画(仮)。

「お邪魔しました〜」


「夏祭りもしょーこの家に集合ってことで。バイバイ、しょーこ」


「ばいばい、二人とも。また明後日ね」


 ドアにカギのかかった音がなると、みーちゃんは純佳すみかの腕を引っぱって歩きだした。相変わらず握力が強くてちょっと痛かったけど、これから頑張ってもらうことを考えてがまんしてあげた。

 近くの公園まで無言で引っぱられ、ベンチに着いたところでようやく手を放してくれた。みーちゃんと一緒に成園くんを運んであげたあのベンチ。まだ夕方だったから明るくて、人の目を気にしながらの移動はほんとに大変だった……。

(まったくもう、みーちゃんが気絶させちゃうからだよ)


「ん? うちの顔に何かついてる?」


 冷たい視線をみーちゃんに送っても、どこ吹く風で受け流される。これでも知らないふりをしてるわけじゃないのがみーちゃんの怖いところ。

 ちなみに本気で怒ったみーちゃんは、しょこちゃんや純佳でも止められない。でも、みーちゃんは理不尽な理由で暴力をふるわないって知ってるから、純佳たちは止めようともしないけどね。でも、顔を踏んだり気絶させたりするのはやりすぎだけどね……。


「みーちゃんの美しさに見惚(みと)れてたんだよ」


「そーいうことは感情こめて言って。そんなことより、はまなすが朝送ってきたメッセ、あれってもちろん冗談に決まってるよね?」


 しょこちゃんや純佳といるときにしか見せてくれない、きらっきらな笑顔。やっぱり信じてくれなかったかー。でもみーちゃんのことだから、すんなり納得してくれるとは思ってなかったけど。大切な人のためになら何だってしてしまうとはいっても、今回のは脅してるのと変わらないし、本当の目的は他の誰かのためじゃない。


「もちろんまじめな話だよ? 今年はなりぞのくんと一緒じゃないと行かせてあげないから」


「ハァ?」


 うわぁ、一瞬で表情が変わっちゃったよ……。


「うちにとって今日がどれだけ大事な日か、はまなすが一番分かってるはずだよね? それを! よりにもよって! あんなやつと一緒に⁉ 冗談じゃないっ‼ なんでなんにも知らないあいつと行かなきゃなんないわけ? そんなのなすの命令でも絶対に許せない」


 面倒なことになったなぁ……。ううん、これもみーちゃんのため。みーちゃんが暴れだしてもいちキックまでならがまんしよう。もしそんなことになったって、みーちゃんを脅迫するネタが手に入るだけ。それにまだ奥の手が残ってるもんね。


「許す許さないを決めるのはみーちゃんじゃなくて純佳だよ? あと、今から純佳の家で着替えてもらうからね」


「ヤだ。はまなすの家遠いし疲れる。服だって何でもいいじゃん。時間のムダだしわざわざ着替える必要もないって」


 みーちゃん、そういうところなんだよ? 純佳たちが治――直してほしいのは。ケンカっぱやくて、デリカシーのカケラもない、オトコオンナなみーちゃん。いっつも誰かのためばかりで、いっつもみーちゃんだけが傷つく道を選んで、しょこちゃんや純佳たちの気持ちは二の次で……。だから純佳は、みーちゃんが怒るのも覚悟の上でこの計画を立てたんだから。


「上下学校指定のダサダサジャージで満足しているみーちゃんには、夏祭りにもその服で来てもらうよ? お母さんから借りる浴衣もみーちゃんのはなしだから。しょこちゃんと純佳はおそろいの浴衣なのに、みーちゃんだけジャージで夏祭り――なーんてことになっちゃうけどいいんだよね?」


「はまなす――あんた、卑怯よ……!」


 純佳たちは毎年、お母さんに選んでもらった浴衣に着替えてから夏祭りへ行くのが習慣になってるの。そして、三人おそろいの浴衣姿を一番喜んでいるのが何を隠そうみーちゃんなのだ。


「ヒキョウで結構ですぅ! もしそんなことになって、しょこちゃんに『浴衣どうしたの』って訊かれたら、純佳はぜんぶ言っちゃうからね」


 ほんとは今日、なりぞのくんはいてもいなくてもどっちでもいいの。なりぞのくんを巻きこんだのは、そっちの方がみーちゃんも頑張ってくれるかなーって思っただけで。ごめんね、今度ちゃんとねぎらってあげるからね。


「どうする、みーちゃん。なりぞのくんと一緒に行く? それとも今年は行かない?」


 みーちゃんは唇を噛んで黙ったまま動かない。

 うわぁ、血がでてるよ……。なりぞのくんと行くの、そんなに嫌なんだ……。でも、ここで折れちゃったら計画がだいなしだもんね。純佳にだって、譲れない理由があるんだから。


「――行く」


 何分か経ってようやく、みーちゃんは答えをだした。


「ナルゾノは連れてくしジャージも着替える。これで文句ない?」


「ダメ。あと、暴力はふるわないこと、下品な言葉は使わないこと。この二つが守れなくても、しょこちゃんにぜんぶ言いつけるからね」


「――人の足元見てあれこれ付けたして……。分かった、分かったから! さっさとはまなすん行くよっ」


 すたすたと歩きだしたみーちゃんを追いかけながら、心の中でガッツポーズした。

 純佳はしょこちゃんもみーちゃんも大好きだからこそ、みーちゃんにだって変わってほしいって思ってる。事情が事情だけに簡単じゃないけれど、今のままじゃ絶対ダメだってことはわかる。

 がさつでオトコオンナのみーちゃんを、普通の女の子に。それが純佳にできるみーちゃんへの恩返し。

こんばんは、白木 一です。

今回はサイドストーリーというかアナザーストーリーというか、前話で鷹嶺さんが襲来することになった経緯のお話です(そのまんま)。

ちなみに、タイトルに(仮)をつけたことに特に深い意味はないです、あってもなくても構いません。はい。

夜にならないとやる気をだせないのに、最近夜ふかしがつらくなってきてすぐ寝落ちする怠け者の社畜作家キドリモドキな白木一と、私の物語をよろしくお願いします。

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