メイド
コンコンコン
「しつれいします」
「こんばんはマリザ」
旦那様と奥様がいらっしゃる。インディ様のところにはサリアが行ってる。ご兄弟が3人揃ってるはず。先にお話があると伝えておいたから。
「コゼットのことで何かあった?」
「ギロチンにかけられた貴族名簿と歴史書を読まれて、気になる点があったようです」
「僕に聞きたいことができた?」
「いえ違います。インディ様の教科書をお借りしたいそうです」
「そう。インディの」
「なぜ教科書?」
「"教科書の方が最新で重要なことが書いてあるはず" だと言われてました」
「そうなの?いいんじゃないかしら。インディに話は?」
「サリアが行ってます」
「喜んで兄弟全員で行くわよ」
「そうだね。みんな会いたがってるからね」
「勉強部屋使ってもいいですか?」
「もちろんよ」
ダメだと言われるとは思ってなかったけど、すんなり許可が出るのもどうなんだろう。5歳児が教科書読みたがってるのに。私も何も思わないけど。
「それから」
「あら?まだあるの?」
「お嬢様が木登りがしたいと」
「何だって?」
「コゼットが言ったの?」
「はい」
驚いてる。確かにそうだろう。木登りがしたいなんて言うような方ではなかった。女の子が好きなものが大好きという方だったから。
「登って駄目な木はあるかと聞かれました」
「サフィもかなりヤンチャだったけど木登りはしなかったね」
「そうですね。でも低い木なら木登りしてもいいわ」
「あと、クマさんに聞いてね。大事にしてる木に登ったら大変だから」
「明日、クマさんを訪ねる予定です」
低い木ならって絶対登ってしまう気がする。どうしようかな。
「あと、1人では登らないように言っておいてね。お母様の言葉だって。お願いね」
「かしこまりました」
約束はきちんと守ってくれてる。ちゃんと約束したらお嬢様は大丈夫なはず。
「最後に旦那様にお尋ねしたいことがあるのですが」
「何?」
「ギロチンにかけられた貴族名簿3があるそうなのですが行方不明なんです。ご存じありませんか?」
「あの本3冊もあるの?聞いたことないな」
「項目別など綺麗に整頓されているのにおかしいと思いまして。手分けして探しているのですが量が多くて」
「あの中から探すのは大変だね。僕も書斎とか探してみるね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。失礼します」
部屋を出てサリアがいるはずの子供部屋に行く。
ーーーーー
部屋の前に着くと中から興奮してる声が聞こえる。
コンコンコン
「失礼します」
「マリザ!コゼットが会いたいって言ってくれたの?」
「はい。歴史の教科書を貸していただきたいと」
「セシルにも言われたわ。私たちも会いに行っていいのよね?」
「アイヴィ コゼットは僕の教科書を借りたいって言ってるんだよ?」
「お兄様は黙っていてください。ご自分だけ会いに行くなんてずるいですわ」
「そうです!僕だって会いたいんですから!」
「みなさんで来ていただけると私たちは思ってました」
「ただ、少し気持ちを抑えてお会いいただけたらと思います」
セシルと交互に話すと、考え込むような仕草をされる。
「コゼットはまだ怖がってる?」
「怖がってはいらっしゃらないと思います。ただまだ数人の使用人としか会っていません」
「今回は教科書だけにした方がいいかな?」
インディ様が僕たちは会いたいけどとご兄弟を見て言われる。
「質問もできたらしたいと言われてたので、お会いしたい気持ちはあると思います」
私が言うとセシルも頷いている。まだ3人とも幼いが、貴族の子供なだけあって思考回路がとても大人だ。教育されて誰かの気持ちをきちんとわかる方達に成長している。仕える家の将来が安泰なのはすごく嬉しい。
「なら抱きつきたくてもちゃんと我慢しますわ」
「僕も、ちゃんとお兄様として頑張る!」
まだ8歳のサフィ様はコゼット様を驚かしたり振り回したりすることにハマっていた。お嬢様も嫌がっていなかったが今はまだスキンシップとして早すぎる。
「僕がいるから安心して」
インディ様がいたらサフィ様が暴走することもないだろう。
「お嬢様の疑問に私たちでは答えることができません。よろしくお願いします」
「任せて。お兄様として頑張るよ」
「ありがとうございます。明日午後からお願いします」
「午後にコゼットの部屋に行けばいい?」
「勉強部屋の使用を許していただけました」
「分かった。そっちで待ってるね」
「よろしくお願いします」
セシルとお辞儀してから退室する。
_______
「とても喜んでくださったわね」
「よかったです」
「無理なお願いをしても嫌な顔されないから、言いやすいです』
それは、旦那様と奥様が祖だからだと思う。お2人を見てるからみなさん使用人の言葉をしっかり聞いてくださる。やんちゃなサフィ様も相手を思って行動してるのは凄いと思う。違うお屋敷で同じ年のお子様を遠目で見ただけだったけどとても大変そうだった。
「少し時間があるので図書室に行ってから部屋に戻ります」
「サリア無理したらダメよ。サリアに何かあったらお嬢様が悲しむわ」
「…気をつけます」




