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エルメニア物語 - 黄金の狼は退屈な日常を満喫する -  作者: 小豆こまめ
第一章 イルネラの街
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11 クラウス

 エルメニアには、魔力量を測る魔道具がある。

 その魔道具は、A〜Eまでのランクとそれぞれ1〜500までの数字で魔力量を表し、A以上をS、逆にE以下であればE- と表示される。


 そして平民ならDやEランクが普通だが、冒険者になるなら、Cランク、貴族として認められるには、Bランク以上が必要になる。


 但し、これはあくまで魔力量でしか無いので、それに経験値が入って本当の能力値となるのだが、イルネラの街に入るためには、まずこの魔力量が基準値より高く無ければ街に入る事も出来ない。


 “B175”


 クラウスが登録所で計測された数値だった。


 ランク“B”には1〜200の数値があり、数値は大きい方がいい。

 クラウスは決して悪くない数字だと思っていたが、登録所の担当者にはギリギリだと言われていた。


「そうなんですか?」

「はい、“B150”が基準値ですから」


 この数値は街に入るために必要だが、魔物狩りには経験が必要なので、街の中では余り意味を持たない。


 ギリギリだったと思われて仲間に入れて貰えないと困るので、クラウスは他言した事は無かったが、イルゼルト家の姉妹と話すようになって、それが自分の勘違いだった事を知らされた。


「普通なら、“C100”くらいの冒険者でも入れるわよ」

「そうなのか?」

「今年は、魔物が段々と強くなっていたから」

「それによって、数値も上がっていったの」


「そうだったのか、、、」

「今、その数値なら、訓練すればクラウスもAランクになれるわ」


 数値を上げるよりランクを上げる方が大変だと聞かされている。


「訓練すれば、魔力量は変わるから、その位になってくれると嬉しいわ」

「頑張ってね」


 美しい黒髪とブルーグレーの瞳。

 クラウスと言う名前にも、二人が側にいる事にも慣れないが、彼女達が望んでいるなら出来る限り努力するしかない。


「ウルフレッド達の数値も測ってるのか?」

「一応ね」

「形だけ」


 二人がとても嫌そうな顔をする。


「ん?」

「“B150”」

「二人とも、その数値なの」


「それって、、、」

「絶対、去年なら“B50”だったわ」

「絶対、わざとよ」

「ほ〜んと嫌な感じ」


「フィアとティアは彼が嫌いなのか?」

「この街にはね、色々な人がくるの」

「その人達の色々な面を見るのが楽しみなの」

「うん」


「そこで(なん)にも見せてくれない人を見て、面白いと思う?」

「そんなに秘密主義に見えなかったけどなぁ」


「でも意外性が無いのよ」

「見せたく無いものは見せない」


 何となく言っている意味は分かる。

 今までの彼を偽りだとは思わないが、彼が困ったり焦ったりする所を他人に見せるとは思えない。


「嫌いなのか?」

「嫌いじゃぁないわ」

「ん?」

「好きじゃないだけ」


「一応、領主になる人だろ?」

「ならないわよ」

「セリス様がいらっしゃるし、彼にとっては領主なんて意味のないものだもの」


 彼女達が興味なさそうに答えていたかと思うと、今度はクラウスの方を向いて尋ねる。


「ねぇ、それよりタルパスの街に行くの?」

「私達と離れて?」


「バルト様に、まず騎士になれって言われたんだ」

「騎士になりたいの?」


「俺は正式な訓練も受けて無いし、見習い騎士から始めないと」

「タルパスで?」


 彼女達の側にいて、余計な事を考えずに自分が学べるとも思えないし、これから側にいたいと思うなら一度離れる必要がある。


「アイツにライオネル様の所で学べと言われているし、俺も彼なら学びたい」

「もっと近くにも学べる所はあるのに、、、」

「絶対、わざとよ」


「せめてランクがAにならないと、俺からバルト様に申し込む事も出来ないだろ?」

「まぁ、申し込んでくれるの?」

「貴方から?」

「少し時間が掛かるかも知れないけど、、、待っていて欲しい」


 婚姻の申し込みなら、女性からさせるより自分から行うべきだと思う。


「頑張るよ、フィアとティアに失望されたくないし、他の奴が良かったと思われたくない」

「待っているわ」

「時々、顔も見せてね」


 それから三年、ライオネル様の許で騎士見習いとして学び、同時に色々な事を教え込まれた。


 残念ながら二人に会いに行ける時間はなかなか貰えなかったが、おかげでバルト様に認めて貰う事もでき、今もクラウスの側に美しい二人がいてくれる。


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